42話 蠢く影
「オークの集落壊滅おめでとうございます。
こちらが報酬になります」
俺は冒険者ギルドにて、ホークの集落壊滅の報告を済ませていた。
最初の方は、偵察に行っていた俺が集落を壊滅したという事に対してとても驚いていた。(やったのは俺じゃないけど)
違うな。
疑われたのだ。
それはそうだよな。
偵察をして情報を集める依頼が、そもそもの原因をどうにかしたときた。
しかし、討伐証明のオークの耳を大量に持ち出したことで信じてもらえた。
俺は、受付嬢から報酬を貰う。
偵察とは違い、集落殲滅の依頼があったのでそちらの報酬を頂いたのだ。
報酬は、100万Gとかなり高い。
プラスしてオークの討伐証明もかなりの報酬になった。
体ごと持って来られたらさらに額は上がるそうだが、あんなに大量のオークは持ち歩けない。
リアカーなど方法はあるが、そんなものは持ってきてないしな。
取り敢えず結果良ければ全てよし、、、
「ってなるわけねぇーだろ!!」
「何ようるさいわね。まだ根に持ってるの?」
「持つに決まってるだろ!こっちは死にかけたんだぞ!」
「生きてるじゃない」
「頑張ったからだよ!」
そうだ。
あの時、リリスがオークの裸を見た時に魔力を暴発させた時だ。
俺はありったけの《アーマ》を張る事で何とか生きられた。
少しでも判断が遅ければ死んでいた。
まぁ全くの無傷ってわけではないが、今俺がピンピンしているのには理由がある。
「それにしてもラッキーだったわ。
まさか集落にヒーリング草があんなにあったなんて」
そうなのだ。
集落には大量のヒーリング草が有りそれらを俺に使ったのだ。
そして、リリスは大量のヒーリング草を持ち帰り依頼を達成した。
コイツ、オークに捕まって運が悪いと思いきや、大量のヒーリング草を見つける運の良さときた。
良いんだけども。
「そういえば、何でお前オークに捕まっていたんだ?」
「それが変な草を食べたと思いきや、意識を失って目が覚めたら・・・嫌なモノを見たのよ」
間が空いたのはその時の事を想像したからだろう。
それにしても変な草か。
「その草の特徴は?」
「えっとね・・・」
俺はリリスから草の見た目を聞き出す。
そして、その草の特徴と一致するものがあった。
「それ毒薬だぞ」
「えっ!?そうなの?」
「ああそれもかなりの」
「そうなの、、、でも体に異変は全然ないわね」
悪魔だからだろうか?
一時的に意識を失っただけって凄いな。
それももう体に異常がないときた。
「まぁ無事で良かったよ」
「・・・ありがとうね」
リリスの言葉に俺は驚く。
「珍しいな。お礼なんて」
「何よ、私だって感謝ぐらいするわよ」
「・・・」
「なんか言いなさいよ」
「いや、なんか気持ち悪いなって思って」
「〜〜っぶっ殺す」
「わーーー!」
俺は怒れるリリスから逃げまわるのだった。
♢
〜とある地下にて〜
「クソッ、やられた!」
地下の警備をしていた男は、目の前で倒れる3人の囚人を見て叫ぶ。
3人の囚人は、ラノス、リリスが捕まえた賞金首も男達だった。
3人の首元には暗殺されたのか、深い切り傷があった。
恐らく即死だろう。
「一体どこの者がやったんだ!」
「先輩落ち着いてください」
後輩の警備員が先輩を宥める。
「これが落ち着いていられるか!あの男達が殺されたのだぞ!」
「確かに囚人が殺されたのは問題ですが、何もそこまで騒ぐことでは・・」
「・・・そうか。お前は知らないんだったな」
「何がです?」
「お前は不思議に思わなかったか?
なぜコイツらに500万という賞金額がつけられたのか」
「言われてみれば、、」
「あいつらはとある者を殺したのだ。そこで・・・」
♢
「殺したのか?」
「はっ」
暗い室内にて2人の人物が話し込む。
「そうか。よくやった」
「それがご命令でしたので・・・一つお聞きして宜しいでしょうか」
「言ってみろ」
「なぜあの者達を始末する必要があったのでしょうか」
その言葉にしばしの間室内は静かになる。
やがて、主人と思わしき人物が口を開く。
「あの者達はある者を殺害した」
「存じております」
「それだけならば問題はない。しかしその者達はある物を見てしまった」
「ある物ですか?」
「これ以上は話せぬ」
「お話いただきありがとうございます」
「これからも励め」
その言葉と共に、室内では1人の人物がいなくなる。
「全く、面倒な事になった」
1人残った主人は、虚空を見つめながら愚痴る。
男達の始末はした。
しかし男達が自分達の見た物を誰にも話してなければいいが。
「いるならば速やかに排除しなければな」
♢
「姫様いい加減に部屋から出てください!」
「嫌じゃ!妾は出とうない!」
とある城にてメイドは、室内に引き篭もる姫君を叱る。
「いつまで引き篭もるつもりなんですか」
「いつまでもじゃ!」
まったくと、呆れるメイドはドアの前から離れる。
「恐ろしい物を見たのじゃ」
毛布に顔をふせる姫は、あの日起きた恐怖を思い出す。
あの悍ましき形をした、、、
「うぷっ」
姿を思い出しそうになり、吐き気が込み上げる。
あれはダメだ。
このアルタイルにあってはいけない物だ。
早く何とかしなければならない。
しかし、体が外に行く事を拒む。
見なかった事にしたい。
忘れてしまいたい。
だがそんな事は許されない。
妾はこの国の姫なのだから!
「誰か、誰かに助けを・・・」
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