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拙者(オレ)、SAMURAIでござる。  作者: 日溜乃ン乃
第一章
2/8

第一話:ここは異世界でござる?



「お…拙者(おれ)は、生きてるのでござるか?」



この世界で、俺が初めて発した言葉だった。



「え?…あははっ!」



くすくす…ツボにハマったのだろうか。目の前の少女は、目の前の俺に悪いとは思いつつも、笑いを堪えられない様子だった。


笑っていないで、何が起こっているのか...俺は説明を求めているだけなのだが...。



「砂漠のど真ん中に人が倒れてたから、『死んじゃったら大変!!』と思って着てみれば・・・『俺は生きてるのか?』って聞くんだもの!

ーーこっちが心配して聞いてるのに!」



「あははっ!あなたって...面白い人ね!!」




どうやら、目の前の女子(おなご)の言うことが本当なら、俺は生きているらしい。

ーーそして俺は、何かこの子にとって面白(ツボる)発言を言ってしまったらしい。



「あと…その…ござるって何?

そんな口調初めて聞いたわよ。何処の国の出身なの?遠い国の人なのかしら?」


咄嗟に出た『ござる』に、そんなに突っ込まれると、こっちも少し恥ずかしい気持ちになってくる…。


(でも…とりあえず・・・

ーー俺は生きてるっぽいな!良かった!)



俺は、今この時を生きている事に安堵(あんど)しつつ、彼女との対話を進める。


(そう…今必要なのは•••状況整理なのだ)


「『ござる』って言うのは、ほら...〝T2〟の世界でよく聴く言葉でだろう?戦国時代の(サムライ)になりきると言うか、ゲームを楽しむ為に、(サムライ)に演じきるって意味でさ。」


(昔のお侍さんも、本当に使ってたらしいし...。)


「ほら・・・せっかく戦国時代に来たなら、その時代の言葉、使いたくならない??」


女は『よく分からない』と言いたげな表情(かお)でこっちを見てくる。


今や、世界的な知名度を誇る〝T2〟を知らないとは・・・『何処(どこ)ぞの辺境(へんきょう)の地だ!』と心の中でツッコミを入れる。


ただ、今は情報がほしいので、彼女の話を注意深く聞いてみる。


「サム…ライ?ティーツー?ゲームってどういうこと?センゴク...センゴクって国から貴方は来たの?」


「いや、戦国は時代の名前で、俺が来たのは日本って国だよ。ジャ・・・ジャパニーズ、おっけい??」


(ーーおいおい。まじかよ。ニホンを知らない!?)


(サムライを知らないのは、多分…日本の文化に疎いからだ。〝T2〟を知らない…のも田舎(いなか)という事で置いておこう。ただ、日本も知らないのは、ちょっとまずくないか?世界でも有数の経済大国だぞ?)



(ーーというか、ちょっと待てよ。)


ここは〝T2〟の中だろ?なんで、〝T2〟を知らない。それに、日本をモチーフにしたゲームの中で、日本を知らないのはおかしい。


今やすべてが情報化されたこの時代に・・・明らかに話の流れがおかしい。彼女は一体...。



「まあ、何があったのか知らないけどさ!こんな砂漠のど真ん中にいたら干からびちゃうよ。」


(ん?砂漠?日本(〝T2〟)に砂漠なんて…あるわけ…)



そう言って、周りを見渡してみる...


「え…まじかよ。」



混乱していて、周りが良く見えていなかった。そこに広がるのは...


ーー見渡す限りの…砂。大砂漠。


日本(〝T2〟)では、あり得ない風景だ。



「砂漠だと…!急なアップデート…?いや、そもそもT2に日本以外のフィールドを実装させるなんて…どういう事だ?」



予想外の展開で、頭の整理が追いついていない。大規模なアップデートは事前に告知(アナウンス)されるはずである。というより、今眼の前に広がる砂漠というフィールドはT2のコンセプトと外れすぎている。


もはや…別物(ゲーム)だろ…。戦国時代ところか、日本ですらない。


目の前の現実が受け入れられない。


「なんか・・・辛気(しんき)(くさ)い顔してるけど、大丈夫?何があったのか分からないけどさ!元気出してよ!ほら!立って!!」



バシッ!背中を叩かれた。



彼女は勇気付けるために背中を叩いたのだろうが、それは俺に衝撃的な事実を突きつけた!



「いてっ!」



本当に痛かった訳じゃない。ちょっと強めに叩かれたから、つい声に出てしまっただけだ。



「ごめん、強く叩きすぎちゃった!?」



いや、問題はそこじゃない。そこじゃないんだ。



――〝叩く〟という攻撃が生んだ〝衝撃(ダメージ)〟を感じたこと。それが問題なんだ。

〝T2〟はフルダイブシステムを搭載しているから〝暖かい〟〝冷たい〟様々な感覚をリアルに感じる事ができる。



ただ、実装(インストール)していない感覚がある。



それは…〝痛覚(いたみ)〟だ。



またそれに酷似する、第三者からの攻撃による〝衝撃(ダメージ)〟なども、ゲームからは消し去られている。



乱世において、プレイヤーは戦いに参加する上で、死に至る事がある。刀、矢、銃などの武器で、ダメージを負うことも日常茶飯事だ。その度に、リアルな〝痛み〟を感じていたら…そんなゲームやりたいと思うだろうか。よっぽどのドMならまだしも…普通の人間なら嫌な(はず)である。



「ごめん!痛かった?ちょっと元気付けようと思って、強めに叩いちゃったかな…?ごめんね!」



「いや…ありがとう。つい声が出ちゃっただけで大丈夫!」



この女の子は今…〝痛覚いたみ〟がある事を、当たり前の様に言った。

痛いという感覚が、この世界にはあるんだ。〝T2〟では決して存在しないモノだ。



つまり…この世界は…仮想世界〝T2〟じゃない。頭の中の???(クエッション)は今、確信に変わった。



(ーーと言うことは…ここは、現実(リアル)世界なのか??いや、今は何をするにしても、情報が足りない。)


考えていると、彼女の服装が目に入った。



目前(めのまえ)の女の子の服装を良く見てみると、〝T2〟でも、現実(リアル)世界でもあまり見ない格好をしていた。強いて言うなら、古代のエジプトにありそうな服装だった。



(映画や世界史の教科書で見た事があるな...。所々が透けてて、アクセサリーが金色だ。)



肌が見えるシースルーな布地と金の装飾品が、古代エジプトを彷彿とさせる。しかも、薄着だし…うん、この服装はちょっと刺激が強いな…。



『こんな時に何を考えているんだ』って話だが、男としての部分は正直なのだ。こればかりは仕方がない…。



「ジロジロ見て…ちょっと、私の服装なんか変かな…?そんな見られると恥ずかしい…」



「あっ! ごめん」



まずい、物珍しさでついつい見てしまった…。



「誤解しないでくれ!やましい気持ちは無いんだ!ちょっと珍しい格好だなと思ってさ。金の装飾とか、君の国ではよく付けるのかい?」



見れば見る程、古代エジプトっぽい服装なんだよなぁ…クレオパトラとかそう言う人が来てるイメージだ。



「うん、私たちの国では、綺麗な金の装飾を纏う事が美しいとされているのよ、まあ、あまりギラギラ過ぎるのもどうかとは思うけどね。私のは結構落ち着いている方だと思うわよ」



これでか…十分派手だな…。日本から比べたら…随分と透けてる部分も多いし。



「お、おう。結構落ち着いてて良いと思うよ!あ…暑いし、通気性も良さそうだしな、その服!」



通気性が良いってなんだ!見た目じゃなくて機能性を褒めてどうする俺!?



「でしょ!腕の部分とか、シースルーだから結構涼しいのよ!ギラギラして目立つだけがファッションじゃないわよね!アクセサリーとか目立たせたい部分は目立たせて!他は…ちょっと控ぇ…」



ファッションの話はよく分からないので、話を聞いてるフリをしながら、思考を巡らせる。

そもそも、この子の服装が落ち着いたトーンだったら、派手ってどんなレベルなのかと…

俺はちょっと考えてつつ、その子の胸の目立つ金のネックレスに目をやる。



そのネックレスは、ピカピカに磨かれ、鏡のように反射していてる。金属の表面には俺の顔をくっきり見える。

ーーただ、そこにあったのは、リアル世界の〝野原英二郎(俺)〟の顔ではなかった。


俺が〝T2(ゲーム)〟で使っていたキャラの渋い顔であった。


相変わらずダンディーなイケメンだ。さすがしっかり時間をかけてキャラメイクしただけはある…。


(...っと自分のキャラメイクセンスに関心している場合じゃなかった…やはりそうか。)



薄々は気づいていた。声が現実世界と明らかに違うのだ。有名な声優さんが声を当てたキャラボイス。現実の俺のダミ声とは、明らかに違う爽快で通る声であった。


そう。ーー今このとき、ここに存在しているのは、〝 野原英二郎 (リアルな俺)〟ではなく、仮想世界での(キャラ)なのだ。



T2のキャラのまま、どこか知らない世界に来てしまったようだ。

この世界が、現実世界(リアル)なのか、どこか違う仮想世界(FD-SIM)なのか今は分からないけれど。



ただ、一つだけ確信を持って言えるものがある。


ちょっと不安はある。それはウソじゃない。ーーでも嫌じゃない。


未知の世界との出会い、新しい人生の始まり。俺は今、興奮と期待に包まれる。

リアルのしがらみから解放され、〝T2〟の世界に初めてやってきたワクワク感と、一緒のものを...今、俺は感じている。



現実世界が楽しい奴なら、大切なものがある者なら、やり残したことがある人なら…今の状況に不安を覚えたかもしれない。



現実には飽き飽きしてたし、T2でのゲーム人生もイチからやり直そうとしていたのだ。いっそ世界が劇的に変わろうと、ここが異世界だろうと、楽しく生き抜いてやろうじゃないか。



どうせ一度限りの人生だ。とびきりの波瀾万丈の何が悪い。ハプニング?予想外?上等だ。大歓迎である。



俺はこの世界を楽しむことに決めた。まあ、それぐらいにポジティブに考えないと、今のカオスな状況ではやっていけない。誰かに『あっぱれなポジティブシンキングだ』と、褒めて欲しいぐらいだ。



「ねぇ!ねぇってば!もー、私のファッションのこだわりポイント聞いてなかったでしょ!ずっと私の服見てたから、興味あるかなーって思って喋ったのに…」



おっと、考え事しすぎてしまった…。ここは、ハリウッドスター顔負けの、渋いイケメンフェイスを有効活用する時だ。俺の12時間の努力の結晶よ!今こそその真価を…!



「すまんすまん!ついつい見惚れちゃって、セクシーな衣装も綺麗な衣装も、結局は着る人次第なんだよな。君が着ているから、魅力的に見えるんだよ。」


なんと言う…自分で言ってて寒気がしたぜ!



「なっ!な、な、な!今なんて!そ…そんな褒めたって嬉しくないぞ!!」



どんだけ隠すの下手だよ.!!感情が駄々漏れだ。

ただ、素直な子なんだなってことは伝わってくる。



今は俺は渋顔のイケメン。大学までDTだった俺なんて、この世界にはいないのだ。



(ちょっとだけからかって見ようかな...。)



「素直に思ったことを言っただけなんだけど...。恥ずかしい思いをさせちゃったらごめんな。」



かぁぁあああ!見る見るうちに赤面する。



「ぅう...。面と向かってそんな恥ずかしい...。き・・・君は...初対面の私を・・・口説いているのか!?」



(分かりやすい...というか面白い)



ただ、命の恩人をこれ以上、いじるのはバチが当たるってモンだ。これぐらいにしておこう。


「ごめんごめん。恥ずかしい思いをさせるつもりじゃなかったんだ」


「っんん!!そ・・・それぐらいにしてくれると助かる...。」


(ーー面白かったから...からかったのは黙っておこう。ーーそれにしても...俺はこれからどうすればいいんだろう)


周りをぐるっと見てみるが、一面砂漠。砂の地平線が360度広がるばかり。


(んー...ダメもとで頼んでみるか?どうせい頼る相手なんて・・・一人しかいないわけだし)


目の前の女の子をチラっとみる。まだ赤面の赤さが完全に引いていない様だ。


「助けてくれて、何かお願いするなんて、図々しいかもしれないけど、もし大丈夫なら、俺を雇ってくれないかな?行くあてがなくてさ...。」



「えー...人をからかう人はヤダかな!!」


(やべぇ...。ちょっと、ふざけすぎたか!?)


女の子はクルッと一回転まわって、舌をペロっとだして...


「なーんてね!!いまちょっと顔引きつったでしょー!私のことをからかった罰だよー!」


「おいおい!試したやがったな!」


地味に焦った。こんなだだっ広い砂漠で、この子に見放されたら...かなりヤバイからな。



「で...。俺は君に付いていっても良いのか? 力仕事でも何でもするぜ! 」



「んーーじゃあ、君さ、私を守ってよ」



ん?傭兵ってことか?



「私、追っ手から逃げてるんだよね。守って欲しいの」



(え・・・?)



聞き返したくなる様な単語が、目の前の可愛い女の子から飛び出した。



<<第弐話に続く...>>



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第一話、読んでいただきありがとうございます。


まずは、皆さんに再び会えたことを嬉しく思います。


毎日更新していくことを目標に執筆していきますので、


宜しくお願いします。


では!また次話にて会いましょう!またね!


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