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ラスボスが強すぎて勝てる気がしない!  作者: スタンドライト台灯
一章
4/7

椎茸島です

鈴木 健編です!

俺達は揺れる船の上で吐きそうになりながら二日の戦闘訓練を受けていた。


新人水夫と一緒に。


「痛っ!」

「つ、疲れた」

「ま、まあ僕は全然余裕さ」

「私……、治癒師なのに」


学校で天使とか言われていたが、中身が残念な真理と、かっこいいモテそうな見た目のくせに同じく、中身が残念なナルシが、真面目に訓練している俺たちに喧嘩売っているようなことを言っているが気にしないでいただきたい。

さて、俺達は船に乗る直前まで訓練をするという事を一切考えていなっかた。要するに、魔王軍と事を構える準備が一切できていいない中船に乗っているのだから、どこで訓練するか分かりきったようなものだったと言いたいのだ。


「おーい訓練中済まなねぇが、また出たから殺っといてくれ」

「あ、はい!」


バシャッと音を立てて海面から魚系のモンスターが出て空中にプカプカ浮いてくる。


俺達の訓練中もちろん魔物は出る。しかし、それの訓練の一環として倒して行くものとなっている。お腹が膨らんだり内臓に毒がある魚。


そうフグが。


「クッソ、物理攻撃が効きにくいだけに微妙にうざいな」


遠くから船長の声が聞こえる。


「せっかく訓練中身に付いた飛来斬があるんだろ!使って見せてくれよ!」


口から高圧の水を出してくる攻撃を何度も繰り返してくる。しかも、それが連続で続くから面倒くさい。

だがしかし!


「分かりました!俺も見たいですし、じゃあ、行くぞ!〘飛行斬〙!」


そう、この鈴木 健は初めて自力でスキルゲットを果たしたのだ。内容は、剣を降ると斬撃が飛んでいくという勇者らしいかっこいいスキル。


「よっし!クリティカルヒット…?」


あれ、まだ浮いてるな?


「〘鑑定眼〙」

-----------------------------------

なし lv97

種族:フグ

HP:195∣191

MP:101∣82

SP:278∣219

-----------------------------------

あ、あんまり減ってないな4ダメージか……。


「勇者様、一匹倒しておいて下さいよ?」


ゴリマッチョのくせして爽やかイケメンフェイスの新人水夫が笑って錨を投げる。


「当たりましたね〜。勇者様も早くそれ殺ってくださいね。山田さん達もですよー」

「魔法使いなのに……」


……………。


「そぉい!あ、また当たりましたね〜」


さっきまで三十体以上いたフグが今や7体に減っている。


「〘飛行斬〙!〘飛行斬〙!〘飛行斬〙!〘飛行斬〙!〘飛行斬〙!〘飛行斬〙!〘飛行斬〙!―――――


俺は一心不乱に飛行斬を放ち続けた。

◇◇◇◇◇◇


レベルが6になった。


「剣の訓練もここまでにしましょうか。山田さん達も終わりましょう」

「「「「はい!」」」」

「でも俺だけ、結局スキルで魔物倒しましたよね?しかも、飛行斬のレベルが2になるほど―――――」

「剣の訓練もここまでにしましょうか」

「いや、その――――」

「剣の訓練もここまでにしましょうか」

「はい」

「では!次は魔力盾を覚えてもらいましょうか」


魔力盾。それは、魔法の力により簡素な盾のようなものを作る魔法である。どこに出すか指定しながら盾を出すとそこに固定されるため本物の盾のようにぶん回すことはできないのが欠点。が、それを利用した戦法があるらしい。


新人水夫さんが詠唱を始める。


「〘魔力盾〙はい!真似してみてください」


む、無茶振りだな。

詠唱をなんとか真似してやってみる。


「〘魔力盾〙!意外と簡単」

「簡単ではないですけど。もしかして常時発動タイプの魔力操作持ってますか?それなら楽ですよ」

「そうなんですか?」

「別に魔力の属性の変更みたいな面倒くさい事しないですからね。これはどれだけ固く魔力を練られるかですし」


属性の変更?いや、そもそもこういう奴って適正が何とかってあるだろ?


「ま、魔法の属性で水が使えて火属性が使えないみたいなのないんですか?」

「ありませんよ?」

「え!じゃあ全属性を使えるんですか!」

「そういう事ですね」


聖属性しか使えないと思っていたのにまさかの全属性オーケー。


「え、じゃあ山田の水の魔法使いって称号はなんですか?」

「それは今、どの属性の魔法が多いかで決まります。火の魔法使いの称号を持っていても、切り札が風魔法だったてこともたたありますよ。さて話はここまでにして、魔力盾を使った戦い方を教えますね」


そう言って床から2メートルぐらいの所に手をかざして魔力盾を出した。そして、それを踏み台にして高く飛び上がる。そして、飛んでいる間に今度は下に出した斜めになった魔力盾を出す。更にそれを踏んで横に飛ぶ。そして立体的な動きをする。


「また、ハードル上がったなー」


「頑張れ鈴木」

「頑張って…」

「ファイトだよ鈴木君」

「頑張りたまえ」


「山田達もこれやるからな!」

「いや俺らこんなの無理」

「これぐらい、すぐ出来るようになりますよ」


…………………。


「筋肉水夫はこうやって作るのか」

◇◇◇◇◇◇

《魔法:魔力盾がレベル2になりました。》


「すごいですね鈴木さん、レベル6なのに5枚飛べるなんて。もっと練習したら、魔力が尽きるまで跳べるようになりますよ!」

「あ、ありがとうございます……」

「鈴木、生きてるかー?」

「おう山田!少しダメージを受けてるけど大丈夫だ!」

「あい鈴木!それ駄目なやつだぞ!」


楽しく騒いでいると遠くに島が見えてきた。白い砂浜がキラキラと輝いている。


「着きましたよ椎茸島です」

「「「「「ん?」」」」」

◇◇◇◇◇◇


「島の名前は椎茸島ですか?」


島の案内係のいい感じに鼻の下にひげがあるおっさんに質問をする。


「そうでございますが?」


島の案内係のおっさんが首を傾げ当たり前のように答える。


「椎茸ってなんですか?」

「二代目勇者となられたマーク様が持ち込まれた幻の食材のことでございます。」


何だ、それ。


「なあ、ナルシはどう思うこの島の名前?」

「僕はそれ以前に、どういう状況ならここに来るとき椎茸を持っているのか知りたいね」

「真理は?」

「面白くていい名前だと思うけど?」

「山田は?」

「椎茸の本当の正体を明かして、名前変えたほうがいいと思う。」

「翼は?」

「ぼ、僕は山田君と同じかな……。」


ふむ、真理は観点がおかしい、と。


「あのですね……、椎茸というのはですね。コチラ側の世界では結構マイナーな食べ物でして」

「なんと!そちらの世界は幻の食材がいともたやすく手に入る神の世界だったのですか!」


違います。


「なんと素晴らしい!」


違います。


「まあ、こっちでは珍しい食べ物なんだからそういう顔をしないであげなよ鈴木君。ん、なんだい鈴木君?い、痛い!痛い!な、なんで叩くんだい?!」


俺はナルシをある程度殴ることで「このままで良いか……。」と、思った。


「そ、そうなんですよー。こっちの世界は幻の食材が雑草のように生えてくるんですよ」

「やはり神の世界でしたか!!」


か、顔が近いし。


「ハハ……」


マッチョ集団が一人十箱ぐらい持って荷物を運ぶところを何となく見る。すると、妙に大きすぎる箱から声がする。


「キャア!」


「女の子だ」

「女の子だな」

「女の子よね」


山田、ナルシ、真理が、テンポ良く言う。


「開けるか」

「開けてみようか」

「開けましょう」


また、山田、ナルシ、真理が、テンポ良く言う。

そして、箱が音を立ててて開く。


「うまく隠れたと思ったのに……」


金髪で目が緑で金の翼の髪飾りが特徴の、あの、セイルーン王国の王女クリスティーナ殿下が玉座で見たあの豪華な服ではなく白いワンピースを着た状態で箱詰めになっていた。


「鈴木ー、どうする?」

「山田、急に話を振るな。まあ、こうするか…」

「な、なんでしょう?急に近づかないでくださいよ鈴木様、玉座の間の時お父様がいてあまり話もできませんでしたし―――」


俺は箱に近づいて―――



蓋を閉めた。


「ちょ!ちょっと待って下さ―――」

「行くか。」

「鈴木くん、いいの?」

「真理、そんな些細な事気にするな」

「あれって些細なことだったの?」

◇◇◇◇◇◇

「そうだな、僕は一番最後でいいから……、じゃあ山田君から」


俺達は箱に入ったラフな格好の王女様をおいていったまま剣を抜きに来た。


「「「文句なし!」」」


山田が剣に手を添える


「せーの!おらああぁぁぁぁぁぁぁあああああ!」


5分後……。


「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!」


更に5分後……。


「ああああ…、おおおぉぉぉ…、らああぁぁあ!あ」


「そろそろ諦めろよ、もう十分ぐらい経ってるぞ。」

「まだだっ!まだ諦めんっ!」

 

なんだ?その山田に一番似合わなさそうな努力の台詞は。


「じゃあ、私が行くわ!」

「お、行くのか?真理」

「ええ!行くわ!」


真理はは力尽きて、剣の横で倒れている山田を引きずってどかした。


「せーの!あっ、抜けた―――」


剣が抜けたぞ、おい!


「ちょっと待ったー!」

「あれ?山田くん生きてたの?」


酷いことをさらっと言ったな……。


「ま、真理もう一回。そ、その剣を台座に」

「いいわよ?」


キンッ、と音を立てて剣が台座にもう一度刺さる。


「せーの!おらぁぁぁぁぁぁぁあ!」

◇◇◇◇◇◇

「じゃあ!私、この剣もらうわね!」

「お前…、治癒師だろ……。」


山田は結局、剣を抜けず。スタミナポイントが残り2になってから倒れ、俺が今おぶっている。


「にしても、剣を真理が抜くとはな」

「僕も予想外だったけどね」

「まあ、私天才だから!」


……………。


「山田をおぶってくれ、重い。」

「嫌よ」

「重い、おぶれ」

「嫌よ」

「じゃあその剣ちょっと触らせろ。」

「嫌よ!嫌よ!何で触らせなくちゃいけないのよ!」

「いいだろ!ちょっとぐらい!こ、このやろ!ちょっとぐらいいいだっ!てか、顔を触るな!おい!やめろ!あっ剣に触れ―――。痛っー!」


弾かれたぞ……。あれか?選ばれし者のみ触れることが許されるみたいな。


「ふん!モブキャラの鈴木くんが私の剣に触れるなんて2億年早いわよ!」

「何で中途半端な2億年なんだよ!ていうか俺はモブじゃねーし!」

「あ~あ~聞こえませーん。」


こ、この野郎……!

いや、れ、冷静さを失ったら駄目だ。

おおおお、落ち着け俺……。


「次の観光名所つきましたよ」

「「「「「え?」」」」」


そう言って見えるのは、妙な人だかりのある場所だった。

◇◇◇◇◇◇

「畑だな?」


人参の畑だ。


「えーと、なんの観光地ですか?」

「椎茸同様、幻の食材『人参』です」


また幻の食材〇〇か。


「……でも、栽培出来てるから幻の食材じゃないと思うんだけど……」

「実はこれ地中何メートルもあるんですよ。今は五十メートルはほぼ確実に超えてますね」

「私この人参、翼より長く生きてると思うわ」

「……な、なんで急に話を振って……?」

「喋ってないから?」


そういや喋ってないな。


「じゃあ、人参の感想をどうぞ」

「……し、芯が硬そう」

「主婦みたいな反応だね翼くん」

「変わったとこに目を付けたわね……」

「翼!面白いな!ははははは!」


山田の笑い方……。


「そう言えば領主様になんにも挨拶してないぞ!」

「「「「すっかり忘れてた!」」」」


すると前を歩いている案内人さんがスッと手を上げて言った。


「ああ私です、私が椎茸島領主です」

「は?」


勝手に付いてくる王女を含め、大丈夫なのだろうかこの世界は……?


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