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LIGHTNING EDGE-神々に挑む剣 -  作者: 金属パーツ
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二話 シーン8「マスクウォリアー」

観客席でも大きな変化が起こった。

主にベロニカとイツカに。

ジュルルルル ゴクゴクゴク

パクパクパク もぐもぐもぐ ずるるるるる

絶え間なくジュースを飲み干すベロニカ

食べるのが止められないイツカ。

明らかに一種の興奮状態にあり、熱中していた。

それの横にカティルはというと、短くゴクリ、と一口飲んではストローから口を離す。

じっくりとクーロを楽しんでいる。他二人と比べて本作に対して距離感があるようだ。


『あれから七日が過ぎた。犯人と思わしき人物が一人浮かび上がる。

もう断定していいと言えるだけの証拠もある。

僕は治まらぬ怒りを無理に抑え込んで、その人物に会いにいく』

暗転している間にアランの独白。

明転するとそこは馴染のギルド館だった。

「きゃああああああああああああああ!!」

アランが入ると同時に耳に入るけたたましい悲鳴。

見ると、アランが目当てにしていた犯人が掴みあげられている。

それをしているのはマックスだった。

「マックスやめろ!」

アランは血相を変えて近づいた。

「邪魔するな、アラン!」

「どうしてそんな乱暴を!訳を聞かせてくれ!」

「どうしたじゃねえ!コイツだ、コイツがアンナを殺しやがったんだ!」

〈くそ・・なんてことだ。まさか一番知られては不味い相手に知られたなんて)

「は、離せよ平民!人がのんびりと茶を楽しんでたってのによ!

アンナとか訳の分からないこと言っても、俺は知らねえよ!!」

「なんだと!?」

マックスは怒りに任せ、その大きな拳を振り上げる。


『いけない!マックスの力で殴ったりしたら、相手を殺してしまう!』

ナレーション。直ぐにアランは飛び出して、マックスの腕に掴みかかった。

「だめだ!マックス!やめてくれ!!」

「は、離せ!コイツだけは、コイツだけは俺が!!」

「殺しちゃだめだ!お前が手をあげてしまったら、君も厳罰に処されて殺されるんだぞ!」

「構うもんか!アンナの仇をとってアイツの傍にいけるなら、俺は!」

〈やはり、聞く耳を持ってくれないか・・・〉

マックスがどういう経緯で犯人に行きついたかは分からない。

もしかしたら先入観や決めつけでこの少年バユティー・バレンシアを犯人と見立てているのかもしれない。

だけど何としても、マックスの手を汚させることだけは避けたかった。

アランもまた、ソイツを殺すのは自分こそが相応しいと考えていた。

「冒険者諸君!手伝ってくれ!男爵家の御曹司が暴力を振るわれている!!

マックスを止めなくては!!」

「なっ、アラン!?」

『もうこれしかない。例え恨まれて憎まれようが、

アンナが慕っていた君の手を血で汚させちゃいけないんだ!!』

アランの心の声がナレーションによって語られる。

そんなアランの呼びかけに、何人もの冒険者がかけつける。

ある者はマックスの背中に圧し掛かり、足を掴み、腰を掴み、

バユティーの首根っこを掴んでいた手を取り、

必死で二人を引きはがしにかかる。

「ぐっ、やめてくれ皆!間違いなくソイツがアンナを殺した犯人なんだよ!

ハンス、アルフ!お前らだってアンナが好きだったんじゃねえのかよ!!」

「ああ、気持ちは皆おんなじだよ!

だけどよ、それならそれで騎士団が動いてくれるはずだろ?

お前が手を汚す必要なんて・・・」

「んなこと起こるかよ!金持ちの貴族連中はどこまででも汚いことを平気でやって、

いつだって簡単に逃げ通すじゃねえか!あんな奴ら信用できるか!!」

その言葉はアランの胸に深く突き刺さった。

『だけどそれでも、友達だと思うから。彼に罪を犯してほしくないから』

その純粋な一心でアランたちはマックスを抑え込んだ。

集まれば300kgにも400kgにもなろう重さに、マックスは力を失っていき、

ついにヒザをつく。

そうして床に這いつくばらされてしまった。

それでも、アラン達の拘束は解かれない。

マックスの視線には、先ほどまで命の危機に怯え切っていた

バユティーが頭上から己を見下ろしてくるのが見えた。

「ふ、ふふん!雑魚で役立たずな平民にしてはやるじゃねえか。

お前らの活躍は俺から父上に報告してやるよ・・・感謝しろよ、な!」

バユティーは地面に伏せているマックスの顔面をここぞとばかりに蹴り上げる。

そうして満足すると、上機嫌にギルドを後にした。


去ったのを見届けると、アラン達はゆっくりとマックスの拘束を解いた。

「だ、だいじょうぶだったかよ、マックス?」

「・・えと、強く抑えつけてすまなかったな」

「殴られたとこ、痛くないか?」

一人が気をきかせて、マックスを起こそうと手を差し伸べる。

バシン!

それを無表情でマックスは払いのけた。

もう怒りの炎も吹き消され、燃え尽きた蝋燭のようになったマックスは、

生気の失ったその目で、周囲を静かに見渡すと、何も言わずに一人で立ち上がる。

「マックス・・仕方なかったんだ」

「なにがだ?」

「あそこで君を止めないと、君はあの御曹司を殺していただろう?」

「・・・ああ、それが俺の望みだったのに。アラン・・邪魔しやがって」

「邪魔ぐらいするさ!

アンナは・・・アンナは優しくて、強くて、誰にだって優しかった

君のことが大好きだったんだ!

そんな君が、あんなちっぽけで、弱っちくて、情けない子供一人のために

手を汚すなんて、見たくなかったんだよ」

『だめだ、なんで今更なんだ。僕の心の奥から、何かが溢れてくる。

これはきっと悲しみかな。アンナが死んだとわかった時にさえ溢れてこなかった

その感情が、何故か今は押し寄せてくる。せき止めていたダムを壊そうとしてくるんだ』

「アイツはきっと、そう長くないよ!」

『そう、マックスの代わりに僕が殺すんだ』

「アイツには絶対、天罰が下る!」

『そう、僕の手だったら、別にいくら汚れたっていいんだ』

「だからその時まで、マックスはアンナの・・・」

「そんなの待ってられねえんだよ!!」

いきなりのマックスの怒号。

それは館内いっぱいに響き渡り、アラン達の背筋を震えさせた。

「俺が、今、殺してやりたかったんだ。教えてくれよアラン。

あいつに天罰をって、それは誰がやってくれるんだ?」

「・・・それは」

「アイツはもう、十人近く殺してるんだろ?

その間、誰がアイツに天罰を下す準備をしてくれてたってのか?

そんな奴いるわけねえだろ!

この街で、もしも恨みを晴らしたけりゃてめえの力だけが頼りだ!

このダークネスシテイではそれが鉄則だろうが!!

それだってのになんだ!みんなして俺をイジメやがって!!」

マックスは一人の冒険者を睨む。マックスの背中から抑えつけていたハンスだ。

「いや、イジメって、そんなつもりじゃ」

「じゃあなんだよ!アイツから影で金でも貰ってたってのか!?

アイツがアンナの仇だってことは、もう皆で共有されてきた事実じゃねえのか!?

そして、アンナの恨みを晴らす絶好のチャンスだったのによ!!

なんで!

今まで仲の良いダチンコだって思ってたお前らに邪魔されなきゃならねえんだよ!!」

マックスは苛立ちを我慢できずに、その剛腕で一つのテーブルを破壊した。

先ほどまでバユティーが茶を味わっていた席だ。

恐らくは休みながら、このギルド内の女冒険者やギルドの女性職員の物色していたのだろう。

次の標的とするために。

「なんでだ!同じ心の傷を持っている仲間だと思ってたのに!

なんでみんなしてよ!俺の邪魔するんだよ!!

・・・俺は別に死んでよかったんだ。アイツを殺した後なら、アランを通して

牢獄にぶち込まれ、ギロチンでも縛り首でもなんでもしてくれて良かったのに!!

・・・・なんでだよ」

マックスの目じりから、トロトロと涙が流れ始まる。

どうも泣きの芝居のように見えるが、あれ役者が本当に涙を流しているのでは?

と感じた観客たちの気持ちが一気に引き寄せられていくのがわかる。

まさに役者冥利に尽きる名演技といったところか。

『アラン達はその時、自分達が正しいと思ってとった行動が、

もしかしたら最も間違っていたのではないか?

そんな風に思えてきた』

ナレーションが終わると、マックスはゆっくりとノソノソとその場を後にして、

舞台袖へと歩いていった。照明が暗くなる。

二つのスポットライトが去り行くマックスと立ち尽くすアランの二人を照らした。

マックスは去り際に、一度だけアランの顔を見る。視線を外すとまたノソノソと

袖に向けてハケていく。暗転

「その後、僕とマックスは二度と顔を合わせることはなかった」




アングリード邸。

舞台のほんのりとした暗さから、昼間ではなく夜のシーンだと分かる。

室内のセットの中で、アランはゆっくりと仮面に向けて歩いていく。

「ついに、決断されたのですな?ご主人様」

「ああ、行こうじいや。その力を存分に貸してくれるかい?」

「おまかせあれ」

アランはゆっくりと壁にかけられた仮面を取り外し、自分の顔に当てた。

「今夜こそ奴らを・・・アンナを殺した犯人に裁きを下してやる」

瞬間、暗転する。少しの間を空けて明転した時、その舞台上に立っていたのは、

読者たちが心待ちにしていたヒーロー「マスクウォーリアー」が立っていた。

全身を覆うラバー製を思わせる黒いスーツ。腰に下げられた一振りのサーベル。

認識阻害の効果が付与されたマント、そしてマスクの隙間から覗かせる、冷徹な瞳。

舞台上から観客席へ向いて立っている彼の姿に、観客たちは惜しみない歓声を上げ始めた。

「やったー、マスクウォリアーきたー。きたよ、パパ!」

「うんうん、きたねー!長かったなぁ・・」

「うほーすげー完成度だぜ!あのスーツ絶対にリアルで作れねえと思ってたのによ!」

「眼福だわー」

「いけーマスクウォリアー!わるものやっつけちゃえー!!」

この世界においても、公演中に声を出すのは禁止とされるぐらいのマナーは存在する。

だがそれを曲げてでも、やっとのマスクウォリアー登場は観客の心を捉えて興奮の渦を巻き起こした。

それと同時に評価すべきはマスクウォリアーの演者だ。

この大歓声の中で必死で喜ぶ気持ちを抑えつけて芝居に徹している。

彼は数秒、客席に向けて姿を見せると、足早に舞台袖へと駆けていった。

そうしてまたも暗転。



ここはバレンシア邸宅。

今回の標的はこの家の長男、バユティー・バレンシアのみであるはずだった。

しかし、彼の身辺を調べる内に浮かび上がった、このバレンシア男爵家の闇。

様々な犯罪に加担し、家柄を武器にそれらをもみ消してきた。

何よりもアランにとって親の仇の一つかも知れない、ダークネスシティ三大悪が

一角、ゴールデンスコーピオンの幹部をも務めていたのがここの当主である。

それらを知った時、アランは決断した。必ず、奴らをこの一晩で滅ぼし尽くすと。

普段はこの一家の生活サイクルはまばらであり、就寝時間や食事時までバラバラな家であった。

だが、この一家は一つだけルールを設けていることがわかった。

どんな事態にあっても、月に一度、家族そろって夕食をとることを定めていたのだ。

今日がその日である。


「まったく・・・お前は私の全てを台無しにしてくれるなぁ、バユティ」

父母と子が三人。

長方形をしたテーブルの壁側に陣取った父親のアルバード・バレンシアが憎々しげに口を開いた。

壁側には両親が広々と使用し、窓側には三人の子供が並んで座っている。

長男のバユティーはその左端に座っているのだが、父からの距離はほど近く

その刺々しい視線にさらされて窮屈そうである。

「べ、べつにあの程度いいじゃないかよ親父ぃ。いつも通り、親父の裁量で

もみ消してくれたんだろ?」

その言葉でますます機嫌を悪くしたアルバードが腹を立て、テーブルをガンと殴る。

「それがいかんというのだ!!俺の裁量で揉み消したから大丈夫だと?

お前は長男として俺やバレンシア家を助ける立場に成らなければならんというのに、貶めてどうする!!

お前はその歳で、この父にまだ尻を拭いてもらって喜んでいる赤子のつもりか!!」

その怒気に当てられ、バユティーの隣りに並んでいた弟たちまで縮こまった。

「良いじゃないですか、アナタ。バユティーはまだ子供ですもの。

ゆっくり成長させれば良いのです」

横から母のセレナが、アルバードをたしなめる。だが愚息よりも自分が悪いという妻に対しても、アルバードは激怒した。

「お前がそんなんだからいかんのだ!!バユティーはもう14だぞ。

それなのに、折角入れてやった学園は退学になる、己の快楽のために散財し、

殺傷沙汰を繰り返し、俺に尻ぬぐいをさせる!こんなばかな話が」

「もう、嫌だわアナタ。お尻拭きだなんてお下品な!」

妻に話の腰を折られ、アルバードはますます腹を立てる。

それを横目に、セレナはフフンと鼻で笑うのが見えた。

このセレナ・バレンシアという女。アルバードに娶られてから15年になるのだが、その前は貴族向けのバーで働く商売女だった。

気難しい富豪たちを相手取り数々の歴戦を戦い抜いてきた強者である。

その性格は実に奔放いや淫奔。いつかどこかの金持ちに見初められることを目指して働き、抱かれてきた。

そうして目に留まったバレンシア男爵家に見初められたのが幸運の始まりで、

アルバードにとっては不幸の幕開けであったかも知れない。

結婚してからは自由に豪遊を楽しみ、愛人を囲っているようであるが、

アルバードもそれを黙認している。

「ウッフフー、嫌ですわ母さまぁ。父さまも母さまもおっげひーん」

唐突に、ケラケラと笑い声をあげる童女が在った。

今年で9歳になるバユティーの妹、アティラである。

「あらあらオホホ、そうねぇ。ごめんなさいねアティー?」

セレナもまた、アティラのこの行動が助け船となったと乗った。

アティラは大変に賢い子である。それも空気を読むのが上手いではない。

空気を作り出すのが上手いのだ。

どんな話の流れであろうが、彼女はその場の空気を思うがままに操作できると言われるほどである。

その顔立ちはどこか、セレナが商売女だった時に交際していたバーテンダーに似ている。

「あ、アハハハ。父上、ざんねんむねんでありますな。

このウェールズ・バレンシア。

その心ごさっしします」

そう堅苦しい物言いを真似ているのは、末っ子のウェールズだった。

その歳は8歳になるのだが、どうも絵物語の騎士に憧れているようで、

よくそんな言葉づかいをする。

その体は早熟であり、一日鍛えれば三日鍛えたのと同じだけ体が出来上がると

言われるほどで、年齢にしては筋張っており、実年齢よりも三才は年上に感じさせる。

その顔立ちはどこか、セレナのボディーガードの男のように角ばっている。

「くっ・・お前らというのはどいつもこいつも、この私をバカに・・・」

バーン!

「大変でございます!旦那様!!」

血相を変えて、初老の使用人が一人部屋に駆け込んできた。

「なんだ騒々しい!今はこのバカ息子の大事の時に、些細な小事で騒がすなど無礼で」

「侵入者です!侵入者が現れました!!」




静かに速やかに、アランはその認識阻害のマントをしっかりと首から下を覆って

姿を隠しつつ、邸内へと侵入する。

「よし・・・事前の偵察通りだ。ここらの見張りは少ないようだ」

「というより、反応がないですな、ご主人様」

「・・・それもそうだな」

「この屋敷の周囲は全て、屋敷そのその物よりも高いブロック塀で囲まれ、

防音魔法で情報を漏らさない。

もしも無理に潜入しようものなら防衛機能によって蜂の巣にされる筈だが、

警護の兵も居なければそれらの機能が発動することもなかった・・・妙だな」

「そこはご主人様、フリードマンの認識阻害が優秀なおかげですぞ」

「それを自分でいうかい?お前はもっと謙虚なやつだと思っていたよ、じいや」

「控えめにしていれば何でも評価される世の中ではありませんからな。

わたくしの功績なことはどんどんとお伝えしていく構えですぞ」

「ああ、そうかい」

冷ややかなに返答をすると、すぐさまその場を離れる。

「・・・変に遠回りするよりもここからは強行突破で片付けよう。

行けるかい、じいや?」

「お任せを」

アランはつつがなく庭を疾走して館の外壁を目指した。

フリードマンの力で防音魔法を貼ると、一番近くの窓を叩き割り侵入する。

内部は全ての燭台に明りが灯され、一見すると日常が保たれてるかに見えた。

故に気を抜かず、一歩進むごとに角を曲がるごとに気を張って、進んでいく。

「お待ちくださいご主人様」

「どうしたんだじいや。敵の影でも見えたかい?」

「いえ・・・僅かに臭いがします。お気を付けを」

言われて、アランはますます警戒を強めて前進した。

アラン達の移動に合わせて照明が付いたり消えたりしている。

照明が当たっていない暗がりはその間に新しいカキワリが用意されて出てくる。

ついにはアランだけにスポットライトが当てられ、その他の全てが暗く隠された。

「行こう、じいや。正面に見える扉を進むと、館の中心部に当たる

玄関ロビーへと繋がっている筈だ。

そこまで進めば、恐らくはじいやの認識阻害も効きづらくなるほどの警護が

待ち構えている可能性すらある。

そこからはスピード勝負だ。襲ってくる敵は全て掃討して、家主を叩くぞ」

「かしこまりました」

意を決して、アランは扉を豪快にあける。

その瞬間、照明が舞台全体を照らした。

「!?これは・・」

「なんと!!」

舞台上が真っ赤に染められていた。赤々とペンキをぶちまけたように汚され、

割られて、柱が何本もへし折られている。

そして何人もの兵士が床に倒れている。

「これ・・・全員、死んでいるのか?」

「生命反応はありません。ここで生きているのはぼっちゃま一人のようです」

「まさか、僕たち以外の先客がいるだなんて。いったい誰が・・・・」

「あああああああああああああああああああ!!

助けてくれえええええええええええ!!」

「上の階か!」

アランは生存者の声を聞きつけて、急いで移動した。

ロビーの階段を通って二階へ。そして奥へ奥へと駆けていく。

叫び声はその間も聞こえ続け、ついにその誰かが居るであろう部屋を見つけ、

ドアを蹴破って乗り込んだ。

「た、助けてくれ!お願いだ!死にたくない!!」

そこは家主たちの食堂だったようだ。テーブルは大きく倒れ、

椅子は全てひっくり返っている。

その上に乗っていた料理の数々は床にぶちまけられており、そのゴミに混じって、

四人の遺体が転がっている。

アルバードは両手両足がなかった。セレナは頭が潰されて窓ガラスの破片が

体に刺さっている。

アティラは下半身だけが部屋の隅で座り込む形で残されているが、上半身がどこにも見当たらない。

ウェールズは姉の隣りで寝転んでいるが、その腹には装飾品として壁に飾られていたレイピアが突き刺さっていた。

そして最初からの標的だったバユティーは

「た、助けてくれぇ。なんの恨みがあってこんな・・・俺は悪く、ね、ぇ」

アランより先に入り込んだ先客に首を掴まれ、天井に釣り上げられていた。

その男は非常に大きい体躯をしていた。ぶっとい腕をしていて、筋骨隆々として

その顔は木片同士を糊付けしたモノに紐を通したような粗末な仮面をつけて隠していた。

その男は激しい憎悪に胸を焦がすようにバユティーの首を締め上げ、

その力はどんどんと強くなる。

「が・・・ぎっ・・・ぐぶ・・が、だず、げぇ・・ああ」

ゴギッ

観客たちの耳にはっきりと聞こえるような鈍い音がする。

その音がしたと同時に、バユティーはカクンと力が抜けて体が垂れ下がり、動かなくなった。

「・・・・」

剛腕の男は何も言わずに数秒間、その死体を眺めると、興味を無くしたようにその死体を放り投げた。

「・・・おま、え。もしかして・・・マックスなのか?」

ふいにアランは声が漏れてしまう。それを聞いて男はゆっくりと振り返り、二人の目が合ってしまう。仮面越しでもアランには分かる。

やっぱり彼はマックスだ。

「誰だ、てめえは?」

『くっ、ここで僕の名前を知られる訳にはいかない』

アランの心の声がナレーションで響く。その声はアランとは別の役者の音声であるが、確かにアランの声だと認識できた。

「・・・」

「答えねえのか?だったらてめえも、俺の敵か!!」

拳を振り上げ、マックスがアランに襲い掛かる。

「まずい!」

咄嗟に飛び跳ねてそれをかわす。

大振り彼の拳はそのままカキワリの壁にぶち当たり、大穴を空ける。

「じいや、逃げるぞ!」

「かしこまりました。身体強化、脚力上昇発動いたします」

アランの靴が青い光を放つ。

おお、魔術付与をああいう演出でくるか、と一部の年齢高めな観客達が感嘆の声を上げる。

そのままアランはマックスに背を向け、舞台袖へと走り抜けていった。

「・・・・」

それをマックスは何も言わずに黙って見送る。暗転。

明転すると、アランは廊下を走っていた。壁は家の内壁が描かれている。

「ご主人様、どうなさいますか?」

「どうもこうもないよ。このまま突っ走って一階へ、そして外へ出る。

正門から出て道路に。わざと通行人に見えるようにして、この家の事件の容疑者としてボクが上がるようにする」

「やってもない罪を自ら被るつもりですか!?」

「当たり前だ!このままマックスを犯罪者にするわけにい・・・」

バゴーン!!

ふいに壁を破壊して巨大な何かが飛び出してきた。マックスだ。

観客もその突然の出来事に身を跳ねさせてすくみ上る。

カティル達の近くの席からも「ヒイ!」と声が聞こえた。

「まさか、壁を突き抜けて追ってきたのか!?」

アランは急ブレーキをかけて寸前の所で立ち止まる。

マックスがこちらを向き、振り向きざまにまたその剛腕を振り上げる。

「ぐっ、しまっ!!」

かわすことができず、アランはそのままマックスの重い一撃を食らう。

その体は大きく跳ね、舞台袖まで吹っ飛んでいった。

「へえ・・・今のどうやったんだ?」

たまらずにカティルが呟く。イツカがカティルに顔を寄せてボソリと伝えた。

「多分、ワイヤー、アク、ション。マスクウォリアーの背中に見えない紐をつけて、タイミングにあわせて引っ張る」

「なるほど・・」

またも暗転。目まぐるしく舞台の背景が切り替わる。

次は屋外だった。明転するとワイヤーで吊るされたアランが飛びながら舞台に

入り、舞台端に建てられていた外壁に体を叩きつけられた。

「ぐあっ!」

アランは派手に体を揺らして壁に触れ、するすると地面に降ろされた。

「はぁ・・・はぁ・・じいや、本当に身体強化をかけたのか?

とんでもなく体が痛い」

「間違いございません、ご主人様。私も全力でした。

例えこの屋敷程の重さの塊をぶつけられようが痛みもなく防ぎきれたはずです!

ですが、あやつの力がそれを上回っていたのです!」

(何それ羨ましい・・・)

カティルは先日の朝、ベロニカに吹っ飛ばされて瀕死の重傷を負った時のことを

思いだしていた。

「なんだ・・それ・・・インチキすぎるだろう。マックスにそんな力が」

「いえ、あやつの力だけではあり得ません。あやつも何かに憑かれているのです!」

「何かって?」

その時、アランの立ち位置から反対の舞台袖から、マックスが顔を出した。

何も言わずに黙ってアランを見下ろすと、ずしんすじんと歩み寄ってくる。

「答えろ、お前も、奴らの仲間、俺の、大切なアンナを殺した・・・

奴らの仲間か!?」

マックスの粗末な仮面の隙間からツーっと一筋の涙が落ちる。

「!?じいや、気づいたか?マックスのあの目、白い部分が黒く

瞳孔が真っ赤に染まっている!」

「やはり、憑かれているのです!

認めたくないのですが、何かが、あの者に異常な力を貸しているのです!

危険でございます。あの方の体では、あの力に耐えらません」

「では、どうしたら?」

「・・・このまま放置しておかれますと、あの者に取り付いている何者かに体を

乗っ取られるでしょう。

そうしたら、あの者の魂は砕かれ、二度と輪廻の輪に戻れなくなります。

そうなる前に、殺して差し上げるのがよろしいかと」

アランの体がビクンと震える。

「本当に・・・それ以外に方法はないのかい?」

「・・・ございません」

「なに、を、ごちごちゃと独り言をいっでやがる!!」

マックスが動いた。振り下ろされる剛腕、振り上げる俊脚。

「くそっ」

「お気を付けください!こやつのいずれの攻撃も防ごうとしてはなりません!

全て確実に躱してくだされ!」

「わかってる!」

避けながら反撃のスキを窺うアランであるが、困難を極める。

『僅かにも気を抜けない、少しでも遅れればアウトだ!』

アランの心の悲鳴を伝えるナレーション。

それを受けて、観客の子供達がたまらずに立ち上がる。

「がんばれー!マスクウォリアー!」

「しなないでー!」

「そんな奴やっつけちゃえー!」

子供達が我よ我よと立ち上がって声援を送る。

それを見て、周囲の大きなお友達系の人たちはウンウンと喜びに震えていた。

だが次第に追い詰められていくアラン。

ついにマックスの拳がアランの肩をかすめた。

「ぐあっ!」

「ご主人様!」

「「あーマスクウォリアー!」」

子供達の声とフリードマンの声が被さる。

アランの体は二転三転と転がされる。

直ぐに立ち上がろうとするが、足がもつれる。肩が潰され利き腕も使えない。

「・・・これで終わりだ。かんねんしろ」

マックスの怒涛の追撃。その剛腕がアランの命を奪い去ろうと襲いかかる。

『・・・もう、ここまでか・・・』

ナレーションがアランの最後の心の声を呟いた。

その時である。

急に舞台が暗転した。

そして二人の人物をスポットライトが照らす。

一人はアランだ。そしてもう一人は、アランの近くの舞台端に新たに登場した

人物を照らしていた。

それは真っ白なドレスに身を包んだアンナだった。

「・・・お願いします、アランさん。マックス兄さんを止めて・・・」

「アンナ!?」

アンナの方を振り向きもせず、姿勢を崩さずにアランは語り掛ける。

「アランさん・・・私はもう、この世の者ではありません。

ですが、貴方にどうしても伝えたいことがあって、

こうして舞い降りたのです」

「・・・・」

アランは何も答えない。

ここは恐らく、全てが静止した特別な空間なのだ。

アンナは静かに語る。

「アランさん、どうか戦って。兄さんを助けてあげて。

あの人はもう、憎しみの心から離れられなくなっています。

このままではどこまでも殺戮を繰り返す悪魔となり、私の事も忘れてしまいます。

そんなのきっと、兄さんには耐えられないです。

あの人は、優しい人ですから」

『・・・・ああ、知ってる』

「だったらお願いします、アランさんとじいやさんの力を合わせれば、

兄さんを開放してあげることがでます。だからお願いします・・・

立ち向かってください。貴方が貴方であるために。貴方がこれからも

戦い続けるために、こんな所で刃を折らないで・・」

アンナは少しずつアランの傍に近づいてゆく。

そうして彼の背中に手を触れると、優しく背後から彼を抱きしめた。

「私がずっと貴方のおそばにいますから。

兄さんのこともお願いしますね?

仮面でその素顔と心を押し殺し、戦う正義の兵士・・・

マスクウォリアーさん」

そう言い残すと、またも暗転。

舞台全体に明りが戻った時、アンナの姿は消えていた。

「しねええええええええええええええええ!!」

明転して直ぐに、時間が動き出したようにマックスが襲い掛かってきた。

「アンナ!!」

「!?」

ふいにアランの口から名前が出た。

それを聞いたマックスの動きはとまり、そのスキにアランは距離をとる。

「・・・なぜ、その名を?」

マックスは目を見開いて動揺している

「じいや、行くぞ」

「よろしいのですか?時間を稼いで下されば肩の治癒も終わらせることが・・」

「構わない。ここは速攻でキメに行こう。鎧袖一触だ。

次の一撃に、全てを賭ける!」

動かぬ利き腕を無視して、残った片腕にサーベルを持ち帰る。

「じいや。治癒はもういい。それより身体強化を脚とこっちの腕に集中させろ」

「かしこまりました。後は知覚の強化と切っ先の切れ味の強化ですな?」

「そうだ。何故か覚悟が決まったよ・・・次の一撃で、マックスを開放する!」

お互い、にらみ合う。マックスは何もいわない。

だが、まだわずかに残った心が動揺して落ち着きがないのが見てとれる。

腕をブンブンと振り回し、地面を何度も殴りつける。

「・・・ぐ、ぐぐぐぐぐぐ、何故だ?何でてめえが、アンナの・・・

アンナの名前を知っているうううううううううううううううううううう!!!」

そう叫ぶとマックスが先に動き出した。

それに合わせてアランも駆け出す。

お互いの距離は一気に縮まり、アランはマックスの範囲内に飛び込んだ。

「しねええええええええええええええええええええええええええええええ!!!」

マックスは正確に、アランの顔面を砕こうとストレートを繰り出す。

それをアランは強く強化した知覚と俊敏性で正確に見極めてかわし、

そのままマックスの懐へと入り込んだ。

マックスは直ぐに拳を戻し、反対側の手でアランを潰そうと動く。

だが、アランの方が早かった。

「はああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!

メテオ・パニッシャー!!」

アランは叫ぶ。原作で繰り返し放たれた、彼の必殺技を。

その技は全ての力を振り絞り、眼前の敵を弾丸のように刺し貫く。

その一撃に穿てぬものなし。

その技を放つのを見て、観客達の歓声は最高潮に達した。

「ぐうっ」

マックスを刺し貫いた切っ先には、彼の体内から取り出された何かの

結晶が刺さっていた。

「ありがとう  私の愛しいアラン」

どこからかアンナの声だけが聞こえてくる。

「ぐ・・あ・・ああ?・・・あら・・ん・・・」

「・・そ、そんな・・・マックス?」

おもわずアランは彼に突き刺したサーベルから手を離して、顔を上げる。

「あら・・ん・・・お前・・・な、のか・・・・」

スッとマックスの瞳が健常な色に戻っていた。彼はゆっくりと目を閉じると、

体が保てなくなり、サーベルが胸に刺さったままにドスンと音を立てて

地面に倒れてしまった。

「そんな・・・・マックス・・・マックス、マックス!マックス!!

あああ!!起きてくれよマックス!!マックス!!ああああああああああああ!!!!!」

ふいにアランが声を荒げて絶叫し始めてしまった。

彼は死にゆくマックスに見せようと、自分の仮面を取ってマックスの頭を掴んで

必死に揺らす。

急な変化に、つい先ほどまでの喜々として見ていた観客達も息を飲んでその様を

見守っている。

半狂乱になって叫び止むと、アランは膝を折って座り込み、次第に嗚咽を漏らし始めた。

「えぐっ・・・ううっ・・・ぐうううううううう!

ぐあううう、ぐぐぐぐぐ・・・・・えぐっ・・・・」

だが、そんな彼の耳に新しく声が聞こえてきた。

『兄さんを開放してくれて、ありがとうアランさん』

『世話かけたな、アラン。お前のおかげで、俺は人間として死ねたよ。

ありがとう』

ヒューと大きな風が吹いて、その声の主達を連れ去ってゆく。

暫くすると、アランは伏せていた顔を上げて、天を仰ぎ見た。

「・・・・ご主人様?気は済みましたか?」

冷たい地面に転がされていたフリードマンの仮面が遠慮がちに主に話しかける。

「・・・ああ、心配かけたね、じいや」

彼はスクッと立ち上がると、足のドロ汚れをパッパッと払い、

自分の仮面を拾い上げて付け直した。

「アレが何だったのか分かるかい、じいや?」

アランは淡々とマックスからサーベルを引き抜く。

その切っ先に刺さっていた筈の結晶は既に消滅していた。

「わかりません。解析できればよかったのですが、その暇も

ありませんでしたので・・」

「そうか」

「ですが、予想を立てるたてることはできます。

アレは明らかに、呪われた呪物でした。

そしてあれをマックス様が前々からもっていたとも考えられません。

つまり・・・」

「どこかの誰かが、マックスに託したというんだね?そして彼を利用した」

「左様でございます・・・まあ、予想ですぞ?」

「いや、その予想は多分、正確だよじいや。

そしてその犯人はこの街のどこかにきっと居るんだ」

アランは舞台の中央へと進む。

そして今度は観客席に向けて姿勢を正すと、まるでその未だ見ぬ黒幕を

目の前にしているかのように睨みつけて、アランは叫んだ。

「じいや!僕は決めたぞ!これからの僕はマスクウォリアー!!

この仮面でその素顔と心を押し殺し、世の為に戦う正義の兵士・・・

マスクウォリアーとして、生きると!!」

言い切った時、観客たちは今までにないほどの最高の拍手と歓声が上げた。

カティル達もまたそれに乗じている。

ゆっくりと幕が下りる。


そして一拍開けると軽快な音楽が流れ始めて幕が上がり、カーテンコールだ。

今までの出演者たちがこぞって姿を見せるのだが、やはり悪役サイドの役者たちへの反応は冷ややかな観客たちが一定数いた。

それも済んで今での出演者たちが全て退場するとまた幕がおりる。

『以上で、本公演は終了いたしました。ご来場の皆様は、お忘れ物がないよう、

お気をつけて、お帰り下さいませ』

最後のアナウンスがかかるまで、その客席から離れる者は少なかった。



「いやー面白かったわねぇ」

「そうだなー」

「うん、今のお話、公式、で書籍化、されるまで、まだ。間がある、らしい。

イツカ早く読みたい・・・」

「おうおう、買ったら俺にも貸してくれな」

「私も読みたいかも!」

三人、夜の帰り道を連れ立って歩いている。

「ねえねえ、帰ったらどうする?」

「んー・・・そうだなー俺は早めに寝たいかなぁ」

「イツカ、また最初の巻から読み直す!」

「私はねー」

その仲睦まじく両手に花で肌寄せ合って帰る様が、周囲の者達からどれだけの妬みや憎しみの視線が

向けられているのか、彼らは知らない。

「できれば私、今晩はカティといたいんだけど・・・ダメ?」

ベロニカがそっとカティルの手に触れる。

「・・・・そうだなぁ・・・どうしようか」

言いながらも、カティルはベロニカの手をそっと握り返すのだった。




さて、この日の深夜。

とある出来事が起こったのを短く紹介しようと思う。


話はカティルの自室でのこと。

その日の深夜、イツカを抜きにしてカティルとベロニカの二人が同じ部屋で

くつろいでいたのでした。

すると

「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!?

2rfsegjw4rtq3fdmgo-ryi24ubzxbjuyy!!!!!」

ふいに奇怪な絶叫が響いたそうな。

ベロニカは全裸でシーツを頭まで被り、ぽっかりと穴が空いたような虚ろな瞳で

、ベッドの中心で膝を抱えてシクシクと涙を流していたそうな。

カティルも何故か全裸で、鼻をギュッと抑えてベッドから転げ落ち、

床をゴロゴロと転げまわっていたという。

「・・・そうなんだ・・・・わたしのアレって・・・そんなに・・・・

アレなんだ・・・」

ベロニカは繰り返しそう呟いていた。

今日こそはと意を決して挑んだ初戦。良い感じで初めてを終えられると思っていたのに。

彼女自身知らなかった、とある呪いの発動だ。


「この私の目が黒い限り、子孫達へのオイタなんて許さないノ」

そう言いながら、どこかでベロニカの先祖が笑っていたとか居ないとか。

うっし!二週間も間が空いてばかりいたけど今回は早めの更新です!

本当は週に二回ぐらい投下できないとソッポ向かれるのはわかってますよ?

僕ももうちょっと書くの早くなりたいなーって思う次第ですが、精進が足りないようです。

ですが、また次回も見て頂けたら幸いです。ではノシ

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