48話 本当ですか?
「どう思う?」
「どうって?」
城の通路を歩くラノスとリリス。
リリスの疑問が分からず聞き返すラノス。
「さっきの話よ。ほらエルラ・・・様の」
「お前その間を開けて様付けするのやめとけよ。誰かに聞かれたら不敬だ!って言われてめんどくさい事になるぞ」
「っさいわね。慣れないのよなんか。それよりもどうなの?」
呆れた声を出すラノスに、リリスは苛つきを交えた声をで聞いてくる。
「そうだな〜」
先程姫様が話した内容は、驚くものばかりだ。
(それこそ話の内容全てを信じられないくらいにはな)
でも、嘘ではないのだろう。
あの時のエルラの悲しみは本物だった。
あれが嘘だと言うなら、俺はこの先一生人間を信じられなくなる。
「俺は本当だと思う」
「それは私も思うけど、全部を信じろと言うのは無理があるわよ。
それこそ恐怖で話が誇張されていた方がいいぐらいにわね」
「まぁ、な」
リリスの気持ちはよく分かる。
話が誇張されている方が幾分かマシだ。
「でも全部が本当だったら」
「厄介な依頼を受けたわ」
リリスは先程の自分の軽率さを恨む。
エルラを部屋から出す依頼だけで満足すればよかった。
いくら報酬を増やしても、これでは割に合わない。
「それでも受けちゃったのよね」
「何だよ後悔してるのか?」
珍しく悩み込むリリスに、ラノスは問い掛ける。
リリスを覗く瞳には心配の色を交えながら。
「いいえ、受けたからには最後までやるわよ」
「そうだよな。そうこなくちゃな」
俺もこの依頼から降りるつもりはない。
あんな話を聞いたんだ。
エルラ様の護衛依頼は無事に完遂させるつもりだ。
「それじゃあ、暫くここに住むことになるしあそこに行くぞ」
「あそこ?」
「忘れたのか?もう何日も経ってるんだ。1つぐらい掴んでるといいけどな」
「だから何処よ?」
「いいからいいから。ほら行くぞ」
ラノスはリリスを置いて先に向かう。
「ちょっと待ちなさいよ!あそこって何処なのよ!?」
そんなラノスをリリスは追いかけるのであった。
♢
「いらしゃいませ〜。プリティーエイプリー店にようこそ」
「「・・・・・」」
「あれどうしましたか?おふたりとも固まって」
この店に来てからランスとリリスの気持ちは一緒になる。
それは、、、
「「汚い!!!」」
「酷くないですか!」
いやだって仕方ないだろう。
この店汚いんだよ。
何処をどう見ても、お世辞なんて出せない程に汚いんだよ!!
踏む足場もないから先に進めない。
店の奥で待ち構えるクマの格好をしたベアに一言言いたい。
ベアーお前どうやってここで生活してるんだよ!?
「そろそろ来ると思いまして、準備をしていたのです」
「準備って何かしら」
「ふっふっふ」
可愛げに笑うが姿はクマの見た目だ。
それもいかにもぬいぐるみとかじゃなくて、完全にクマの見た目。
うん。可愛くねぇ!!
「なんと部屋を掃除したのです!」
俺とリリスは左右に首を振り店の中を見る。
俺とリリスは息を力一杯吸い、
「「どこが!?」」
「ヒィーー!」
大声と同時に吐き出した。
「本当に綺麗だ」
「そうね本当に綺麗だわ」
店の奥
前回リリスを調べた部屋は、埃一つなくまた物も片付けられていた。
「でしょでしょ!綺麗でしょ!!」
よっぽど嬉しいのか、俺とリリス近づくベアーだが、暑苦しいなこの毛皮野郎。
「こんなに綺麗にできるなら、なんであっちは汚いのよ」
リリスは扉越しの部屋を指差す。
確かに扉越しは汚い。
この部屋は綺麗。
何だここは、地獄と天国か?
「いやーそれがめんど、、忙しかったので」
めんどくさかったんだな。
(まぁ俺もあの部屋は掃除したくないけどな)
寧ろよくこの部屋を綺麗にできたなと感心するぐらいだ。
・・・本当に綺麗になったんだよな?
疑問に思った俺は、《空間把握》を使う。
そして後悔した。
「・・・」
「どしたんですかラノスさん。
そんなに見つめると照れてしまいますよ」
「そこ」
「えっ?」
俺は、部屋の隅にある床を指差す。
ラノスの指差す方へ、視線を向けてベアーは驚く。
「なっなっなな、何で、でわかっったのっデデデ」
「どんだけ驚くんだよ。少し落ち着け」
「なになにどうしたの?」
リリスは指差すラノス、驚き言葉がおかしくなっているベアーを見て訝しむ。
一体何をやってるのだろうと?
「リリスあの床を開けて見れば分かるよ。おすすめはしないけど」
「何よそんな事言われたら気になるじゃない」
リリスは疑問を浮かべながらも、ラノスが指差す方へ向かい床を調べる。
パカっ
「おっ開いた、ッッッッ!!!?」
リリスは開けた床を直ぐに閉めた。
「なっ何、aaaarehahahaaa」
リリスが壊れた。
何を言ってるのかよく分からない。
やっぱり止めるべきだったのかな。
あんな闇を見たら目どころか頭が腐るし。
「おいクマ野郎」
リリスの底冷える声が部屋に響く。
どうやら復活したようだ。
「クマ野郎なんて私女性ですしベアーってちゃんとした名前が、、はいすみませんでした。
私は、部屋の掃除も出来ず床の下の地下に押し込めるしか出来ないクマ野郎です」
ベアーは意気消沈したように声が沈む。
「なぁリリスこれ話が進まないし」
「分かってるわよ」
俺は顔を下ろすベアに近づき声をかける。
「あれからリリスの事で何かわかった事はありますか?」
ベアーは顔を上げる。
そこには先程の意気消沈した顔ではなく、キリッとした表情をしていた。
コイツクマのくせにいい顔しやがる。
「それがですねリリスさんはーーー」




