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セレスティアル  作者: たくレイ
第二章
51/60

50話 一緒

「依頼をすっぽかすなよ」

「えっ?」


 リリスは呆けた顔をする。

 ん?

 聞こえなかったのかな。


「嫌だから依頼すっぽかすなよ。お前が受けたんだろ」

「それはそうなんだけど。私結構、真剣に話してるんだけど」

「俺も真剣だよ。姫様からの依頼受けたその日に辞めるってヤバいだろ」

「それはそうなんだけど!」


 リリスはさっきの私の覚悟は何だったんだ!?という気持ちで一杯だった。

 しかし、そんな気持ちなども知るよしもないラノスは話を続ける。


「リリス」

「何よ」

「お前がなんで、此処を出ようとしてるのかは分かる。

 でもそんな事は関係ない。仮にお前が魔王だろうと俺は気にしない」

「でも!」

「お前は悪い奴じゃないよ。短い付き合いだがそれは分かる」

「そんなのーー!」

「ああそうだ!お前に対する問題が解決した訳じゃない。

 仮にリリスの事でこの国に迷惑をかけるような事があったらその時は、、、」



ー俺と一緒にこの国を出よう



「あ」


 リリスの瞳から一筋の雫がこぼれ落ちる。

 慌てて手で拭き取るが、拭き取る反対側からまた新しく、1滴2滴とこぼれ落ちる涙は止まらずやがて声すらも震え始める。


「な、何よ、ぞで、ぐずっ」

「何だよ泣いてんのか笑」

「るっさい!」

「へへん、そんなの当たんなグヘッ!」


 リリスの振り払う腕を避けたつもりのラノスだが、思いの外スピードが早かったのか、もろに顔にぶつかり地に沈む。


「おっ、お前!」


 すぐに起き上がるラノスの目の前を過ぎ去るリリスだが、少し離れた後足を止め顔だけをこちらに向ける。

 その顔にはすでに涙はない。


「ねぇ」

「何だよ」

「本当に一緒に着いてきてくれるの?」 

「ああそのつもりだ」

「そう」


 リリスは顔を正面に戻し再び歩き始める。


「おい待てよ」

 

 ラノスは慌ててその後追いかける。

 

 

 後ろ姿しか見えないラノスは気付かない。

 前を歩くリリスの顔が赤く染まっている事に。




「それで、どうなのよ?」

「どうって?」

「私が魔王かどうかよ」

「そんな事言われてもな〜」


 そもそも可能性があるってだけでリリスが魔王って決まった訳じゃない。

 魔力量、ベアーの話、関連性は多くあるが決定付ける証拠にはなり得ない。

 

「魔王同士の戦いで負けた方は記憶が消えるんでしょ」

「そう言ってたな」

「まさに今の私でしょ。記憶がないって所」


 そうなんだけど。

 その話に実はおかしな所があるんだ。

 負けた魔王アスクル・プラン、そいつは確か、、、



()なんだよ」

「え!?」

「負けた魔王の性別」

「そうなの!?」


 とても驚くリリスだが、無理もないだろう。

 性別の話を聞くまで、自分がその魔王なのではないのか思っていたからだ。


「争った魔王同士は有名だからな。容姿や性別も話で聞いた事はあるよ」

「そう、なの」


 リリスは何処か安心した表情をする。

 しかし突如ムッとした顔をする。


「それを知っていたら何で話さなかったのよ。私てっきりその魔王なんじゃないかなって思ってたのよ!」

「いや〜あはは」

「あははじゃない!!」

「うわーーっ!!」


 ラノス追いかけ回すリリスの表情は、いつものものに戻っていた。

 この先何が起きるのかは分からない。

 それでも今の自分は1人じゃない。

 この国で出会った者がいるのだから。



〜アラン〜


 私は今、執務室であるお方をお待ちしております。


ーコンコン


「どうぞ」

「失礼しますよ」


 部屋に入って来たのは、執事服を来た高齢の男性だった。


「久しぶりですね〜、()()()()様」


 ボルアー

 Aランク冒険者であり、クラン『夜明けの星々』のリーダーを務める。

 更に『猛虎』の異名を持つ英傑。

 

「ええお久しぶりですね」


 私達は挨拶を済ませ席に座る。


「突然ですがボルアー様」

「はい」

「非常に申し上げにくいのですが、私思うのです」

「何をでしょうか」

「貴方とのキャラが被ってるのですよ!!」

「・・・・」


 ボルアーは困惑と同時に思う。

 何を言ってるのだコイツ?と。


「キャラと言いますと?」

「それです!その言葉遣いやめて頂けませんか!!」


 ビシッ!


 アランはボルアーに指を突き付ける。

 突き付けられたボルアーは長い溜息をする。

 

「は〜〜貴方はいや、お前は相変わらずだな」

「おっいいですね。それですよそれ。

 懐かしいですね〜昔を思い出しますよ」

「お前も口調が変わって来てるぞ」 

「いいんですよ!此処には私と貴方しかいませんからね」


 2人の口調は崩れる。

 それが素であるかの様に。

 

 かつて、アランとボルアーには交流があり、苦楽を共にして来た。

 互いに友情、もとい悪友めいた気持ちを抱いていた。


「それにしても驚きましたよ。貴方がこちらに来るとは」

「少し用事があってな。それに」

「ええ、ええ!分かりますよラノス君ですよね!」

「・・・まぁ間違ってないが」


 興奮するアランにボルアーは押され気味になる。


「相当入れ込んでるみたいだな」

「それは勿論。何せ彼は私が探し求めた存在なのですから!それにそれは貴方もでは?」

「流石にお前程ではない。少し気になる事があってな」

「ほう、興味がありますね。話してください」

「仕方ないな」


 執務室では暫くの間、談笑の声が響いたという。

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