5話 昇格テスト
「「「「やったー!!」」」」
俺たちは師匠の修行の元、4人でだが、一本一本協力しクエストの木10本切り終わることができた。
「お前らよくやった」
スルカは4人の顔を軽く頷きながら見回した。
「最初あった顔よりましになったな、、、、でもミアちゃんは最初の時から可愛かったけどね~」
「はは、ありがとう師匠」
ミアは苦笑いをしながら返事をした。
スルカはこのクエスト期間中一緒に過ごしてる間どっぷりミアの魅力にハマってしまったらしい。
まぁ、分からなくもない。
誰が見たってかわいい女の子で性格もいい、これで好きにならない人の方が少ないと思う。
そんなスルカは、俺達をこの短期間で強くしてくれる程の実力がありその正体が気になり俺はある質問をした。
それは、、、
~ある日の夜~
その日の稽古を終え、いつも通り皆で野宿をしていた時の話だ。
稽古で疲れ寝ているとき、ふとラノスが起き上がった。
「んんん、、、喉渇いた」
ラノスは喉が渇きテーブルに置いてあった水を飲んだ。
喉も潤った所でさっきまで寝ていた場所に戻ろうとした時に、少し離れた場所で師匠が一人で焚火をしている姿が見えた。
「なにしてんだ師匠?」
ラノスは眠たい目を擦りながら師匠の方に歩いて行った。
パチパチと焚火の音が鳴っている所にラノスの気配に気づいたのかスルカが話し出した。
「眠れないのか?」
「いや、めちゃくちゃ眠いけど師匠が何してるのかきになっちゃって」
スルカはラノスの返答に微笑をしながら話した。
「ふっ、、、なら寝ろ明日もビシバシしごくから寝て体力回復しろ」
ラノスは少し寝るか考えたが、少しだけ話をすることにしスルカの隣に座った。
「いや、もう少しだけ起きときます。」
~10分後~
気まず~~~
10分間ずっと無言の空間つら過ぎだろ。
とりあえず座れば話の話題が出ると思ったのに!
・・・あっそうだ、ずっと気になっていたあれを聞いてみよう!
ラノスは、シーンとしている気まずい中元気よく質問した。
「師匠はなんでそんなに強いんですか?もしかして前は冒険者とかだったんですか?」
「・・・あぁ随分前の話だけどな」
「やっぱりそうですよね!あの強さならCランクかBランクくらいの実力者ですもん」
「そうだな、確かBランクだったな。
おいランスお前はなんで強くなりたいんだ?」
「ラノスです。強くなってミア、レンジ、ルフレ達になにかあった時に守れる様になりたいからですね」
「じゃあ、強くならないとな」
「はい!」
「それじゃもう寝ろ」
「うっす、お休みなさい」
スルカはラノスの返事に頷き頭を下げたまま寝床に戻ってた。
なぜかその時のスルカの顔は少し悲しそうな顔をしていた。
~現在に戻る~
スルカはBランクの冒険者みたいだった。
あの口ぶりから今は歳とかでやめている感じなのか?
それにしてもこの短期間であっという間に強くなれた。
特にミア!
俺も負けないようにこれからも頑張らないとな。
そこから俺たちは依頼を完了したので帰る前に師匠に挨拶をした。
「師匠!俺達をこの短期間で強くしてくれてありがとうございます」
「僕もとてもいい経験が出来ました。ありがとうございます」
「俺もこの3人に負けないようにこれからも頑張るから応援していてくれ!」
「私からもありがとう。師匠に教えてもらったことを大切にします」
スルカは少し涙目になりながら「あぁ頑張ってこい、いつでも戻って来てもいいからな」と言ってくれた。
俺たちは挨拶を済ましギルドの方に帰った。
♢
「お疲れ様です。こちらが今回のクエスト報酬になります」
受付嬢からお金が入ってる袋をもらった。
「それにしても、依頼主のスルカさん大丈夫でしたか?」
レンジは受付嬢の質問に誰よりも早く反応をする。
「いやいや、大丈夫じゃないですよ。あの人、人間の心無いのかってくらい酷かったんですよ。
クエストはクリア出来て、強くさせてもらったからいいけど鍛え方が悪魔すぎる」
「その通りです。僕もあんな事やそんな事やられて、、あぁぁもう思い出すだけで、うわぁぁぁぁ」
ルフレは頭を抱えて外に走って行った。
あのいつも冷静なルフレの精神がバクってる。
どんな事やられたんだろう?
そんな事を思ってる間にミアも話し出した。
「ええぇ~いい師匠だったじゃん。
私は今回の稽古で少し自分に自信が持てるようになれたからよかったけどな~また皆で稽古してもらおうね!」
「ふざけんな、もう二度と行ってたまるか」
「いいじゃん!」
「いーや良くないね」
ギルド内はミアとレンジの口論になっていた。
そんな中ラノスは二人に呆れてギルド内にあるバーの席に座り牛乳を頼んで飲んでいた。
それから1ヶ月程経った。
俺達は、ほぼ毎日クエストを受けていた。
配達の依頼やたまには毒を吐く蛇や脚力が発達していて動きが早いウサギなど色々な魔物の討伐などを受けていた。
レンジはいまだにエンシャントドラゴンの依頼を受けたがっていた。
そんな無茶なクエストは無視無視。
ラノス達はいつも通りクエストを受けようと4人でなにかいいクエストを探してる時にいつもの受付嬢が話しかけてきた。
「ラノス様達はランク昇格テストを受けれるのですがいかがですか?」
「えっ?ホントですか!受けたいです」
「僕も受けたいです」
「俺も!」
「私も!」
受付嬢は4人の同意の返事を聞き、座っていた椅子から立ち上がった。
「では私についてきてください」
ラノス達は受付嬢の言われるがままについて行った。
それからだいたい5分くらい経過したあたりになるの闘技場らしき所に着き受付嬢は止まり話し出した。
「ここはギルド専用の闘技場になってまして、今からDランクの魔物ポップルを倒していただきます」
そこにいたのは、フワフワしてピンクの毛皮をしてチワワに似た形をしていて、小さくかわいい感じの魔物だった。
ポップルを見たラノスは驚いたような顔をして、レンジはバカにした感じで鼻で笑い、ミアにいたっては「かわいい~」と言ってる始末だ。
ルフレは手を軽く上げた。
それに気づき受付嬢は「どうしましたか?」と聞く。
「僕たち4人であのポップル?って魔物を倒せばいいんですか?」
「はい、それだけです」
「おいおい、舐めすぎこんなの瞬殺だろ」
俺もレンジと同じ風に思う。
いくらFランクの俺達でもこの1ヶ月だてにクエストをこなしただけだはない。
E,Dランクの魔物は何度か倒してるし、俺達は元Bランクの師匠に鍛えてもらってもいる。
しかも4人で倒していいときた、余裕だな。
そんな事を思ってるうちに受付嬢が開始の言葉を放った。
「では、始めてください」
受付嬢は開始の言葉と同時にポップルに向かって走り出したやつがいた。
飛び出したのはレンジだった。
レンジは走りながら《アーマ》を全身に纏い腰にかけていた剣を抜きポップルに剣を振りかざした。
カキーン!!!
レンジが振りかざした剣が弾かれた。
予想外の事でラノス達4人は驚いた顔をした。
すると、受付嬢が話し出した。
「この魔物は攻撃力などは全くなく、動きも遅い変わりにとても硬い皮膚をもっており、この皮膚の防御力によりランクDになっております。
そして以前受けていた木の伐採依頼の木と2倍の防御力をポップルはもち合わせているほど硬いので頑張ってください」
すると4人は笑い出した。
笑い出した反応に受付嬢は驚いたような顔をしていた。
(なんで笑ってられるの?ポップルはそんな簡単に切れる魔物でも無いしそもそも倒し方が、、、)
「なーんだあの木の2倍くらいか~(笑)」
「じゃあ簡単だな。皆レンジのサポートするぞ。」
「はい!」
「うん!そうだね」
3人はレンジの所に集まり自分達の魔力をレンジと合わせた。
そして、もう1度ポップルに剣を振りかざした。
スパッ!!
今度は弾かれることなく綺麗に一刀両断出来た。
受付嬢は驚いた顔をしながら「ラッ、、ランク昇格試験合格です」と動揺しながら言った。
「よし!」
「やったー」
受付嬢は、俺達がポップルを切ったのを驚いてるようだったが、俺達はこの1ヶ月色々な依頼を受けてる間にだいぶ強くなっていたのを実感してたから、4人で協力すれば2倍位の硬さくらいだと切れる自信は全員に合った。
試験を終えた俺達は、未だに驚いている受付嬢と一緒にギルドに戻った。
ギルドに到着する間には受付嬢もいつも通りの状態に戻っており話をしだした。
「試験ご苦労様です。今日はもうギルドを閉める時間なので明日カードの方を更新しますので、また明日来てください。」
「分かりました。それじゃ」
4人はギルドを後にした。
ギルド内は受付嬢達だけになり、受付嬢達はギルドの掃除を始めた。
するといつもの受付嬢は、先輩の嬢の所に行き話をした。
「先輩聞いてくださいよ。今日ラノスさん達の昇格試験やったんですけど剣でポップルを倒していたんですけど、ヤバくないですか?」
「え?あれってCランクとかがやっと切れるくらいじゃなかったっけ?」
「そうですよ。それにポップルはあの防御力から基本火魔法で焼き倒すのを剣であの4人切ったんですよ?やばくないですか?」
「やばいね(笑)最近あの子達調子いいもんね。でもこのまま調子よくって、いつか調子に乗っているといつか取り返しのつかない事があるからね。そこだけは、気おつけるように言っておくんだよ。」
「そうですねルーキーの成長が一番激しいあの歳頃の時期が一番死亡率高いですもんね。まぁあのしっかりした子達なら大丈夫だとおもうんですけどね」
そんな中ラノス達4人は宿で昇格したことを祝して宴をしていた。