彼(写真)
いつも部屋の中から見える
ベランダに置いている
真っ赤なミニ薔薇植木鉢
彼から初めてもらったプレゼント
最後のプレゼントになるなんて思わなかった
夏の終わり
一緒に行った野外ライブの帰り道
打ち明けられた。
一緒にこうして居れるのは後少しだと
汗と砂ぼこりの私を引き寄せて抱きしめて
そう言った。
本当はずっと一緒に居たいとも
何度何度も何故か?と尋ねたけどー
答えてくれなかった…
居なくなってしまった。
不思議な事に
誰に聞いても尋ねても知らないと
言われる。
彼の存在からして知らないと!
私はいったい誰と付き合っていたのか
それって
妄想の人なんじゃないの?
って言われる…羽目に
何故みんな知らないんだろう。
反対に何故私だけ彼の記憶があるんだろう。
ミニ薔薇の花の色気のせいか
真っ赤ではなくピンクがかった色になって
来てるような〜感じがする。
早く彼を探さないとって言われてるような
そんな気がして来た。
けど…何を手掛かりに
以外と彼の事を何も知らない!
一緒に居るのが当たり前になって
特別何かを知ろうとはしなかった。
居なくなると言われても
その言葉を本心から信じる事も出来なかった。
不安な気持ちもあったけど
そこまで危機感はなかった。
そんな私の事彼はどう思ってたんだろう。
彼の事好きだったはずなのに
何もわかってなかった。
会いたい…
私と彼が出会ったのは会社の同僚の友達に
誘われて行ったライブ会場だった。
一緒に行く予定だった人が行けなくなって
誘われて行ったら
彼も偶然同僚の友達に誘われて来ていた。
ライブに行くのは初めてだったし
隣同士で緊張していた
ライブが始まるとリズムの取り方も同じで
あーこの曲って思うところも一緒で
雰囲気もあり居心地の良い空間になっていた
終わってお互い顔見合わせて
「楽しかったね〜」って
同時に声が出て笑った。
お互いの友達の方がえっ!って顔していた。
気が合うってこういう事を言うんだろうな
帰る方面が同じだったので
友達と別れて2人で電車に乗った。
初めて会ったと思えない位
いっぱい話をした。
降りる間際にアドレスを交換した。
2人きりで会うようになり居酒屋もランチも
ライブも映画もいっぱい行った。
そうだあー
2人で撮った写真
そんなはずない!うそ…
いない…彼がいない…何故
こんなに思い出があるのに
極々普通の恋人同士だったのに
ミニ薔薇だってあるのに
思い出の場所は全部回った
会えない…
あれから1年…
そうだあー
あの日の夏フェスがもうすぐ始まる!
もしかしたら会えるかもしれない!
この日に会えなかったら探すのをやめよう。
花火キレイ…
涙で余計にキレイに見えてるかも…
人がどんどん帰って行く
溢れる涙をタオルです拭いながら
バス乗る前に泣き止まなきゃ
そうだよねー会えるはずないよねー
言い聞かせる。
わかっていたけど…どこかで…
ううん!今日でもう…探すのを…
「やめるの?」
えっ!
「君が呼び戻してくれたのにやめるの?」
彼が目の前に立っている。
「探してくれてありがとう」
何度も何度見ても彼…
「どうして…」
言葉にならない出ない
「願ってくれたから会えたんだよ」
いっぱい聞きたい何故と聞きたいけど
もう失いたくもない…
ぎゅっと抱きしめられる。この感じだった。
「一緒に帰ろう」
涙が止まらずうなずくのが精一杯だった
会えた…
わからない
何が合ってて何が違うのか
何故また彼が目の前いるのか
妄想しているのか
わからない
写真そうだあ写真
スマホを見ると彼が…いる
うそ…
正直わからないけど…
間違えてるかもしれないけど…
答えはここにある。
私の大好きな彼は今ここにいる。
この後も書けたらと…