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セレスティアル  作者: たくレイ
第一章
20/60

19話 絶望

 ~数分前~


 ルフレは黒髪の男とラノス達の方に向かっていた。

 ネルさんよりラノス達の方が危険と判断したためだ。

 ミアが向かったとは言え、ラノスが刺されたお腹がルフレは完全には治っていないものと知っていた。

 ネルさんに限っては危険と判断したら逃げる事ができると思っていた。

 

 「あと少しです!」

 

 あと少し、、あと少しで着く。

 もう少しだけ耐えててください。

 

 そんな事思っていると、黒髪の男が変な質問をしてきた。


 「君は仲間が死んだら悲しいかい?」


 ルフレはこの質問の意味が分からなかった。

 そんなの仲間が死んだら誰だって悲しい。

 実際にレンジを亡くしその気持ちは他の人より重く受け取っていた。

 なのでルフレは「当たり前ですよ」と答えた。


 「、、、、、そうかやっぱり悲しいよな、」


 黒髪の男は気味が悪くにやけた。

 その瞬間ルフレに強烈な殺気が襲った。

 ルフレは冷や汗を感じた。

 それほどまでに冷たく強い殺気だったからだ。

 ルフレは瞬時に黒髪の男と距離を取った。

 そう、殺気を放ったのは黒髪の男だったからだ。


 ルフレは男を睨んだ。

 男は腰に添えてあった剣を構えていたからだ。


 「ッチ!!後ろから首ちょん切ってやろうとしたのによ、逃げんじゃねーよ!!」

 

 先ほどまで柔和な顔をしていた男からには想像がつかないほど怖い顔をしていた。


 ルフレは剣を構えた。

 自分を守るため、仲間の所には行かせない為にだ。

 

 「お前は何者だ!?」

 「これから死ぬお前らには話しても無駄だ」


 お前ら

 男が何気なく使ったこの言葉。

 この言葉にルフレは激昂した。

 お前ではなくお前らと言うのがラノス達の事を指していたからだ。

 自分が殺されればラノス達の所に行かれる。

 騙されたとは言え、自分がラノス達の所まで案内をしてしまった。

 

 「ラノス君達の所には絶対行かせない!」

 「ハッお前が勝てたらの話だがな」



 ♢


 『夜明けの星々』の団員達はボルアーと合流していた。

 団員達はルフレの件を話をしていた。


 「てな事があったんですよ。ボルアーさん急いで助けに行きましょう。」

 「ちょっと待ってくれ、お前らは誰からの指示でここに来たんだ?」

 「それは副リーダーですよ。」


 するとボルアーが立つ後ろの木々から黒髪の男『夜明けの星々』でいう副リーダーの姿があった。


 「あれ?誰か俺の事呼びました?」

 

 団員達は驚きザワつき始めた。

 自分達と別々の方向に向かったはずの副リーダーが目の前にいる。

 

 場が困惑してる中ボルアーが話をまとめようとするが声が届かない。

 ボルアーが大きく息を吸った。

 

 「静まれー!!」

 

 大きな声で言った。

 団員達がその声にビビってしまうほどにだ。

 それほど今は切羽詰まっている。

 ボルアーの声にピッタと静かになった。

 続けてボルアーは話し出す。

 

 「君達があった副リーダーはいつからいた?」


 その言葉に誰も返せなかった。

 いや、誰も分からなかった。

 気づいたらいて、ただ指示を聞いていただけだからだ。

 ボルアーは言って来ない団員達に勘付いた。

 

 すると脳裏にボルアーの嫌な感じがした。

 ラノス達が危険と思ったのだ。


 「君達今からラノス君達を助けに行くぞ!」

 

 ♢


 ルフレと男は戦っていた。

 ルフレが《アーマ》を全身に纏い剣を男に向かって振る。

 しかし、男は簡単にかわす。

 男はルフレを舐めているのか攻撃を仕掛けてこない。

 どんどん時間が経ちルフレに焦りがで始めた。

 

 ルフレは決死の決断を決めた。

 全身に纏っていた《アーマ》を剣に一点集中させた。

 その姿はステータスに書いてある称号チキンとはまるで違った。

 

 (この一撃で決める!。)


 ルフレは男に向かって走り出した。

 しかし男は動かない。

 避ける気がないような態度だった。

 ルフレは男の態度に動じない。

 ただこの一撃を当てることだけに集中していた。


 (動かない、、、イケる!)


 ルフレは剣が届く範囲に入る。

 剣を男の心臓に向かって振った。

 

 

 ガギーーーン!!



 ルフレの剣が折れた。

 男が攻撃を食らう瞬間剣で折ったのだ。

 しかも《アーマ》状態の剣をだ。

 男はすんなりと攻撃を防いだ。

 

 「あっ、、あ」


 漠然としたルフレを男はルフレの攻撃をあざ笑っていた。

 

 

 「はーひゃはっはははは、なんだ今の攻撃俺を、この俺をいまの攻撃で倒せると思ったのかよ、ひーひひ笑いが止まらねえよ」


 男は笑いながらルフレに蹴りを入れた。

 ルフレは避けれなかった。

 疲労や魔力の使い過ぎに動けなかったのだ。

  

 にぶい音が鳴った。


 地面でうずくまるルフレ。

 男が剣を握り、ルフレの首元を見た。

 

 痛い。

 殺される。

 死ねない。

 ラノス君、ミア、ネルさんを助けなくっちゃいけにのに。

 こんなところで僕は、僕は―――


 「死ねないんだーーーーーーー!!」


 ルフレは体中の最後の力を出し拳に溜めた。

 そして、男の方に振り返り顔めがけて振りかぶった。

 

 「うぉぉーーーーー」


 男はなんなりとかわした。

 そして、ルフレの首に向かって一刀した。

 

 その時のルフレの表情は悔しい涙を流していた。

 遠のいておく意識の中ルフレは走馬灯が流れていた。


 「きゃールフレ君よ」

 「お前の飯うめーよ」

 「ルフレ修行しようぜ!」

 「ルフレまた明日な」


 孤児院時代の女子からモテていたこと。

 クエストの時ご飯作ったこと。

 ラノス、レンジ、ミア、自分とでスルカの元修行した思い出。

 いつも何気なく言ってた「また明日」の言葉を思い出していた。


 (すみません。また2人を悲しませてしまうかもしれません。僕達の仇とってください)


 ♢


 (俺は、何を見せられてる)


 ルフレの首。

 頭では、理解している。

 しかし本能は、その事実を受け入れられなかった。

  

 「あっ、、うぅ」


 ミアは、嗚咽を交えた声を出しながら首を振るう。

 それは、まるで目の前の光景を否定しているかのように。

 

 だがいくら否定しようとも、これの事実は変わらなかった。


 「何だぁ?

  あいつらやられたのかよ」


 男はルフレの首をぞんざいに扱いながら、地面に投げつけた。

 それだけに飽き足らず、何と男はその足でルフレの顔を踏み付けた。


 瞬間、ラノス、ミアはルフレを殺された絶望を上回る程の怒りが現れた。

 2人は叫びながら男に向かって攻撃を仕掛ける。

 ラノスは剣をひらすら振るい、ミアは『ファイアーボール』を放った。

 

 しかし、男はいとも簡単に2人の攻撃を受け流す。

 ラノスの剣は弾き飛ばされ、顔を殴り付けられ吹っ飛び、次々迫るミアの魔法は、少しも当たらず避けられる。

 そして少しずつ近づいてきた男は、ミアの腹に強力な蹴りを放つ。


 その際にミアのお腹からは、骨の折れる音がなり、内臓にまで届く蹴りにミアは立ち上がれなくなる。

 立ち上がろうとするがそのたびに倒れ込む。

 体に負ったダメージは深刻だった様だ。

 ミアは、弱い自分の悔しさとルフレの死に泣いていた。


 ラノスは何とか立ち上がり、再び剣を握って男に立ち向かった。

 しかし何度攻撃をしても攻撃は当てられず、また殴りつけられる。

 立ち合がっては、また殴られる。

 何度も何度も。

 最初は面白がっていた男だったが、何度殴っても立ち上がってくるラノスにイラつき始めた。

 そして立ち向かってくるラノスを本気で殴りつけた。

 ラノスは3回ほど地面にバウンドした。

 それでも立ち上がろうとするラノス。

 痺れをきらした男は剣を構えた。


 「もう、お前飽きたわ、、いいよもう死ね」


 痛い。

 口の中鉄の味がする。

 でも、ここで諦めたら2人に合わせる顔がねぇ。

 こいつを殺せるまで俺は、何度だって。何度だって。


 男はラノスの方に歩き出した。

 ミアは嫌な予感がした。

 しかし立ち上がろうとしても体がゆうこと聞かない。

 ミアは出せるだけの声でラノスに言った。

 

 「ラノス逃げて!

  私ラノスもいなくなったら、いなくなったらもう、、」


 しかしラノスにはミアの声が届いていないようだった。

 男を殺す。

 ただこの事だけ思って立ち上がっていたのだ。

 

 しかし、突如ラノスのは膝を他につけた。

 限界だったのだ。

 無理もない。

 連戦に次ぐ連戦。

 深傷も負い本来戦える状態ではないのだ。


 だが今ここで、それは致命的だった。

 ラノスの目の前に、男は立ち塞がり剣を構えた。


ー死んじゃう、ラノスが死んじゃう

 

 ミアは力を振り絞り何とか立ち上がった。

 そして、ラノスの方に向かい足を動かすが、遅い。

 それはあまりにも遅かった。

 ダメージの抜け切らない体では、仕方がない事だった。

 それでも、それでも、、

 

 (動いてよ、私の足、、お願いだから動いてよ、動いてよーー!)

 


 男は、構えた剣をラノスの首めがけ振るう。

 ラノスは動けなかった。

 ただずっと男を睨む事しかできなかった。

 その目には、闘志が消えてはいない。

 しかし、体は動かない。

 迫り来る剣を前に、ラノスは只々無力だった。




 ブズッ!!



 「え?」


 声を出したのは、ラノスだった。

 痛みはない。

 そもそもが首を狙われての一撃だった。

 切られた瞬間死ぬ。

 まさに即死だ。

 しかしラノスは、生きていた。

 

 何故か?

 答えは簡単だった。


 「なん、で?」


 ラノスの前には、背中を深々と切られたミアの姿があったからだった。

  

 

 

 


 


 

 

 

 


 

 

 


 

 

 


 


 

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