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ラスボスが強すぎて勝てる気がしない!  作者: スタンドライト台灯
一章
5/7

壁!強化!

鈴木健編です!

「なあ、この世界多分頭がおかしいぞ。なんなんだ、領主が案内人って。普通は大事な話してから観光案内だろ……。」


俺は呆れ顔で領主を指差し、山田たちをちらっと見る。決して突っ込みがなくて、寂しくなり見たわけではない。


「案内って楽しそうじゃないですか。」

「何いってんだアンタ。」


今、彼が笑顔で言っているのは、自分が領主だというものすごく大切なことである。「案内って楽しそうじゃないですか。」とか言って笑っている場合じゃないはずだ。領主とまで言うのだから貴族の中でそこそこ高い場にいるはずなのだ。なぜこの領内が回っているのか不思議になる。この領主、大丈夫だろうか。


「勇〜者〜様〜!」


巨大人参畑をワンピースでかけてくるセイルーン国王の娘。王国民が見たらひっくり返る光景だ。


「あれ?箱入り王女様じゃないですか?どうしました?俺の息子にそんなに会いたかったんですか?」

「何言ってるんですか!?箱に閉じ込めたことは無かったことにしますから!勇者様!ちゃんと話を聞いてください!」


自分から箱に入ったのに、俺を悪者みたいに言わないでほしいですねー。と、言いかけた俺はとりあえず俺は彼女の事を無視した。


「話を聞いてください!あ、レンティヌラ卿ではないですか!帝国の視察以来ですね。」


パンっと、手を叩いてあざとく、ものすごくあざとく可愛らしい笑顔を作る王女様。俺を無視し、あの時はとか、美味しいものがたくさんありましたねーなどの話をしている。

横から話を聞くと少し面白いことが分かった、帝国は科学力を持ち、空を飛ぶ機関車があるようだ。

機関車の車掌が チビデブで透明人間だったら面白いと 一瞬思った。

ちなみにあの時城の寮にあったスタンドライトは帝国産らしい。


「で、話ってなんです?」

「え?そ、そうでしたね。こちら、椎茸島の領主のレンティヌラ卿。私のお父様に王国軍の要請をされた方です。」

「知ってます……。」

「自己紹介はもうしたのですか?」

「詳しくはまだしていないですが、詳細は私の屋敷の方でしませか?」


◇◇◇◇◇◇

この部屋広いな。

領主の座っている席の後の絵とか絶対高いだろ……、とか思いながら席につく。


「あのー質問いいですか?」

「ハイ、構いませんよ鈴木さん。」

「既に島についているはずの王国軍が見当たらないのですが?」

「ああ、あれは幻覚魔法を使って隠しているのですよ。民の不安を煽らないとか、魔王軍の偵察隊などに王国軍がどれくらいの物なのか見られないようにという意味を含めて。」

「そうだったんですか。」


隠さないといけないレベルで弱いのかという考えがよぎる。


「鈴木、後で魔法のアレコレを教えてもらおうぜ」

「そうだな、後で聞くか。」


そういえば幻覚魔法って、漫画やアニメじゃ見破られたりしない限り結構最強の魔法だよな。

後で王女様に魔法についていろいろ聞いてみようか。


「魔王軍は明日の夜、椎茸島の南と西の海岸からの進行を考えているようなのですが、勇者様には主に西からの進行を食い止めて頂きます。」

「西の海岸って、さっき上陸した所ですよね?」

「ハイ、そうです。あそこが一番被害が多くなりそうでしたので、勇者様と聖騎士様にお願いしようと思いまして。」


領主が最後にハハと、笑ったあと何かをじっと考え「あ!」と言った。

どうやら何かを思い出したらしい。


「勇者様方、“天から来た”と、おかしなことを言ったと言われている、今話題の現最強の聖騎士様に会っていませんね。折角ですから、共に戦って頂くので会ってみますか?」

「現最強の聖騎士……。」


べ、別に最強の聖騎士なんか怖くないし!

ムキムキじゃないよな……。


「鈴木、お前何一人でツンデレしてるんだよ。」

「な、なぜ分かった!」

「ねぇ、鈴木君どうしたの?何が分かったの?ねぇ。」

「山田くん、他心通にでも目覚めたのかい?」

「 …な、何?他心通って……?」

「どっしよっかなー、教えよっかなー。」


うわー。


「ムカつく。」

「あっ危な、鈴木お前俺よりレベル高いんだから空手チョプすんなよ!」

「何いってんだ俺のレベルはたかが6だ。さあ、はけ…。お前はどうやって俺の心を読んだ?」


とりあえず空手チョップ2発目の準備。


「こ、怖。片っ端から鑑定眼を使ってレベルの3になった頃からできるようになったんだ。だからその手を下ろせ!」


そんなにレベルをいつ上げた?というか鑑定眼にそんな力があったのか、今度から片っ端から使うことにしよう。本当にガバガバだな、この世界。


「あ、会ってみますか?鈴木さん」


あ、返事忘れてた。


「すいません遊んじゃって、あ、会ってみます。」

「そうですか。」


レンティヌラ卿がチリンと、鈴を鳴らす。


「聖騎士様をこちらへお願いします。」

◇◇◇◇◇◇

「失礼しまーす。」


「(あれは……、シニオンかボーンフィッシュとかいう髪型だったけ…。)」 正しくはシニヨンとフィッシュボーンであるが、そんな事どうでもいい。

髪が寝癖でピョコンとはねた意外と可愛い十七ぐらいの少女が淡紫色の目でジーとこちらを見ながらずっと入口付近で立っている。俺の顔についているのだろうか。


「どうぞ席へ座ってください。この方が5代目勇者候補の鈴木 健さんです。」

「はじめまして、鈴木です。よろしくお願いします。」

「こちらこそ。」


スタスタと歩いてきて握手をする。

変な人だな。いや、俺もそうだけど。


「鈴木さんこの方が……名前を聞いていませんでしたね…。」

「クリスティーナ殿下も鈴木さんも好きな呼び方でいいですよ。」

「〘鑑定が――。」

「あっ鑑定はしないでくれると嬉しいです……。」

「なんでです?って聞いていいのか?いや、やっぱ聞かないでおく。」


彼女は金髪の髪がはねていることに気がついたらしい、頭を触って必死に直そうとしているようだ。その様子は意外と可愛かった。今のうちに鑑定眼を使うか悩んだが、人としてそれは駄目と気づいて押しとどまった。

まあ、なにか見られたくないものがステータス欄に表示でもされていたらいやだろうし。

そんじゃ、色々話してみるか、そんで仲良くなれる……よな?

◇◇◇◇◇◇

もう領主と王女も部屋を出ていっているのに仲良くなった感がない。

何か話しても「そうなんですか。」と「そうですか。」の一点張りよりマシにはなったが……。

頭を抱えてじっと見つめ仲良くなる方法を考える。

別に仲良くしなくてもいい……、が!このままでは釈然としないというか、気分が悪い。


「そろそろ時間なので、部屋に戻ります。」


何の時間になったのだろう。


「 あ、ちょっと待ってください。今回の戦いが終わったら今度巨大人参畑の近くにあった良い感じのカフェに一緒に行きませんか?」


すいません、自覚あります。


「鈴木、急に誘ったら流石に迷惑――。」

「では、これが終わったらまた今度会いましょう。」


山田が固まった後ガチャと、音を立ててドアが閉まる。

俺にしか気づかないように中指を立てて出ていったがこの感じはオッケーということか?そういうことか?そうなのか?そうなんだな。よし。


「あぁ!何抜け駆けしてんだ鈴木!」

「鈴木君、今のはないと思うわ。」

「見損なったよ鈴木くん!僕は君のことを信じていたのに!」

「……ぼ、僕は応援するよ…!」


翼…、お前だけだ俺の味方は…。

ちなみに、翼が応援してくれたのは中指が見えたからだと聞くのは日本に帰ってからだ。


「……な、なんで僕に抱きつこうとしてるの…?」

「男にも目覚めたか……。」

「ち、違うぞ翼!誤解だ!」


「………ぷ……アハハハ!馬鹿だ!」

「馬鹿だな!お前!」

「そうだね!やっぱ鈴木だよ!」

「お前ならあの人とデートしていいぞ!」


「なんで山田の許可がいるんだよ!?」

◇◇◇◇◇◇

「ん……?もう日が沈みかけてるな、風呂行ってくるか…。」


昼寝を終えた俺はスタスタと薄暗い廊下を歩いて真っ暗な階段を降り、地下へと入ると木でできた扉を開ける。どうやらここが脱衣場のようだ。

誰も俺のサービスシーンを見たくはないと思うので服を脱いで体を洗うところは割愛しよう。いや、でも一部の人には人気があるか…。まあ、そんな事どうでもいい。湯船に入ろう。

ちなみにこの風呂場は黒い岩がメインに使われた洞窟風だ。


「あー、一人風呂最高ー……。」

「ギャウ!」


ん?聞き覚えあるな。

後ろを向くとワニがいた、小さくて牙が鋭いワニだ、怖いと言われれば怖くなるかどうかのサイズの。


「あっ、城の寮の大浴場にいたやつ!なんでいるんだ!?」


そういや、あの時は眠くてあまり頭回らなかったけど、よく考えたら風呂に何でワニがいるんだよ。普通なら茹で上がるだろ……。本当に茹で上がるかどうか俺は知らないが。


変なワニだな……、噛みつきもしないでじっと俺のこと見てるし。そもそもお前ワニなのか?


「お前はどっちかって聞かれると……、魔物だろうな。」

「ギャウ!」

「鳴いてるし、時々お前は言葉を理解しているフシがある……。」


コイツ、結構強い魔物なのかもしれない。片っ端から鑑定するって言ったし、ステータスじゃなくて魔物としての情報を出すか。


「〘鑑定眼〙。」


《魔物:ブルーアサシンクロコダイル》

《体長:264cm体重:442kg》

《湖や川の中に潜み見つかると5秒ほどで背後に周り、首を噛みちぎるアサシンクロコダイルの亜種である。 通常のアサシンクロコダイルはアサシンと呼ばれる由来の魔法の転移を詠唱によって発動させ、後ろに回り込むが、亜種は本来のアサシンクロコダイルが持つ魔法の転移を使わず、亜種と言われる由縁のスキルの転移を使用し、詠唱を行わない。そのため、後ろに素早く回り首を噛み千切ってくる。対策として、棘がついた首輪をつけると首を噛まれるのは回避できる。》


「か、噛むなよ……。」


おい、こっちを見ながら歩いてくるな。

噛まれたらシャレにならないぞ。あと、首輪はつけたいとも思わないが死にたいとも思わないな。


「ギャウ。」

「何だよ。」


何故か桶を持ってきたワニはこれを持てと押し付けてくる。お湯をかけろということなのか?


「ほれ、温かいだろ。」

「ギャウ……。」


違うのか……。 おい、咥えてどこ持っていく気だ。

ワニは桶を咥えたまま上体をそらし、桶を投げてきた。

 

「あっ危ねっ!」

「ギャッギャウ!」


するとスキルを使い俺の目の前にあらわれ、自分で投げた桶をキャッチし。そしてまた桶を押し付けてきた。


「あー! フリスビーか!取ってこーいの事か。」


桶を構えて投げる。


「そーれ取ってこーい。」


どうやってもキャッチするから面白かった。流石に、真下に投げるほどゲスではないので真下はやらなかったが。 犬よりも正確にキャッチをするものだから思いっきり投げてやったという意味だ。

風呂場から出るまで遊んでやったが、楽しかった。

◇◇◇◇◇◇

「おはよー、鈴木。」

「おはよう山田。」


風呂場のワニを山田が知っているかどうか聞いてみるか……。知ってたら知ってたで問題ないけど。


「なあ、夜に風呂場でワニ見たか?」

「いや?知らねぇ。何だ?ワニがいたのか?」


そうか、知らないのか。俺がいる時にあそこに来てるのか?


「なんでもないよ。」

「で、俺達はなんで聖騎士の部屋で寝顔を見てるんだ。あと、絶対この人起きてるぞ。ゆっくり剣の方に手が伸びてるし。」


え、マジですか?ぶっ殺ですか?逃げた方がいいのだろうか。

バサッと布団をめくって、彼女がこっちをまっすぐ見て口を開く。


「おはよう御座います。鈴木さん、山田さん。切り刻まれるのはどこの部位がいいか選んでください、そことそこ以外をミンチにしてあげます。楽しみです。」

「それ、どこ選んでも死亡じゃん。」

◇◇◇◇◇◇

「 朝急に私の部屋に来たかと思えば、港に連れ出して……。」

「全員揃って現場見るだけ見に来いって、言われてるんだよ……。でもな、木が組まれている音が聞こえるけど見えないんだよ。」 

「いえ、鑑定眼手当たりしだいに使ったら見つかりますよ。」

「変わった使い方するわね。」

「そうですか?」


能力の使い方がすごいな。


「夜が楽しみです。」

「少量の戦闘狂成分あり……。」

「ここにおられましたか勇者様方!大変です!壁が木枠で組んだ筈ななのですが、全てミスリルに変わっているのです!」


なるほど、また急なワケワカラン事態か。




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