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セレスティアル  作者: たくレイ
第一章
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6話 夜明けの星々

 「フッッッ!!」


 レンジは、迫り来る棍棒を剣で弾き、ゴブリンは体勢を崩す。

 

 「ハァーーー!」

 

 その隙を付き、《アーマ》で強化されたルフレの剣が、ゴブリンの首を捉える。


 ーぽとっ


 ゴブリンの首を切った。

 首と胴になったゴブリンを見ながら、レンジとルフレは一息つく。


 「これで何体目だ?」

 「10体目だよ」

 

 ルフレは、討伐証明になるゴブリンの耳を解体用ナイフで剥ぐ。


 「そしたら後10体で、依頼達成だな!」

 「そうだね。確かラノスとミアがゴブリンの集団を見つけたとあっちに向かっていったね」


 そう言い、ルフレは2人が向かった場所を指差す。

 

 「よし、俺達も向かうか」

 「そうですね」


 2人は、ラノスとミアのが居る森の奥に向かっていった。




 「おっ、いたいた」


 レンジが着いた場所には、何体ものゴブリンが地に倒れていた。

 焼け焦げてる者、切り傷が深く絶命している者など、その数は10数体と及んでいた。


 「すごいね、この数を2人で倒していったのは」


 遅れて着いたルフレは、この状況に驚きを混ぜた顔で言う。


 「俺達の中じゃあ、ラノスとミアが一番強いからなぁ〜」

 「応援に行く?」

 「いらねえだろ。もうそろそろ終わりそうだし」


 レンジとルフレは、まだ戦いを続けている2人に視線を送る。



 「ファイアボール!」


 ミアが魔法を使うのと同時に、俺はミアが放つ先にいるゴブリン2体目掛けて走っていく。

 ミアの杖の先から、ボール状の火の玉が2体のゴブリンに近づくが、2体ともそれに気づかない。

 魔法を先に走り出した俺がその姿を隠していたからだ。

 3体に2メートルほどまで近づいた俺は横に飛ぶ。

 俺が居なくなったことで、姿が見えなくなっていた《ファイアボール》が現れ慌てふためいているが遅い。

 《ファイアボール》が直撃した後俺は、すかさず2体に近づき剣を一閃。

 それで絶命したゴブリン達は膝から崩れ落ちる。


 「やったねラノス」


 ミアは笑顔で俺に近づいた。

 

 その時、


 「危ねぇーーー!!!!!」


 遠くから聞こえてきたレンジの声を聞いた。

 瞬時に、俺は振り返ると同時に手を伸ばす。

 何かを掴む感覚がした俺は、掴んだ先を見た。

 その手には、緑色の毒が付着された矢があった。

 

 (あっ、あぶねえぇ〜〜)


 俺は、内心で焦りながらも矢の放たれた先を見る。

 そこには、次の矢を放とうと弓を構えたゴブリンがいた。

 しかしその後ろから、ルフレが現れ何も気づいていないゴブリンの背を突き刺す。

 ゴブリンは抵抗もできずに死んでいった。

 

 「「ラノス!!」」


 ミアとレンジが俺に近づいてきた。

 

 「だ、大丈夫?」

 

 ミアは心配そうに俺を見てきた。

 

 「大丈夫だから、心配しないで」

 

 そう言うとミアはホッとした顔をした。

 

 「それにしても、ラノスお前よくその矢を掴んだな」

 「いやなんとなく何かが飛んできた感覚があったね」

 

 そうあの時俺は、背中もっというなら自分の半径何メートルを“感覚“と“視認“出来ていた。


 (なんだったんだろうさっきのは)


 思考していると、ゴブリンの処理を終えたルフレが戻ってきた


 「まぁ何はともあれ、これで依頼は達成だな」

 「依頼の内容は、20体だったけどここに倒れてる数と僕とレンジが倒した数で30体程になるね」


 「おー10体分多く倒しちまったな」


 残った10体をどうするかと考えた俺に、

 

 「10体に関しては、解体して魔石や使える部位をギルドに換金すればいいだろ」

 「珍しく、レンジ君がいい考えを言ってるね」

 「どういうことだよミア!」

 「えーだってレンジ君だし」


 その言葉に、俺とルフレは笑った。

 レンジはまだミアに言いたいことがあったようだが、俺たちはそれを止め地面に倒れてるゴブリンの耳を剥いでいった。





 「依頼達成おめでとうございます。こちらが今回の報酬になります」


 報酬を受け取った俺達は、ギルド内で食事をしていた。

 ギルドでは、待ち合わせや依頼の受理、換金などといった待ち時間が発生することが多く、お酒や食事などが売られている。

 席で食事をしていると、俺達に近づく人が表れた。


 「お食事中申し訳ありません。少し宜しいでしょうか」


 その人は、執事服を着た長身の男性だった。

 見た感じ高齢の方だが、物腰は柔らかく感じるが、その瞳の眼光は鋭い。

 このお爺さんは強い。

 それもとてつもなく強い。

 

 「はい大丈夫です」

 

 ルフレは、食事の手を止めお爺さんの対応をする。


 「ありがとうございます。私《夜明けの星々》に所属している、ボルアーと申します」


 ・・《夜明けの星々》

 確かこの街で、1、2位を誇るクランであり、クランマスターはAランクの冒険者と聞いたことがある。

 構成員も30人を超えていて、師匠と同じBクラスの冒険者も何人かいる。

 

 そんなクランの人が、俺達に話しかけてきてなんの様だろう。


 「ここ最近の貴方達の活躍をお聞きし是非一度ご挨拶申したいと思っておりました」


 ボルアーは一礼した。

 それに対して僕たちもボルアーさんに一礼した。

 

 「私は、若者の活躍や成長を見守るのが趣味でして、今回は皆様に注意をしにこちらに参りました」

 「注意?」

 「実はここ最近東区の森の奥地で怪しい動きがありまして――」


 ボルアーさんの話によると、ここ最近森では魔物の行動に異常があり、本来奥地に住む様な魔物も見かける様になったり、魔物の活動が活発になったりと、予想では奥地に強力な魔物が現れ、自分の住処にしている可能性や魔物が進化もしくは異常発生、突然変異などといった生態系が崩れてる恐れがあり《夜明けの星々》は、その調査を任されているようだ。


 「成程、ご忠告有難うございます」


 俺達は、ボルアーさんにお礼を言う。

 ボルアーさんは、表情を和らげながら一度頷く。


 「それでは皆様のさらなる活躍を期待しております」


 そう言いボルアーさんは俺達から離れていった。


 「緊張したね〜」

 

 ミアは、ボルアーさんが《夜明けの星々》だと知ってから緊張していて体がガチガチになっていた。


 「すげー強そうだったな!」

 

 レンジは、ボルアーさんの風格にずっと目をキラキラさせていた。

 分かるぞ!

 男なら誰しも強い人に憧れるもんな!


 「ふむ、森の奥か」


 ルフレは、ボルアーさんの森の奥地の話を考えていた。


 んっ?

 俺は、そこである事に気づいた。



 



 「ご飯、冷めてね」

 「「「あ」」」


 もちろんご飯は残さず食べました。

 ご飯硬くなってたけどおいしかったです。



 ♢


 

 「ふむ良い目をしていたな」


 ボルアーは、先ほどまで話をした4人組を思い出しながら、《夜明けの星々》の本拠地を歩いていた。

 そこに、秘書の様な服を着た知的な女性がボルアーに近づき、ため息を吐く。


 「マスターまたそのような格好をして」

 「ハハ、すまないすまない」


 ボルアーは、笑いながらクランの広間まで歩を進めた。

 そこには、数多くのクランメンバーがいた。

 ボルアーが広間に来た事で、先程まで騒々しかった広間は静かになる。

 ボルアーに送られる視線には、尊敬の目や憧れの目、少数がボルアーの格好に呆れた目線などと様々あるが、みなボルアーに敬意を示していた。


 「皆さん集まっていただき有難うございます」

 「気にすんなよマスター」

 「そうだぜマスター」

 「また変な格好してるわね」


 ボルアーが発した言葉に皆が反応する。

 ボルアーは一呼吸挟み口を開ける。 


 「我々は東区の森奥地の調査を本格的に始める。危険が潜んでいる可能性はあるがみな私についてきてほしい!」


 「「「「ウォォォォォーーーー!!!!」」」」


 「マスター!」 「マスター!」 「マスター!」 「マスター!」


 この日《夜明けの星々》は、東区にある森の奥地に住み込む長期調査に入る。

 ギルドは、この調査にそれほどの心配をしていなかった。

 なぜなら、このクランを率いるクランマスターのボルアーは、Aランク冒険者の一人であり『猛虎』の二つ名を持つ英雄クラスの強さを持つ英傑だかだ。


 「さて、奥地には何が出るのやら」

 

 

 

 

  

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