46話 欲張るな慎め!
「先ずは自己紹介からなのじゃ。
妾は、エルラ・ロー・アルタイルじゃ。
エルラで構わないのじゃ」
「俺はラノスです」
「私はリリスよ」
「うむ、ラノスとリリアじゃな。
それでは話を聞かせるのじゃ」
それから俺達は男3人組を捕まえるまでの詳細を姫様に話した。
「なるほどのぉそんな事が。
して、その3人組は事件の事について何か喋っておったか?」
「いえ特にその様な事は、、リリスは?」
「私もよ」
「そうなのか。やはりあ奴等はあの時の事を覚えておらんか」
ブツブツと独り言を喋るエルラ様の声は聞こえない。
それでも何かを悩んでいる事は伺える。
「あのエルラ様。
何かお困り事がある様でしたらお聞きしましょうか」
「いや、お主らに迷惑は・・・そうじゃな。
一つ頼まれてくれんか」
「はい何なりと」
「護衛じゃ」
「は?」
「ん?聞こえんかったか。
妾の護衛をお願いしたいのじゃ」
俺達が姫様の護衛?
「護衛ってあなた、この国のお姫様なんでしょ。
それこそ護衛の1人や2人いるでしょ」
リリスがもっともな事を言う。
「極秘でやりたい事があるのじゃ。
それは今妾の護衛達には頼めん事なのじゃ」
それに対してエルラ様は理由を述べる。
「極秘でやりたい事ですか」
「流石にこれ以上は話せんぞ。
護衛になるなら別じゃが」
その言葉に俺は暫くの間黙り込む。
簡単に決められる話ではない。
エルラ様の護衛。
これ事態には特に問題はないのだが、それが極秘で行うとなると詳細が分からない分リスクがある。
「どうするリリス?」
取り敢えず俺は、隣に座るリリスに意見を求める。
「そうねぇー」
顔を下げ悩むリリスだが、妙案が思い付いたのか突如顔を上エルラ様にある事を問い掛ける。
「エルラ・・・様?
私達は冒険者よ。その護衛に対して報酬は何を支払うの」
おお〜。
リリスの癖に良い事を聞くじゃないか。
まぁ一国の姫様に対して、様付けを悩むのはどうかと思うけど。
「そうだな。
お主達は冒険者だったの。
報酬か・・・」
エルラは、ぬぬぬとうねりながら頭を悩ませる。
しかし一向に答えが見つけられないのか黙り込んでしまう。
そこでリリスは報酬の事について切り出す。
「思い付かない様なら私から要求するわよ」
「そうじゃな取り敢えず聞いてみるのじゃ」
「ふふん。それじゃあ遠慮なく。
報酬は宝物庫のお宝3つでどう?」
「む、宝物庫から3つか、それはちと難しいのじゃが。
いやそうじゃの、もし成功すればそれぐらいは・・・」
エルラは悩みに悩みやがて決心する。
「分かったのじゃ!
報酬は宝物庫から宝3つじゃ!」
苦渋の決断のすえエルラは覚悟を決めた。
「やったわラノスお宝3つよ!」
報酬に喜ぶリリス。
俺はそれに対して乾いた笑いで返す?
一国の姫様に対して交渉を行うなんて、リリスお前大物だな。
心の狭さは小物だけど。(笑)
♢
そこは白に包まれた世界だった。
天も地も白く塗りつぶされたような世界で“彼女“は1人立っていた。
浮かぶ光の球と共に。
「アルタイル王国?」
「そうだ。
かつて貴様等と共に行動していた者が築き上げた国だ」
「アルタイル・・・ああ、あの時の子か〜!」
彼女は昔を懐かしみ笑みを浮かべる。
「それで、その国がどうかしたの?」
「その国で邪神と思わしき反応が現れた」
「また〜」
彼女はうんざりした様な顔をする。
それもそうだ。
何せ彼女は、1年前に邪神の腕を滅ぼしたばかりだ。
邪神は一体ではない。
むしろ多く存在する程だ。
しかし、簡単に呼び出せる様な存在でもない。
1年前に壊滅させた集団すら、やっとの思いで片腕を召喚させるに至ったのだ。
「何でまたそいつ等が現れるの?」
「あくまで推察だが」
「おっ、何か知ってるのね」
彼女は、光の玉の言葉を待つ。
「魔王が動き出しているのだ」
「魔王ちゃんが?」
「勘違いしているようだが、今の時代の魔王は複数存在する」
「えっ!?そうなの?」
「貴様は、その水晶で世界を見ているのではないのか?」
「興味ないわよ。あの人以外」
「相変わらずだな」
光の玉は、まるで呆れたかのような反応をするが、彼女はそれに対してすら興味を抱いていなかった。
「とにかく、アルタイル王国での邪神の捜査を頼みたい」
「良いわよ」
「今回は素直だな。
てっきりまた断られると思っていたのだがな」
「前回は結局受けたじゃない」
「それはそうなのだが、あの者を理由に最初は断っただろ」
「仕方ないのよ。私には邪神よりも優先する人がいるもの」
彼女は胸を張り、自分の気持ちを主張する。
その気持ちに、嘘偽りは一切ない。
「今回は優先しないのか?」
「向かう場所はアルタイルなんでしょ」
「そうだが」
「ちょうど思い出したのよ。そこにはあの子がいるのよ」
「あの子?」
「ふふ、秘密よ」
彼女は茶目っ気のある顔を浮かべ笑う。
「それじゃあ私はそこに向かうね。バイバイ」
そう言い彼女が向かう場所の空間がひび割れ、割れた空間に彼女は入りこの世界から消えるのであった。
残された白い玉はその姿を見て息を吐く。
「貴様は一応ここに封印されているのだろう?
それをこんな簡単に抜け出すとはな」
彼女が凄いのか、この空間が駄目なのか?
恐らく後者なのだろう。
何せ彼女はーーー




