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拙者(オレ)、SAMURAIでござる。  作者: 日溜乃ン乃
第一章
5/8

第四話 幼馴染(シンユウ)は占い師(ヨゲンシャ)でござる!?




――シャルにつれられ、街の中を進んでいくと・・・


そこには、樹齢100年は(ゆう)に超えているだろう古い大樹が生い茂っていた。


巨木には、紫の怪しげなドアが付いており、誰かが住んでいる様な印象を受ける


(これ...家なのか?)



そんな俺の疑問をさて置くかの様に、シャルが勢いよくドアをノックした。


『コンッコンコン!』



――ノック音が響く。



返答の声が無いまま、シャルは、ドアを開けて中に入ろうとする。



「おいおい!シャル!勝手に入っちゃっていいのかよ?!」



俺の制止(せいし)も声も間に合わず、『ギィ』と音をたてて、(トビラ)が開いた。



「お邪魔するわよー。ティイー?いるなら返事してー。」



――返事はない。



「ねぇー?いないのー?留守なのかしら。」


これは不法侵入に当たるのではないか…と思いつつ、物音一つしない部屋を俺はぐるっと見渡す。



大樹の中は、一人が住むには十分すぎるほど広い空間が広がっていた。現実世界でいう小学校の一部屋分のスペースよりも明らかに大きい空間が広がっている。


ーー部屋の壁には、金色と黒を基調とした、幾何学的な模様が描かれている。古代エジプトの壁画を思い出させる内装は、洗練されていながらも個性的な印象を与えてくる。

金の装飾をあしらった黒猫の置物、鮮やかな色彩のガラス製品や、重厚感のある絨毯(ラグ)など、一つひとつのインテリアが異彩(いさい)を放つ。


(これが、魔術師の家か。独特な雰囲気が漂ってるな。下手に触ったら、呪われそうな不気味なオブジェもあった。)

――恐る恐る部屋の中をうろつきながらも、一風変わった住居を観察していると、上から(なわ)のようなものが、つたってくるのが見えた。


(ん?縄が動いている?いやあれは...)

「なんだ・・・紐か?・・・いや、あれは。」


蛇。しかも、図鑑で見たことがあるキングコブラという、凶暴性が高い蛇だ。

「毒蛇か!シャル!!後ろに下がれ!!」

俺は、咄嗟(とっさ)にシャルの前に飛び出てる。

『シャー。』


蛇はじっとこちらを見てくる。


――ただ、襲ってくる雰囲気はない。殺気や敵意といった負の感情も蛇からは読み取れない。ジーっと大人しくこちらを見てくるだけだ。何かを伝えたいのだろうか。

――突然、部屋の中に若い女性(おんな)の声が木霊する。

「おっと。何者かが尋ねてきたかと思えば、シャルか。お(ぬし)、 よくぞ、あの城から抜け出してきたな!!監視の目もあったろうに。」



(ど、どこから声がしているんだ。俺の探知に引っかかっていない…)



この部屋には、俺とシャル、そして目の前の毒蛇以外の生命反応が無いことは、俺の(スキル)で確認している。



〝T2(ゲーム)〟の(スキル)は、厳密に2(ふた)つの種類がある。意思を持って発動する タイプの【(ワザ)】と、自動(オート)で常時発動している【能力(アビリティー)】がある。



今、発動しているのは、【能力(アビリティ)】〈気配察知〉

半径10メートルの意思を持つ生物の気配を捕捉する能力(アビリティ)だ。

Lv100以上の熟練の武士(サムライ)や、上位忍者(シノビ)が、特定の修行(クエスト)をクリアすることで習得するスキルだ。敵の探査に非常に役立つスキルだ。

(声が聞こえるのに、姿・気配が捕捉できないのは…相手も相当な手練れというわけか。隠密系の職業(クラス)か?)

「その声は…ティイなのね?どこにいるの?」

「ここじゃよ、シャル。よく来たのう。歓迎するのじゃ!」

(――!!?)


俺の声にならない驚きを余所(よそ)に、蛇は女へと、姿を変えた。


「なんだ?!蛇が人に?!」

「きゃ!!ティ…ティイなの?!」


シャルと俺は同時に驚きの声をあげた。

現れたのは、色気が漂う、 (なまめ)かしい雰囲気を持つ美女だった。


容姿やしぐさ、またや表情が性的魅力にあふれていた。

(ところ)々(どころ)がシースルーのエジプト風の服は、肌の露出が多く、それと相まって彼女の豊満すぎる胸は、本人が意図しない所で、男性に凄まじい自己主張してくる。ーーつまり、一言でいうと、めちゃくちゃエロいのだ。



(――目のやり場に結構困るな...。)


女性と付き合った事が皆無の俺には、刺激が強い服装だった。



〝妖美〟と言う表現がぴったりな女は、かがみながら俺の顔をのぞいてくる。

「あらら?そちらの殿方(とのがた)は…シャルの彼氏(ボーイフレンド)??」


女の唐突な発言に…

――『かぁああ』っとシャルが顔が、明らかに誰にでも分かるレベルで赤面する。



「ち!ち!違うわよ!エイジは私の守り(ボーディーガード)!それだけなんだから!」



貴方(シャル)が男を連れてくるなんて、初めてのことだからの~。勘違いしてしもうたのじゃ。」



シャルが『違うよね!?』と言わんばかりに、こっちを見るので、俺もそれに頷く。

ちょっと寂しい気もしない事も無いが...。



「俺はエイジだ。今はシャルの護衛をやらせて貰ってる。」



シャルの友人に、失礼がないように挨拶をする。



「お初にお目にかかるのう、エイジ。私はシャルの幼馴染のティイ。よろしく、なのじゃ。」



俺はティイと軽い握手をする。



「エイジ…お(ぬし)…随分と不思議な魔力を持っとるな。

――いや、魔力でもない…。一体、なんなのじゃ?見たことの無いオーラを(まと)っているのう。しかも…その強さはなんじゃ…」



「それに...その服も。見たことない服だしのー。しかも、強く不思議な(オーラ)宿(やど)しておる。エイジ、お(ぬし)...いったい何者なのじゃ?」



(おいおい…初見で色々見破ってくるなんて・・・ただのエロ女って訳じゃなさそうだな…)


――いち早く、俺が『異常者(イレギュラー)』だと気づいた(ティイ)は、きっと優秀な魔術師なんだろう。



(――シャル(いわ)く、この国で10本の指に入る魔術師だったか?)


「お前は…何者か…か。」


馬鹿正直に話すのか、それとも隠し通す方が賢明か、俺は少し悩みながらも答えを出す。


(隠して、変に疑われても面倒だ。ここはシャルの友人を信じて、正直に話してみるか…)


「何者なのか...か。俺自身、分かっているのは、〝T2(ニホン)〟から来た『武士(サムライ)』ってことぐらいさ。多分、この世界とは別の...な。ちなみに、この服は着物(わふく)って言うんだ。正確には浴衣(ゆかた)だけど。」


「聞いたこと…無い単語だのぅ…」


(ちなみに、今見えてる浴衣自体は〝アバター(仮装装備)〟見せかけのお洒落(しゃれ)装備だ。防具の上から装備でき、見た目を変えることができる。)



『★3 仮装(アバ)装備(ター) 二周年記念ー豪華 高級浴衣セットー』 〝T2〟の二周年記念のときに、ログインしている全員に配られた仮装(アバ)装備(ター)である。レアリティー自体は高くないが、黒基調の布地に赤金魚柄が配置されているデザインがオシャレで、個人的に気に入っている。


仮装(アバター)の機能は、装備の見た目の上書きだけで、戦闘における効果は無い。アバターを着ていたとしても、モトの装備性能は失われないので、別に何も困らない。


おそらく、ティイが見えている(オーラ)は、浴衣(アバター)の下、本来の装備である『★9防具 南蛮胴具足なんばんどうぐそく』と『★9兜 赤小札黒糸威南蛮形兜(あかこざねくろいとおどしなんばんなりかぶと)』の付与効果(エンチャント)だろう。)


『★9防具 南蛮胴具足なんばんどうぐそく

『★9兜 赤小札黒糸威南蛮形兜(あかこざねくろいとおどしなんばんなりかぶと)』



――これらの装備は、俺が治めていた尾張地方を平定した領主のみに配布される〝唯一無二(レジェンド)装備〟だ。あの魔王と恐れられた『織田信長公』の甲冑をモチーフに作られた装備で、防御力はもとより、その付与効果のエグさは折り紙つきだ。〝T2〟の中でも28個しかない最強の甲冑の一つである。


俺が城主として、お忍びで城下町の治安などを見回る時に、★9甲冑を着ていると軽い騒ぎになってしまうので、良くアバター装備で目立たない様にしていた。


俺の城下町では、着崩して浴衣を着るのが流行っていたので、人混みに居れば、城主だとバレずに済んだのだ。



優秀な魔術師(ティイ)は、興味津々とばかりに、俺のことをジーっと凝視してくる。



(天真爛漫なシャルとはまた違う...妖美(ようび)な雰囲気の美女だけど、そんな見られると照れるな...。)



「ふぅむ...そうか。異なる世界の住人か。

――ふぅむ。そうすると、わらわが占い(タロット)で見た(ひかり)っていうのは、貴方(エイジ)ということじゃな。」



(――占い?そういえばシャルも出会ったときも、『占いで(エイジ)と出会えた』なんて言ってた気が...)



「どういう事なんだ?ティイとシャルは元々俺のこと知ってたのか?それに光って...」



ティイは勿体ぶるように、顎に手を当てて、ニヤニヤとこちらの様子を伺っている。


「エイジがどうしても、というのなら、教えてあげなくもないのじゃ!」


(そこっ!勿体ぶるのかよ!…ったく。)



茶番だとは知りつつも...なんとも憎めない魔術師のお遊びに付き合う。



「ああ、公明なティイ様よ。無知なる(わたくし)めにお教えください。」



「ふふふっ!私を(たてまつる)るとは良い心がけじゃ!」


ふむふむ、と満足したようにティイは頷きながら話を続ける。



「そもそもじゃ!(わらわ)が魔術師なのは知っておるかの?ーーこの世界には色んな魔術があるが、その中でも(わらわ)が得意としておるのは、占い(タロット)魔術(マジック)なのじゃ。攻撃魔法、防御魔法に始まり、未来予知、運命さえも若干じゃが変える力を有する高等魔術なのじゃ!」



「つまり、ティイの占い(タロット)は、魔術であって、『運命を占いますよー』的な、駅前にいるインチキ占い師じゃないってことなんだな。」


「えきまえ?と言うのがよく分からぬが、そうじゃ!(うそ)(まこと)か、良く分からん、インチキと一緒にされては(たま)らんのじゃ!」



(俺が…なんでこの世界に来たのかも…占って貰おうかなぁ。)



現実世界にいた時も、風水、星占い、手相などなど、占いの類いは数多あったが、信じた事がなかった。



(ただ、魔術でとなると…話は別だよな…。)



興味ゼロだった俺でさえ、チャレンジしてみようかな…なんて思うのだ。ティイが現実世界の日本に来たら、世のJK(女子高生)や、JD(女子大生)で、とんでもない行列が出来る事に違いない…。



――おっと…話が逸れすぎた。収集がつかなくなる前に、話題を戻そう。



「というか…本題から脱線してるぞ、ティイ。会う前から、俺のことを知ってたのはなんでなんだ?」



「そ、そうじゃったな。ついな。お(エイジ)を知ったのは、(わらわ)が、シャルの未来を占った時じゃ。」


「シャルはのぅ…小さい頃からずっと魔導帝国イシスのお城で、籠の鳥のように大切に育てられたのじゃが、それがシャルにとっては窮屈だったようでの。

さらに、今年は18になる年じゃて。親がシャルの意思とは別のところで、結婚の約束をしてしまってのう…。シャルは自分の選んでもない殿方は、(いら)らしくて…。」


「それで、飛び出した…ってわけか。」


「その通りじゃ。」


つい、話の先が気になって、ティイの話に横槍を入れてしまった。


(結婚相手を仕来り(シキタリ)で選ぶ…年頃の女の子にとっては(こく)な話だよな。)


ふと、横を見ると。

――シャルは『こ、この話やめにしない?』と、赤面しながら、(しき)りに言っているけれど…もちろん止めるつもりはない!!

俺が、なんでこの世界に呼ばれたのか、分かるかもしれないんだ。


(恥ずかしいのは…我慢してくれ!頑張れ、シャル!!)


「それで、じゃ。困ったシャルは幼馴染の私に相談してきたのじゃ。

ーーこの決められた運命を変える方法は無いか、とな。

(わらわ)たちは、イシスの兵どもに気付かれんように、伝書鳩を使って、秘密裏に連絡を取り合った。

(わらわ)はシャルの未来を占って、この先、2つの道があることを手紙に書いて、鳩に託したのじゃ。」


「一つ目の人生(ライフプラン)A(エー)は、平穏なお城で何も変わらない生活を送り、仕来(しきた)りに従うまま、決められた相方(パートナー)と一緒になる道じゃ。

人生(ライフプラン)B(ビー)、平穏からは遠ざかるが自由を手に入れる道。鳥籠(しろ)から抜け出し、イシス砂漠のど真ん中に現れる、よく分からない格好の男と出会い、国外に逃亡。とりあえず、父親たる国王(ファラオ)に喧嘩を売りつつも、絶対に決められた人生は嫌だと、駄々をこねる意思を示す。後のことは、占いでは見えなかったから、とりあえずその先は頑張ってみる。という道じゃ。」


(おいおい、プランBは、はちゃめちゃだな!しかも、よく分からない男って確実に俺だよな。)


(そして、ティイでも俺のことは、よく分からない存在だと…言う事だよなぁ…。)



顔には出さないように、淡い希望が泡の様に(つい)えたいったのを心の奥で(さと)る。

そして、一番の関心事が消え去ったと同時に、今の会話に違和感を覚える。


(ん?そう言えば…ファラオとか、なんかよく分からない単語が混ざってたような…。ファラオ…なんか偉い人を指す言葉じゃなかったっけ?)


戦国時代以外の歴史に詳しくない俺は、無い知恵を絞って頭をフル回転させたが、答えは、結局出てこなかった。


昔から世界史はあまり得意では無かったのだ。


――無いものは無いのだ。後で聞けば良いと心の中で諦める。


「そんなこんなで…じゃ。監視が厳しい帝国イシスをうまく抜け出したシャルは、私の予言通り、よく分からない格好のお主を拾い、隣の国の私のところに逃げ込んで、今に至るというわけじゃな。」



(――魔導帝国イシス、今俺たちがいるこの国の同盟国だったか?そんな国のお城の箱入り娘だなんて、シャルは一体どんなお嬢様なのだろうか。まさか、貴族とか…!?)



少し頭の整理をする時間が欲しいので、俺はティイに質問をしてみる。


「とりあえず…俺はこの世界の『異端者(イレギュラー)』ってことだな。指折りの魔術師のティイでも、よく分からない存在と。



(わらわ)はこの国の主席魔導師ティイ・ナイトアヤ。私が分からないなら、お主の素性を分かるものは、この世界には居らぬかもしれぬな。」


(――まじかよ。)


「まったく。博識なティイでも分からないってなると…俺はなんでこの世界に来たんだか…。

――シャルを助ける為なのかな?そしたら運命の出会いってことか?なぁ、シャル。」



「う、う!運命とか!そんな軽々しく言うんじゃないの!!」



(相変わらず、うぶな性格で面白い。)



俺はこれ以上、イジると後が怖いので、話を変える。


少し疑問に思っていた単語〝ファラオ〟について、質問してみる。


「あ、そうだ。気になってたんだけど、ファラオってなんだ?なんか話の流れ的に〝偉い人〟なのかなって思ったんだけど」


質問した途端、シャルが大きく慌てるのが見える。ティイに『言っちゃダメッ』と言おうとしたのだろうが、同時にティイが口を開いてしまう。


「お主!それすらも知らなかったのか。」


「わ…わるかったな、それすらも知らなくて…」


「いや…お主はこの世界のことを知らぬのだから、それを責める方がお門違いじゃの。許してくれ。」


「簡単に言うと、ファラオとは、それぞれの国のトップじゃよ。つまり、皇帝じゃ。」



(皇帝…だと!?それじゃあ…)



「そして、そこにおるのが、イシス皇帝(ファラオ)実娘(むすめ)。第三皇女、クレオパトラ・シャルル。ーーそしてじゃ!!(わらわ)こそが、この国の最強の魔術師と言っても過言では無い、スーパー占い(タロット)天才魔術師....ーーそう我こそは⤴︎⤴︎ティ…」


「なっ!皇女?!シャルが…お姫様だと?!」


つい、食い気味に反応してしまった。


(なんか偉い奴かな?ぐらいの認識だったが、国のトップだと?!)



「おい!エイジ!(わらわ)の決め台詞が終わっとらんのに、シャルの肩書きに食いつくとは、何事じゃ!」



(――いや、だって。ほら。散々、お姫様(シャル)のこと、いじったり、驚かせたりしちゃったし…不味いんじゃ無いかなぁ…なんて。)



気まずそうに、シャルのほうを見ると、当の本人はこの会話に相当気疲れしたのか、若干喪抜けの殻の様な状態になっていた。



「ティイー!ばらさないでよー!」



「シャル、お主こそ、エイジにその身分隠してたのか。」



「うん...。」



(――そういえば、なんでシャルはその身分を俺に隠していたのだろう。)



「だってさ...。私が皇女だって知ったら、国のみんなはすっごく丁寧に、腫れ物扱いするんだもん。」


「本音でお話できるのなんて、ティイぐらいしかいないし。せっかくエイジとも仲良くなったのに...。」


「何も知らなければ、エイジもこのまま、友達みたいな関係でいれるかなって思って。」



(――なんだ、そんなことか。)



俺はシャルのほうをまっすぐ向いて、そんな臆病な一面を見せる女の子に〝会心の渋いイケメン(キメ)顔〟で微笑みながら...

「シャルが例え皇女だろうが、偉かろうが、関係ないな。ーーお前は、俺を拾ってくれた恩人。俺はお前だけのボディーガードだ。皇女だの、王国だの、異世界の流浪人からしたら…関係ないね。」


「ああ、それと、俺は元の世界で『領主(管理者)』...つまり、その土地を治める地位にいたんだ。立場で言ったら対等だろ?ファラオの娘だか、なんだか、知らないけどさ。対等にやらせて貰うぜーー今まで通りじゃだめかな?」



(ただ、俺の場合〝T2(ゲーム)〟での立場だけどな!)



「っま!勢いに任せて話したけどさ。俺は俺。シャルはシャルだ。それでいいんじゃないか?」



最後に心の中で、言えない一文を付け足しつつ、シャルの綺麗な髪を撫でた。



「エイジ…ありがと。」



ティイはそれを見ながら照れ臭そうに

「不器用な奴らじゃのー。」

と少し微笑ましく、二人を見守っていた。



シャルは、皇女という立場やシガラミを忘れ、今はゆっくり流れていく優しい時間に身を委ねることにした。



一方、エイジはと言うと。


――そういえば、この世界に来てから、武士(サムライ)なのに、ちゃんと刀で戦ってないなぁ…なんて考えていた。



(そろそろ、刀振っておかないと、サムライとしての腕も、自慢の刀も錆びちゃうよなぁ...。)



――良い稽古相手いないかなぁ。



領主から、一匹の武士(サムライ)になったエイジが、刀を振るう感覚のなまりを気にしてた頃、



――『ドンッ』



扉が勢い良く、開いた音が聞こえた。





<<第五話に続く...>>




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