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拙者(オレ)、SAMURAIでござる。  作者: 日溜乃ン乃
第一章
8/8

第七話 真紅のワルキューレでござる!




最初に仕掛けたのはフレイーー砂塵をも溶かす熱を(まと)いし、赤熱の剣-焔-は、たった一振りするだけでも、爆風を生む。

灼熱の衝撃波は、殺傷能力に長けており、普段の模擬戦では、到底使える代物(しろもの)ではない。


相手を死に至らしめる絶対的熱量。ただでさえ凶悪なこの(スキル)は、蜃気楼による分身体を生み出す事で、全方向からの不可避な攻撃、より高次元な(ワザ)へと、昇華している。歴戦の戦士でさえ一瞬にして、灰となる。



フレイは通常の戦闘では、相手を死に至らしめるこの秘技を使わない、いや使えないのだ。


ーー同格…或いは同等以上と認めた

ーーそう、エイジだから使うのだ。



フレイは、グレイスの戦いを見て、エイジが〝異常(イレギュラー)〟であることを悟った。

グレイスは決して弱くない。この世界では強者と言われる部類の騎士だ。最高速度から放たれる音速の刺突を(かわ)し、逆に│反撃カウンターを当てるなど…


(ーーこんな強い騎士が、なぜ今まで台頭して来なかった? 周辺諸国にその名が(とどろ)いてもおかしくないはずなのに…)



私がグレイスと戦うなら、炎による遠距離攻撃、分身による錯乱などを駆使して、刺突攻撃が、最高(マックス)速度(スピード)になる前に倒そうとするだろう。


ところが…エイジは、グレイスに準備時間を与え、満足行くまで加速させ、その上で、電光石火の〝雷鳴〟を、真っ向から打ち破ったのだ。


(ーー強いな…本当に。私も〝正々堂々〟戦ってみたい。)


そう思える相手だった。



「私の本気を出しても…勝てるか分からない相手…。」



ーーぞくりっ。



武者震いにも似た感覚がフレイの体を支配する。実力者同士の戦いは、命のやり取りそのもの。一瞬の隙が死を招く。

命の()ぎ取り合い。弱肉強食の世界。死を一番近くに感じる時間。


ーーだからこそ…その瞬間


人は〝死〟と同時に〝生〟を実感できる。

〝生〟に(すが)りつく瞬間に人は〝生きる〟ことの喜びを感じるのだ。



今死ぬかもしれない事への(あらが)いが、裏返せば〝生きることへの執着(しゅうちゃく)〟になるのだと、心が叫ぶ。


最高の緊張と、昂揚(こうよう)感。戦略的勝利を優先する度に、強者との戦いへの渇望(かつぼう)が生まれていた。


無意識のうちに〝思う存分戦いたい〟その心のうちに秘めた(おも)いが、絶頂を(むか)える。


何も考えず、ただ目の前の男を殺すつもりで、11人の│蜃気楼ワタシと共に、私はエイジに剣を()るった。


たった一撃が、炎の海を生み出した。

その全てが意思を持つかの様に、火龍かりゅうとなりて、(おそ)いかかる。


四方八方から、不可避な炎がエイジを取り囲みーーそして、直撃する。


「流石のお前も…この一撃は避けられないだろう…」


ーー燃え(さか)る猛炎は、(あらが)うことを許さず、エイジに灼熱地獄を(あじ)わわせる。



結界の外にいた、シャルはその│煉獄れんごくの風景に、エイジの身を(あん)じざる得ない。

魔術に長けたティイさえも、その絶対的熱量の中では、無事に済むことが不可能に近いことを悟る。


「エ…エイジ!!」


「あ…あれはヤバイのじゃ…直撃したらタダではすまんぞ?!」



団員達は、団長フレイの勝利を内心喜びつつも、炎の中で生き(もだ)える異国の男の生き地獄を()の当たりにしてしまっては、声に出してまでは喜べない。


ーー団員は〝勝利〟の二文字を口々にする。


「あの男…死んだか?•••団長の勝ちだよな?」


この状況でも〝死なない奴〟なんていない…いや、この世にそんな理解不能な存在は、居てはいけないんだ!


そう、心がそう叫ぶ。


もしも、この状況でも生きているのならば…


それこそ、正真正銘の

〝化け物〟だ。


「...勝ったんだよな?」


「ああ。 真紅の戦乙女ワルキューレか...凄まじい強さだな。」


「あの男も凄い〝闘気〟だったけど…

最後は呆気なかったな…」


白髪交(まじ)じりの年期の入った団員が、今だ燃え盛る炎を見ながら、冷や汗を垂らしながら言う。


「味方にすればあれ程心強い団長は折らぬが、あの若さにしてあの強さ。今だ発展途上と言うのが、末恐ろしのぅ。敵に回すのだけは、勘弁じゃて。」


余りにも圧倒的な火力の前に団員たちは『ごくり』と唾を飲む。日頃付き従う自らのリーダーの本気が彼らの想像を絶していたのだ。そして、絶対に隊長には逆らわないことを固く心に誓うのだった。


〝勝利〟を確信する部下を他所(よそ)に、フレイはあっさり過ぎる幕切れに、疑問を抱いていた。


「直撃はした…手ごたえもあった…

ーーしかし、グレイスをあっさり破った男が、こんなに簡単に倒れるだろうか…」


グレイス戦で見せた、圧倒的な力の渦。物理的に押し寄せる覇気。

そんな男が、このような呆気(あっけ)ない最後を遂げることを、本当に許すだろうか。


彼奴(あやつ)は私の攻撃を真っ向から受けた…回避の行動を一切取らずに。」


確実に仕留めるつもりで攻撃を放った。それでも曇りのような嫌な予感が、晴れることはない。


「いや…回避する余裕が無かったのじゃない…もしも、避ける必要もなかった…のだとしたら…」


グレイスとの一戦を考えると、ご自慢の瞬足で直撃を免れることも出来たはずだ。ーーしかし、奴は現に、逃げず私の攻撃にその身を投じた。


「まさか、あの攻撃を防ぎきる一手が…」


答えが出ないまま、時間だけが過ぎる。

モヤモヤとした疑念だけを残し、思考のループに陥ったフレイに答えは出ない。



赤熱の業火はエイジから、悲鳴も許さず、その身を焦がし尽くそうとしていた。そうなるはずだった…


「だ…団長の勝ちだ!」


「やっぱ、凄いや!フレイ様の…」


団員たちが喜ぶ。しかし、それがぬか喜びなのではないか…という嫌な予感がする。私の中の警告音(サイレン)が鳴り止まない。


ーーそして、その疑念は現実のものとなる。


目の前の炎が、円を描くように一点に集まっていく。しかも、フレイの意図しないところで。


「な…!!私の...コントロールが効かない...だと。」


自身の魔力で生み出した炎が、操作不能になる事態に、フレイも動揺(どうよう)を隠せない。ーーそして、炎が収束する。握りこぶし程度の大きさに収縮した│炎珠ファイヤーボールを、(エイジ)が握り潰す。



「流石に...想定外だ。何をしたのだ...」


フレイの焦りを隠せない言葉に、武士(エイジ)は返答する。


「俺の鎧は〝全属性吸収〟の能力があってな。炎や水、五大元素を使う攻撃に対して、Lv.80以下であれば〝完全無効〟それ以上であれば〝弱体化〟って寸法さ」


ーー俺は、どうせ分からないだろうと思いながらも言葉を続ける。

「お前の攻撃は、俺の世界のLv.70ぐらいだったぜ。もうちょっとで...ダメージが通ったんだけど、惜しいな。」

(ーーまぁ、魔術にも装備効果が適応するか、確信は無かったけど...。)



「『上手に焼けました!』はおあずけだ。丸焦げ(チャーシュー)になるのは俺も勘弁だ。」



目の前の男が、この世界には存在しない(ことわり)()くのを聞きつつ、自分の攻撃に全く動じていない事に、〝悔しさ〟ではなく〝笑い〟がこみ上げてくる。


「...ふははは。お前は、面白い男だな。惜しいか...。お前にとって私は強いのか?」



「強いと思うぞ。さっきのグレイスの倍は強い。もしお前の周りが│Lv.40《グレイス》ぐらいだったら...


ーーお前にとって、この世界は...『退屈』だったかもしれないな。」




フレイは、ドキッとする。何食わぬ顔をして発言した(エイジ)の発言は、自分(フレイ)の心を代弁していたからだ。

ーー騎士団長になってからと言うもの、部下の育成に追われ、作戦や命令を第一優先するばかりで、フレイは、思う存分戦うということをしていなかった。



「良いストレス発散になったか?ーー俺、思うんだよ。剣を振るうって楽しいよなって。領主じゃなく、管理運営する側じゃなく。一人の武士として、一人の戦士として、久々に戦ってみて分かったんだよ。」


「このスリルこそ、〝生きてる〟ってことなんだよな。」


エイジは思うままに、言葉を(つむ)ぐ。

「城主(管理者)として、〝T2〟の中で仲間と大きな国を作る。それは、ひとつの社会を作るようで楽しかった。だけど、代償として〝自由〟がなくなっていくのを俺は感じたんだ。」


(ーー強くなって、成り上がって、高い地位(ところ)に登って。そして、ある程度経ったら、また〝自由〟に遊びたくなる。人は何処までもワガママだ。)



「お前の全力を、俺にぶつけてみろよ。国とか。お役目とか、肩書きとか…かなぐり捨ててさ。ーー戦っているお前、凄く楽しそうだぜ?」




フレイの想いが爆発する。この男なら、私の全力を受け止めてくれる。その思いをぶつける相手に出会ったのだとーーそれは初恋にも似た感覚だった。

団長としての思いも、シガラミも。今だけは忘れる。


ーーそして、自らが持つ最大の技を持って、エイジを倒さんとする。


【魔技】秘奥義: │星火燎原せいかりょうげん

星の誕生、原始の炎を呼び覚ます。フレイの放つ(ほのお)が、輝きを強め、強く光る(だいだい)色は、超高温であることの象徴(しるし)となる。

焔がフレイの刀に(まと)わり、刀身が、本来の3倍近くに巨大化する。熱エネルギーの蓄積が、操作可能な限界レベルに達する。

保有するエネルギーの多さ量は、そのまま威力となる。


現代技術に置き換えると、電池・ボンベ、そこに蓄積しているエネルギーの種類に差はあれど、その量が多ければ多いほど、危険な爆弾になるのだ。


一撃必殺の構えである。後先のことは考えない。出し惜しみもしない。



(せめて、今だけは!)

「ーーいざ尋常に 推して参る!」


踏み出す。その一歩は、躊躇(ちゅうちょ)無く。目の前の男を、ただ倒す為に。


「これがぁああ!私のぉお!全力だぁあああ!」


(ーーレベルにしてLv.90の威力はあるな。俺にダメージを与える攻撃。〝合格点〟だ。)


俺は自らに危害を加える価値のある攻撃を放つ女を、敵とみなし、その攻撃に対処すべく刀を抜く。


接近すればするほど感じる熱量は、その攻撃力の高さを誇示している。


そしてーー両者がぶつかる。


エイジの刀〝藤鮫〟が、フレイの太陽の如き金色剣と交錯した瞬間、結界内に猛烈な爆発が生じる。




<剣技・忍術 連続発動>


ーースキル発動を確認。世界への干渉を許可します。

【剣技】我流 《受け流し・反撃の型》 -天衣無縫ー


【忍術】甲賀流《移動の型》ー空間転移術ー



(ーーったく、『思い切りやれ』っていったのは俺だけど・・・後先考えないにも程があるぜ。)


結界の中が爆風の渦と化す。猛烈な爆発はフレイも巻き込み、全てを焼き尽くすーーはずだった。


《天衣無縫》一糸乱れぬという意味が込められた、その(スキル)(ネーム)は、│ありのままの自分《絶対防御》への自信。

そして、│乱れの根源たる対象《敵対するモノ》を、最初の状態へ戻す反撃(カウンター)効果を有する。


鉄壁の守りの効果は、現在エイジ、そして、反撃(カウンター)により気絶したフレイをも、炎から守っている。


《空間転移術》その名の通り、エイジが対象に選んだモノを転移させる忍術である。数に限りはあるが、二人程度なら問題ない。


(ーー自爆覚悟の特攻か。〝戦闘狂(バトルマニア)〟な一面を隠していた・・・ってわけか。)


エイジはフレイの目を見て直感した。自分の生を捨ててまでも、勝ちに固執(こしつ)している()にーー。

自分の身さえ(かえり)みず、結界という限定的な空間で大爆発が起きれば、俺はともかく、フレイは死の危険がある。


受け流しーーからの反撃、そして、結界からの離脱。


これが、フレイを助けつつも、全力を出しきらせる方法。


(ーー確かに、全力をだせ…とは言ったけど、『神風特別攻撃隊』もびっくりな自爆攻撃だったぜ。)


(世界第一次大戦のときは、こんな目をした日本人がうじゃうじゃいたなんて・・・今の現代人からしたら、理解しがたいな。)


日本の歴史は置いておくとして・・・俺は気絶したフレイを抱えながら、転移により、結界の外に飛んできたが...。


どうもーー嫌な予感がする。


(フレイの全力の一撃に、フレイ自身が張った防御結界が絶えられるだろうか。)


そう思い、俺が脱出した結界を見てみると。俺とフレイがさっきまでいた箱の中は、原始地球でも見ているかのような、灼熱地獄になっていた。


ーーそして、防御陣は少しずつ(ほころ)び始める。


(おいおい...ヤバイな。あの結界歪んでるぞ!もたないんじゃないか!?)


結界の中ーーフレイの放った超高温のエネルギー体が、連鎖的な爆発を起こしていた。術者との繋がり《リンク》が切れ、方向性を見失った、灼熱の炎は暴走状態に入ってしまったのだ。



俺は、急いで 四次元空間イベントリーを開き、結界系の道具(アイテム)を探す。



「俺も、いくつか、防御系の道具(アイテム)のアイテムを持っていたはずだ...」


腕をごそごそと、黒くうごめく四次元空間に入れて、探すが・・・

目的のアイテムが、なかなか見つからない。


「やべぇ、ちゃんと整理しとくべきだった!陰陽師のメンバーに作ってもらった結界系、結果系アイテムがあったはずだ!どこだ!?」


(ーー〝T2(ゲーム)〟時代だったら、整理一括コマンドで、〝あいうえお順〟になったのに...。どうもこの世界じゃ、そういう便利機能はなくなっているらしい)


「ちゃんと整理しとくべきだった!小学校の先生の言ってる事を守りましょうってか!

いつ何時(なんどき)も、基本が大切だな

ーーって!おい!まじで、モノが多すぎて、見つからん!」


正四角形の結界の頂点が、歪み始める。結界術が崩壊するまで、そう時間はかからない事を意味していた。


「くそっ!ちょっと待ってくれって!!

ーーせめて、シャルとティイ達だけでも転移術で...」



エイジが焦っているとき、この家の主が、『馬鹿者!』と言わんばかりに…


「ええい、お前ら!他人の家で好き放題しすぎなのじゃ!」ティイが叫ぶ。



「占い(タロット)魔術(マジック)

騎士のカード!多重結界 さらに炎属性耐性強化付与発動なのじゃ!!!」



歪んだ結界の外側に、何重にもかさねた結界が生み出させる。



「出来る限りの防御結界を張ったが…この結界でも防げるかどうか、分からぬ!

ーーー皆!ここから逃げるのじゃ!」



ティイは結界の維持に必死で、その場を動けない。その表情を見るに、限界まで結界を重ね掛けしたのだろう。


しかし、(ほころ)びは、新たなる綻びを生み、自然の摂理に従って、壊れ始める。


ーーそして、結界が崩壊した。


たった一つの傷から、ダムの防波堤が決壊する様に。限界まで圧力を封じ込めた結界は、一つの(ほころ)びを起点に瓦解(がかい)した。


ティイが張った新しい結界へと、猛烈な圧力が押し寄せる。幾重(いくえ)にも重ねた結界が、一枚、一枚と次々突破されていく。


シャルがティイの肩に手を貸し、己の魔力を注ぎ込む。ーー「少しでもティイの力になれれば…」



「くそっ!もう待たん。シャル・・・ここにいては、ダメじゃ!お主だけでも…逃げてくれ!」


「無理よ!ティイだけ残して逃げるなんて!」


シャルの金の腕輪が七色の光を放ち、結界の崩壊をさせまいと、ティイに魔術を分け与える。



ただ、その健闘も(むな)しく、荒れ狂う爆発の衝撃が最後の一枚を突破しかけたその時ーー


「ーーこれだ!!見つけた!

神さまサンキューー!

天は俺を見放さなかった!!!」


『整理整頓はちゃんとしましょう。』


小学校で教わる基本って大切だな…

と、改めて感じながら、俺は陰陽師の仲間が『いらない』と渡してくれたアイテムを使う。



特殊(イベント)アイテム】

『熱中症にご注意!氷結結界、かき氷!』ーー〝T2〟夏イベントの課金ガシャで、外れアイテムとして出回った〝火属性特化型結界 かき氷〟の上位版だ。


仲間の陰陽師(ジュツシャ)が、

ゴミアイテムでも、強化すれば使えるかもと、強化したは良いものの…

結局、使い勝手が悪く、ゴミ処理 《プレゼント》としてくれたものだ。


陰陽師系の道具(アイテム)で、ネーミングセンスはさておき、レベルLv100程度の火属性攻撃であれば、結界の中に封じ込め、炎さえも凍らせる。


(捨てる神あれば、拾う神ありってか。)


「ザコアイテムだからって、捨てずに取っておいて良かった…」


ーーだから、イベントリーがゴミゴミと、乱雑になるのだが。とりあえず、結果オーライではある。


どれどれ、発動するための詠唱は…


アイテムに付いている解説書を読んでみると、余りにも恥ずかしい厨二的文章に、読んでいるこちらが恥ずかしくなってくる。


(こ…これを読むのか…いや、迷ってる場合じゃ…読むしか…)


「さ…さあ!炎よ!そ、その荒れ狂う熱を沈め、極寒の風に凍てつかれよ…!!」


俺は小ちゃな声で、誰にも聞こえないようにアイテム発動の詠唱を唱える。


それと同時に…10体の雪だるまが出現し、『ふぅーー!』と誕生日のケーキを消すように、息を吹く。

--しかし、その冷気は、そよ風の様に生易しくはない。



ティイの結界を打ち破った炎が、一瞬のうちに凍らされ、炎の氷柱が出来上がる。その光景たるや、白銀の世界ーーこの様な緊迫した状況でなければ、誰しもがその不思議な光景に目を奪われただろう。


「助かったぁ!ーーでもなに、あの雪の玉を二つつけた真っ白なダルマさん。可愛すぎる!」


「まったく・・・黒こげになると思ってしもうた・・・。久々に焦ったのじゃ。」


ティイは自分達を守る魔術らしき(スキル)を放った男に視線を送る。


「エイジ…あやつ、魔術も使えるのか!?あれだけの接近戦に加えて…。なんという奴じゃ。」


(ーーますます...前衛(ペット)として欲しくなってきたのぅ)


ティイは不敵な微笑みを浮かべるなんて、


自分につゆ知らず、エイジはティイに歩み寄る。


「ティイ、耐えてくれてありがとう。マジで助かったぜ!時間を稼いでくれなきゃ、みんなを巻き込んでた」



ティイはやれやれ、という表情で返答する。

「全くじゃ、家ごと全員丸焦げになるところじゃったぞ。」



「悪りぃ!!マジで助かった!」


もし俺が陰陽師(ジュツシ)職業(クラス)を習得していれば、即座に状況は沈静化出来ただろう。

ーーだが、残念ながら、俺は武士(サムライ)忍者(シノビ)しか経験していない。


(...陰陽師(ジュツシ)とか巫女(ミコ)とか、後衛職は、俺の性格に合わないんだよなぁ・・・そもそも巫女(ミコ)は女しかできないし。)


そんな事を考えつつ、エイジは周りを見渡すと、騎士団の連中が居なくなっていることに気づく。


「あれ?騎士のやつらどこ行ったんだ?」



ティイが、外を指差しながら答える。

「なにやら、戦略的撤退らしいぞ?あいつらが戻って来る前に、妾たちも、トンズラこいた方が良いかもしれんの。」



そして、ティイは、少しニヤリとしながら、俺の顔を見た。


「妾に良き案があるぞ。」




「今からーー

ーーこの家を燃やすでな。」




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