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LIGHTNING EDGE-神々に挑む剣 -  作者: 金属パーツ
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二話 シーン6「入館 その感動は誰のために」

昼食後にも三人の時間つぶしは続く。

先ずは道沿いの古書店。

「うおー!カティ、見てコレ」

「どうしたイツカ?それ、確かお前もう持ってた一冊だろ?」

「ちが、う!!これ、マスクウォリアーシリーズ『白銀の旋風』だけど

、特別なやつ!!」

〈???どう違うのか皆目見当もつかん〉

「これ、第六版!私が持ってる、の、第61版、なの!!

この『白銀の旋風』活版印刷が発明、されて、本の大量生産、が、可能になって

直ぐの作品で、シリーズ初めて、一万部を超えた傑、作!作者のベルモンド・

デベイルの名、前を一躍、有名にし、た。

亡くなる前に原作者のアルパート・ゲーモンド、さんも称賛してて。

とにかく凄い人気があって、十版以前の状態が良い古書は本当にレ、ア!なの」

〈おーおー、興奮しすぎて息継ぎが上手くできてない〉

「なるほど。それで、イツカはそれが欲しくなったわけね?」

「うん。だけど・・・これ」

言いながら、イツカはその表紙の裏に貼られた値札を見せてくる。

えっ、嘘?古本て普通定価より安くなるもんじゃないの!?

そこにはカティル達が考える相場の三倍以上の値段が付けられていた。

「こ、これはぁ」

「ちょっと手が出しづらいわねぇ」

「・・・・・・・」

イツカは俯いて黙り込んでしまう。

「また次回、来月とかに買ったらいいんじゃないか?」

「それじゃ、ダメ!誰かに買われちゃう」

「でも、だったらどうやって・・」

「カティ~」

目をウルウル潤ませて、イツカは顔を見上げてくる。

「やめろ、そんな目で俺を見ないでくれ」

「カティぃぃぃ」

「ダメ!貸せない!!」

「カティいいいいい」

「カティィ♡」

「ベルも!どさくさに紛れて二人で来るのやめて!!」



続いて、ベルに付き合うことになる。

場所は通り沿いにあるセレクトショップ。

小さい店構えながら、女性向けに絞り込みながらも複数の商会から集められた多種多様な衣服やジュエリーが陳列されている。

これぞ今年の最先端のファッションと言うような服がマネキンに着せられて飾られているのをマジマジと眺める。

それで気が済むと、ベロニカは続いてハンガーラックにかけて吊るされている品々を一枚ずつ手に取りながら入念に品定めをしていた。

「あ、これ可愛い。いいなー」

その内の一つに関心が向いたのか、ベロニカはそれをラックから外して広げて見る。

「ねえねえカティ!これどう思う?」

上機嫌な様子でベロニカが一着のフリルブラウスを取り出すと、それを自分の胸に当てて見せてくる。

ベージュ系で、少し落ち着いた色合いだ。

「うん、良いんじゃないか?イツカはどう思う?」

「んー・・・イツカ、服とか良くわかんない。でもきっと似合うと思う・・・・・けど」

「けど?」

「イツカ、ベルならもっと明るい色が良い、気が、する。そっちの白いのとかが、良い、かも?」

言いながら、イツカはベロニカが取った物の直ぐ隣りにかかっていた

純白のブラウスを指さした。

「なるほどねぇ。確かに白の方が清潔感あるし、顔もパァっと明るくなるっていうもんね」

ベロニカは試しにとイツカに勧められた方も手に取って、胸に当てて姿見で確認してみる。

興味がない分からないといいながら、イツカも服飾にコメントできる辺り、

やっぱり興味があるんじゃないか。

「それのどちらかしか買えないのか?両方買うって手もあるし、ないなら俺も少し出すよ」

「んー?買わないわよ」

「えっ」

カティルの気を使った提案をベロニカは真っ向から叩きつぶした。

カティルは目をまん丸にさせて硬直する。

「このお店に来たのは可愛い服とか今どきの流行の服とか知りたいから、よ。

・・・・それに私って、ほら、自分に合った服とかなかなか無くって、

オーダーメイドになるのよねぇ」

言いながら、ベロニカはそのたわわに実った二つのぽよぽよを揺らしてみせる。

〈ああ、言われてみれば、そうか。あれをしっかり納められる衣服なんて、

そうそう並んでいるとは思えない〉

ベロニカ曰く、お腹周りに合わせると胸が窮屈になり、胸に合わせると丈が

長すぎてダブダブになるんだとか。

カティルは詳しく話を聞いた訳ではないが、ベロニカのトップとアンダーの差は20cmを凌駕しているという。

グゥレイト!!



さて、そうやって方々で時間をつぶしている内に日が暮れて。

日が傾いた夕日が海の向こうへと沈もうかとしていたころ。

そろそろ開演の頃だと三人は劇場の近くまできていた。

場所はサウスウェスト通りの中ごろに、アルバ劇場通りというルートと

合流しているポイントがあり、その横道へ入った所。

このアルバ劇場通りという道は、その名の通り入ると五件ほどの大小様々な劇場がひしめき合う、娯楽の最先端とも呼ぶべき場所がある。

通りの名にあるアルバ劇場とは、この通りで最初に建てられた劇場から取られている。

小さい劇場だと収容人数は50人ばかりの小さい物があれば、最も大きい劇場ともなれば1000人の観客を収容することができるという。

そんな五件の劇場それぞれに一定数の来客があるので、このアルバ劇場通りは

いつも人がごった返すことで知られている。

そしてその客を目当てに、この通りでしかない不思議な光景が見られるのだった。

「らっしゃいらっしゃーい!新フレーバーのアップルシロップチョコ味のチュロスだよ!」

「アルバ劇場通り名物のポップコーンだ!!ここ来てこれ食わなかったらモグリだ!

当店限定、バター醤油!シナモンシュガー味を是非とも試してみてよ!!」

「クーロ〈黒色炭酸水〉!アイスティー!ミックスジュース!飲みもんなら

何でも揃ってるよ!!

今日は特別サービス!LLサイズが大割引だ!!安いよ!!」

「お、おいちゃん。ポップコーン、塩味のSください」

「まいど!」

「すまね、ミックスジュースくれ。バレア〈バナナ、レモン、アップルの略。

定番組み合わせの一つ〉Lサイズで氷少なめ!!」

「ありがとうございます」

「ごめんねお兄さん!うちチュロス、10本欲しいんだけど急いでくれる!?」

「大丈夫っスよ、直ぐに出せます」

この様に、この通りでは劇場が立ち並ぶのに合わせて様々な飲食店が立ち並び、

ここで買った物を抱えて各々の劇場へ入館していく姿が良く見られていた。

これはその昔、今よりも貧しい時代、どの劇団も飲食物の販売にまで手が

回らなかった頃の名残である。

今では一部の大劇場には不満が上がっているとも聞くが、その多様化していく

販売物のバリエーションや価格の安さに対して、どの劇場も太刀打ちできず、

館内の食品系の売店を充実させることができないのだそうだ。

結果、今でも劇場側も収益が下がるのを恐れて、館の外で購入した商品の持ち込みを禁ずる、とできないでいるらしい。

〈禁止した劇場もあったのだが、客から敬遠されて経営が悪化し直ぐ撤廃された〉

三人はそれぞれ欲しい品を売っている店へ別々に並んで、買いそろえた所で目当ての劇場前で合流した。

「よし、二人とも準備はできたな?」

カティはクーロのLサイズ一つ。

「もぐもぐもぐ・・・うん、ばっちし」

イツカはチュロス三本を片手に、残りの手にポップコーンバター醤油のLLサイズとアイスティーLサイズが乗った紙トレーを抱えていた。

そして既にチュロスを先っぽからかぶりついている。

「ちょっと、イツカ・・・そんなにいっぱい持って、どうやってモギリに切符渡すつもり?」

言われて、イツカは懐に入れていたチケットを出してみせようとモゾモゾする。

だが、どれをどうして塞がった手を開放するか案が浮かんでこず、ヤキモキした。

「・・・無理、イツカとれない」

イツカはガッカリとしょぼくれてみせる。

「ハァ、仕方ないわねぇ。一回、そのポップコーンとかを地面に起きなさい。

チュロスは私が一瞬もってあげるから、その間にチケット出す。

そしたらそれをカティに預けたら?

良いわよね、カティ?」

「ああ、良いぜ。俺が二人分出してやるよ」

「うん、お願い、します、カティ」

照れくさそうにしながら、イツカはカティルに自分のチケットを預けた。

「ところで、ベロニカ。お前のそれって・・・」

カティルはベロニカの方を見ながら呆れたように彼女が買った物を見つめた。

ベロニカはミックスジュースのカップを片腕に抱え、反対の手には何故か長い

打撃武器棒を持っている。

そのサイズは酒タルのように大きい。ストローが付いているが、その長さと太さも規格外だ。

「ん?これ?そこのジュースショップに普通に置いてあった商品よ。

全乗せミックスジュースと最大サイズのチュロス『風林火山』っていうんだって」

そのジュースは全ての取り扱われている果物や野菜類〈全50種〉を均等に絞って

混ぜた商品であり、内容量が4ℓもあるという。

そのチュロスは長さが180cmもあり、チョコが練り込まれていて浅黒い色をしていた。

それをベロニカに持たせると、今まさに戦地へ赴こうとする闘士という風貌が出来上がり、なんとも勇ましかった。

「それ客席に持ち込めるのか?」

「ああ〈汗」

一瞬、ベロニカが口ごもる。

「た、多分大丈夫でしょ!だってここ、劇場の来客をターゲットにしてる露店の

商品でしょ!

きっと大丈夫よ!!」

〈やっぱり何も考えずに注文してたんだな〉

カティルとイツカ、二人の無言の冷たい視線がベロニカに突き刺さる。

「べ、べつに考えてなかったわけじゃないわよ!

ほら、そろそろ開演じゃないかしら!行くわよ!!」

いたたまれずにベロニカは目当ての劇場へ向けてノシノシと先頭を歩いていった。

それを後から付いていくと、後ろから見るベロニカの姿はやはり勇ましかった。

特大チュロスは使い込まれたこん棒で、小わきの特大カップはダンジョンから持ち帰ってきた宝箱みがあった。


さて、それではその頃のバルズタースはというと。

彼も実は、この通りへと来ていた。

彼もがっつり思考で、その両手に抱えられた紙トレーには特大ポップコーンの

キャラメル味と塩味が一つずつ。

そしてカップ置き場にはLL〈内容量1ℓ〉サイズのクーロが置かれている。

それらを抱えて彼も適当に選んだとある劇場で当日券をその場で買い、

館内に入館していく。

が、その劇場はカティル達が入って行ったところとは違うハコであった。

バルズタースにとってカティル達の監視は仕事というよりは趣味であり、

それも現在では終了しているといった様子で、彼の意識から完全に

カティル達の存在は消されていた。

今は客席に座り、開演の時を今か今かと待っている。

「チッ、やっぱ下界は面倒だなぁ。主神様もどうして時計の封印なんて・・・」

幕の上がらないことに少々を痺れを切らしそうにイライラとしながら、バルズタースは小声でそう零した。

以前にも一度説明したことがあるが、この世界には時計がない。

〈原始的な日時計のようなものはある〉

作れない、発想がないではない。作ることが許されていなかったのだ。

現実の話、地球の歴史では紀元前1000年以上前から水時計が発明され、六世紀頃から蝋燭を使った火時計や砂時計があり、13世紀には機械式時計が発明されている。

だが、こちらの世界では暦1900年を超えた現在でもそれらがない。

故に技術が発達し、職業や人の役割が複雑化していき、時間に追われるように働く現代になっても、人々は朝昼夕夜といった曖昧な中で暮らすのを余儀なくされた。

それは何故か?

全ては主神の企みによる所が大きい。

神々が人類に恩恵を与え、崇拝の対象だったころ、主神は言った。

___時とは、我ら神々が司り、操作し管理する最も重要なる存在である ____

__ 故に、人の身でそれらを測り操ることを禁止する __

と託宣を残しているのだ。故に神へ祈ることがなくなった現在でも、

その『時』、という物への忌避感は強く残っており、不正確で曖昧な時間の

感覚の中で、人々は今も暮らしている。


故にこの劇場も開演時間が大まかにしか決まっていない。

せいぜいで、お日様が沈んである程度客席が埋まったら始めるか、という曖昧さ

いい加減さがまかり通っているのである。

それを不満げに、バルズタースはポップコーンを口に放り込んでいった。

「・・・あ?」

するとふいに、彼はとある視線に気が付く。

バルズタースの直ぐ隣り、見知らぬ母子が座っていた。

その娘の方は神がポップコーンを食らう様をジーっと見つめていたのだった。

「こ、こらアリス!そんな人さまをジロジロと見ないの!!失礼ですよ!!」

アリスと呼ばれた年の頃五歳ぐらいの小さい娘を母親らしき女性が叱責する。

だが、アリスは必死な母親の言葉が耳に入らないというように、バルズタースの手元から視線を外さない。

「・・・もしかして、これ欲しいのか、ガキィ?」

彼はアリスに向かって、その一粒のポップコーンをちらつかせてみる。

コクコク

アリスは無言で頭を何度も上下した。

「ちょっ、アリス!いけません、私達がひもじい思いをしてると思われるでしょ」

母親は声を荒げてアリスを注意する。だが周囲に迷惑をかけるのでは、と

けっして声を大きく張ることはしなかった。

〈ああ、そういう奴らか〉とバルズタースは察した。

この劇場は立ち並んでいた他所のハコと違って規模も小さく、入場料も最大収容人数も少ない劇場だ。

恐らくはそんな程度の劇場だとしても、月に一度の楽しみとばかりに舞台を眺めるだけで精いっぱいという所得の家庭なのだろう。

で、きっと恐らくはこのアリスという子供、これらのポップコーンなどの

スナックとは縁がなかったに違いない。

「す、すいませんねぇ。うちの子がワガママばっかりの子で。移動しますから

どうかご勘弁くださいまし」

バルズタースがどこかの上客か何かかと察した母親が席を立とうとする。

周りに迷惑をかけずに目立たずにコソコソと生きていこうとする、弱弱しくも

貧しさに首元まですっかりと染み付いているのが感じられる行動だった。

普段の神なら、そんな輩は眼中に入れもせずに無視する所だっただろう。

「おう、嬢ちゃんそんな急がなくても良いって。気にせずそこ座ってろよ」

「じょ、嬢ちゃん?〈私が?〉で、ですけど、ダンナさんみたいな良いお召し物の

お客様にこれ以上のご無礼を働くわけには・・・・」

「良いから、気にすんな。それよりもガキ、アリスとか言ったな?

今から良いもん見せてやる。よーく見てな?」

言われて、母親に手を引かれて無理矢理連れ去られそうになっていたアリスが、

またバルズタースの丁度隣の席に座りなおした。

「いいか?」

バルズタースは懐からハンカチを一つ取り出した。

それに手の平に乗せた一粒のポップコーンの上に被せて隠してしまい、ぶつぶつとお呪いをかける。

「アブダールカタブール、アブダールカタブール・・・ほい」

言いながらハンカチを外すと、なんとそこにはポップコーンの代わりに

小さな紙コップが現れたのだ。

「おぉ・・・」

アリスは目をキラキラと輝かせて、小さな感嘆の声を上げる。

それを受けて、バルズタースは満足げにニヤニヤとして笑みを浮かべると、

おもむろにその紙コップに自分のポップコーン〈キャラメル〉を入れていく。

擦り切れいっぱいまで入れると、そこからは一粒ずつ零れないかどうかのギリギリまで乗せていき、山盛りになった所で、アリスにそのポップコーンの入った

紙コップを下賜したのだった。

「・・・もらっていいの?」

受け取りながらも、アリスは上目遣いで伺ってくる。

「おお、良いから食っとけ。余ったら捨てるしかねぇしな」

その少女に対してあえて視線を合わせず、降りたままの天幕を眺めつつ神は答える。

それを聞いたアリスはパアっと顔を輝かせて、ポップコーンを一粒摘まんで口に

放り込んだ。

「ありがとうございます!ほら、あんたも食べてばかりいないでお礼いいな」

「うん、ありがと、おじさん!!」

〈誰がおじさんだぁ!?〉

声には出さなかったが、最後のアリスの一言に神は心を痛めて渋い顔をさせられた。

だが、それから間もなくやっと開演の合図が入り、消灯。

天幕が上がり、舞台上が照らされた頃には、神の心は落ち着きを取り戻した。


ちなみに神が見にきた演目のタイトルは「勇者達の旅立ち」

かの『エルダーツリー号の冒険』の最序盤、勇者が最初に出会った仲間達である

11人の家来を連れて、伝説の船エルダーツリー号で出航するまでを描いた物語である。


何故、神バルズタースがこの演目を選んだかというと。

実はこの物語、後の人達の創作であり史実は一切関係がなかったのだ。

一応、当の神もそういう物語が人間の間で親しまれているらしい、ということは

聞き知っていたのだが。

わざわざ知ろうとは思わなかった。

だが何かの気まぐれか、神は知りたくなったのだ。

この話を通じて、人間達の間で神バルズタースはどのように慕われ敬われていたのかを。

なんとなく、知りたくなったのだった。


話は進んでいく。

まずまず面白いなと熱中して見てしまい、

ポップコーンを頬張ってストローからドリンクで喉を潤すのが止められない。

最初の島で暴れていた魔族の首領を倒し、そしてついに、神バルズタースとの出会いのシーンへと差し掛かった。


__ おお、勇者アベルよ。よくぞ我が封印を解いてくれた。

我が名は闘神バルズタース___


神の役を務めていた役者は身長が高いノッポさんなのだが、

それに負けず恰幅がよくデップリとしていた。

〈・・・おいおい、あれが俺かよ。神殿には俺を上手く象った石像なんか

飾らせてた筈なんだがなぁ。

もっと良くみてキャスティングしてほしいもんだぜまったく・・・〉

心の中でそう呟くが、けしてその怒りか呆れか判別のつかないマイナス感情を外に出すことはしなかった。

うまい具合に抑えつけることができたのは、前後左右の席で真剣に見守る子供達のことを気遣って、という点が強かった。

アリスも含め、それぞれの少年少女たちは真剣な表情でそのシーンを見守っている。

どうやら子供達の間ではここがボスと対峙しているシーンと双璧をなして愛されてる名シーンであるようだ。


__さあ、ゆくがよい、勇者アベル。まだまだ魔族達によって封印されている神々は多い。

そして魔族達に苦しめられている国々は数知れずである。

それらを開放し、見事予言に記されし108人の英雄を集めて再びこの地へと戻ってくるのだ __


「お任せください、神バルズタース様!ぼくらは負けません!!

どんな苦難が待っていようと、旅の中で出会った仲間達を信じ、神から賜わった

このエルダーツリー号で立派にこの旅を成し遂げて見せましょう!!」

言いながら、勇者役の役者が客席の側に向けて高々と剣を掲げ、そう叫ぶ。

感動の名シーンが来たぞ、と館内では沢山の拍手が巻き起こった。

パチパチパチパチパチパチパチ

中には椅子の上に立ち上がったり飛び跳ねる子供が現れる熱狂ぶりだった。

が、それらを眺める本物バルズタースはというと

〈まいったねぇ・・・クソすぎて笑えねえ〉

唇の端を小さくゆがめさせて、失笑とも微笑みともつかぬ表情でそれを見ていた。

その手はいつしか、ポップコーンではなく隣で見ていたアリスの頭をポンポンと

優しく叩いていたのだった。

ああ、土曜日の夕方には投下したかったのに、こんな時間になってしまいました。

もっと筆が早くなりたいです。

また次回更新がんばりますね

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