11話 今日という日を忘れずに
「お誕生日おめでとうー!!」
クラッカーと共にルフレとレンジが声を上げる。
俺とミアは突然の事に驚き体が固まる。
そんな俺達の反応に2人は成功したとばかりに喜ぶ。
♢
〜少し遡り〜
俺はあの日以降も大切な何かを忘れていると感じながら日々を過ごしていた。
その間は非常にもどかしく感じられる毎日だった。
そんなある日、レンジとルフレから暫くの夜まで宿に戻ってくるなと言われ、俺とミアは街で買い物と散策をしていた。
「わぁー綺麗な花」
散策している途中で、ミアは花屋を見つけた。
花屋には色々な種類の花が咲き誇っていた。
中には地球で見たことがある花やこの世界の花までと数多くある。
ミアは暫く悩んだ後一輪の花を購入した。
「はい、ラノスこの花を上げる!」
その花は、ミアの髪色と同じ赤色であり、花屋の中でも一際目立つ花だった。
「ミアくれるのは嬉しいんだけど花をもらってもな」
「ふっふっふっ、ラノスはわかってないね」
「何が?」
「実はねこの花には花言葉があってねそれが・・・」
突然言葉に詰まったミアは顔を下に向ける。
顔は見えなくなったが耳が真っ赤になっていった。
どうしたんだ?
「この花はねーーー」
ミアが勢いよく顔を上げて声を発した直後ーー
俺の前に突然強風が走ってきて俺は目を瞑った。
ビュウウーーー
風が通り過ぎ目を開けた俺はミアに声をかける。
「悪いミア。風でよく聞こえなかったんだけどもう一度言ってもらっていいかな」
「なっなんでもない」
ミアは、顔を赤くしてその場から走って立ち去った。
「おい!ミアー待てよ」
俺は走ってミアの後を追いかけた。
そして離れたミアの言葉を俺は拾うことができなかった。
「……バカ」
外が暗くなり始めてきたので俺たちは宿に戻った。
♢
〜冒頭に戻る〜
「「あっ、あーーー!!」」
俺とミアは同時に叫ぶ。
思い出したー!
そうだ、今日俺とミアの誕生日だった。
何か忘れてると思ったらこれだったのか。
「やっぱり、その反応からして忘れていましたね」
ルフレは苦笑しながら、俺達が誕生日を忘れていたことを予想していたみたいだった。
その通りだよルフレ。
俺達は自分の誕生日を忘れていた。
「ほら、今日は豪勢な食事だぞ」
レンジはリアカーを押しながらいろいろな食事を持ってきた。
でかいステーキやチーズたっぷりなピザ、クリームをふんだんに使ったケーキなどおいしそうな料理が沢山だ。
「うわーすごいね。こんなに美味しそうなの用意していてくれたんだ」
「ほとんど作ったのはルフレだけどな」
「レンジ君も色々手伝ってくれたじゃないか」
リアカーから取り出した料理を配膳しながら、ルフレは自分だけが作ったわけじゃないと言う。
レンジは照れくさかったのか指で鼻を擦る。
配膳を終え、俺達はそれぞれの席に付き目の前の料理を見て手を合わせる。
「「「「いたただきます」」」」
♢
「もっもう食えない」
いっぱいあった料理を平らげた俺達は、お腹を膨らませて限界を伝える。
「なんだもう食えないのかラノスゲプッ」
「レンジも限界だろ。ゲップ出てるぞ」
普段よく食うレンジも限界だった様で、お腹を摩りながら強がりを言う。
「いやーまさか全部食べてもらえるとは思わなかったよ」
「せっかく作っってくれたんだ全部食べるよ」
「そう言ってもらえて嬉しいよ」
食器の片付けをしてたルフレは嬉しそうな顔をする。
「うぅー苦しいよ」
そんな呻き声をあげているのはミアだった。
ミアのお腹の膨れ具合は、こう言っては失礼だか妊婦さんみたいだ。
でもそうだよな。
この誕生日で一番食べたのはミアだ。
自分の誕生日ということで、残さないために無理して食べていったからな。
「大丈夫かミア」
「もう食べれないよぉーラノス」
「頑張ったなミア」
俺は暫くの間ミアの介抱をした。
お腹の具合が落ち着いたタイミングで、レンジとルフレは横に並んで俺達にあるものを渡す。
「ラノス、ミア誕生日プレゼントだ」
レンジは袋に包んでいるプレゼントを手渡す。
「わーありがとう!」
ミアは喜びながらプレゼントを受け取った。
包から見ても高級感を感じつことができる。
こいつら結構高い買い物をしたな。
俺達の誕生日の為にここまでしてくれる幼馴染見て俺は胸が温かくなる。
包みから取りだした物を見てミアは目を大きく開いた。
「綺麗」
ミアはウットリとした笑みを浮かべる。
包から出てきたのは、両翼の翼に真ん中に付けられたハート状のネックレスだった。
「実はこのネックレスはですね二つに分けることができます」
それを聞いたミアはネックレスの両翼を摘み左右に引っ張る。
そうすると真ん中のハートから半分になり、片翼と半分のハートに分かれた。
「これはですね、二つで一つのネックレスなんですよ」
「ペアルックってやつだね」
ペアルックかぁー。
いや、嬉しいよ。
嬉しいんだけど、なんというか気恥ずかしさが勝つというか。
そんな心情を露知らないミアは俺にネックレスの片方を手渡す。
そして、俺とミアはそれぞれの首にネックレスをつけようとすると、
「あっ、そうそうこのネックレスは恋人同志が持つ物になります」
ルフレは思い出した様に声をかける。
「「ーーっ!?」」
その言葉にネックレスをつけようとした手を俺達は止める。
そりゃあそうか。
だってハートがあってペアルックだしな。
正直そうなんじゃないかなぁーと思ったりもしたし。
でも、今のタイミングで言うなよ!
手ぇ止まっちゃたじゃん。
気まずいわ!こっから動くの。
それでも手を引っ込める訳にはいかず、俺達は顔を赤くしながらネックレスを付ける。
「何恥ずかしがってんだ?」
「だってこれって恋人につける物なんでしょ」
「だからそれの何が問題なんだよ?」
レンジは不思議そうに首を傾げる。
「お前等付き合ってるんだろ?」
「「えっ!?」」
「違うのか?」
俺とミアが付き合う?
・・・ッ!?
って何考えてんだ俺。
いろんな想像しちまったじゃねぇか。
隣では、ミアも同じ事を考えてたのか知らないがすっごい顔が赤くなってる。
俺も人のこと言えないだろうけど。
「レンジ、俺とミアは付き合ってないぞ」
「えっ!そうなのか。いつも一緒にいるからとっくに付き合ってると思ってた」
「いやそんなこと・・ない・・だ・・ろ?」
俺は言葉が少しずつたとだとしくなっていく
思い介して見ると俺はよくミアと一緒にいたな。
それこそ最初の頃2人で特訓なんかしたりしたしなぁ〜。
「そっかー。悪るい事したかな。今からでも違う物に変えようか?」
「いっいいよそんな」
「そうだぞ。それに嬉しくないって訳じゃないんだから」
ルフレは俺達に気を遣ってくれたみたいだが、このプレゼント自体は嬉しいし、そもそも変わりの物買うお金もってないだろ。
これ見るからに高そうだし。
料理といいこのプレゼントいいかなり無理してるのはわかってんだぞ。
「ありがとうな、レンジ、ルフレ」
「へっ、気にすんなよ」
「これぐらい当たり前ですよ」
本当にいい幼馴染だよ。
「ねぇラノス、次のレンジ君達の誕生日はこれよりすごいものにしていこうね」
「そうだな。プレゼントもとびっきりなのを用意してやるよ」
俺とミアはレンジ達の次の誕生日を思い笑い合う。
「それは、楽しみですね」
「期待してるからな!」
レンジ達も次の誕生日に期待を馳せる。
それからも俺達は談笑しながらこの夜を過ごしていった。
今日という日を決して忘れない様に、俺はこの日の記憶を頭に刻む。
この素晴らしき幼馴染達とこれからも一緒にいる為に。
この日、俺とミアは16歳になった。




