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中卒税理士と女子大生  作者: ペウロ
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仕訳0

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 俺は斯波翔。18になったばかりの税理士だ。俺の両親は7歳のときに交通事故で死んだ。だから、俺は祖父母に育てられた。けれど、祖父母の家には伯父さんとその嫁さんがいて、彼女は俺を邪魔者扱いしていた。最初は伯父さんや祖父母に相談しようかと思ったけれど、自身の立場を考えると何も言えなかった。そして、中学卒業と同時に祖父母の家を出ることになった。伯母は寂しそうな顔をしてくれたが、見送るときに俺を見て少し少しニヤけていたので、内心は喜んでいたのだろう。なぜ、出ることになったのかといえば、母の弟夫婦が是非、俺を養子にしたいと願い出てくれたからだ。叔父夫婦には、子供がいない。いや、叔父は男性不妊で子供が見込めない。だから、自身と同じ血の流れた私を息子にしたかった。そして、叔母は自身も養子であったことから、私を差別することはなかった。しかし、私はこのままここにいて良いのかと不安になった。そして、俺は言った。「叔父さん、俺、働くよ。家にもお金を入れるから!」「はたらくって、翔は中学生だろ?」「はい、ですから、中学を卒業したら、働きます」「高校はいかないのか?」「迷惑はかけられません」「翔ちゃん、私達はあなたの親になったの。迷惑だなんておもわなくていいのよ。」「でも、叔母さんだって、養子として育って、肩身が狭いこともあったって昔にいってたじゃないですか」「私はあなたに同じ思いをさせるつもりはないの」「翔、母さんの気持ちをわかってあげてほしい」「なら、僕気持ちもわかりませんか。養子として、何かしてもらえることに罪悪感があることを。」「そ、それは、」「翔、俺たちを本当の親だと思ってほしい。そうすれば、罪悪感もなくなるだろ?な?」すると、叔母が叔父に言った「あなた、確かに翔ちゃんの言うとおりだわ。罪悪感がすぐになくなるものでもない。」叔父は黙った。「ごめんなさい叔母さん。」俺は謝る。すると、叔母さんは提案した。

「翔ちゃん、うちの事務所でお手伝いしない?」突然の提案に叔父も

「え、翔を働かせるの?」と驚いた。「そうよ。明日から、事務所で働いてもらうか。」俺は「はい」と答えた。いや、言うしかなかった。

 事務所というのは、叔父が経営する税理士事務所だった。叔父が税理士で所長を務め、部下は5人ほどいた。叔母は俺にかんたんな経理を覚えてほしいという。なんでも、中卒で働くにはスキルが必要だと。だから、俺は経理を覚えさせられた。もともと、勉強は苦手ではなかったので、それなりに覚えることができ、16歳には簿記検定一級を合格するレベルまでは達し、

18歳には税理士試験に合格した。ここから、実務経験を2年間すれば、正式に税理士になれる。「翔、事務所を継いでほしい」俺は驚いた。叔父は続けた。「この事務所を作るとき、姉にお金を借りた。つまりは君の生みの母にお金を借りていた。だから、この事務所は翔に渡すのが当然なんだよ。2年後、所長になってくれ」と。俺はこう返答した「わかりました。ですが、叔父さんが引退するまでは、叔父さんが所長でいてください。」すると、叔父は、「そうか。分かった。ところで、翔、結婚はどうするのか?彼女はいるのか?」結婚、彼女、俺には無縁の言葉だった。中学時代も俺は女性はおろか、誰とも関わってこなかった。だから、彼女なんていない。そもそも、まだ18歳。結婚なんて早い!


仕訳1に続く

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