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恋い焦がれる魔法少女

私、アイネ・ハイランドは王立魔術学園の入学式にとある学生を探し回っていた。


「きっとこの学園に来ているはず!絶対!」


その人は私の憧れの人。


でも、もう10年近く会っていないから顔がよくわからない。だけど、どこかに面影はあるはず。


銀髪にグリーンの眼をした私の王子様。


昔、ちょっとしたことで出会い、しばらくの間一緒に遊んだ男の子。当時6歳にして初級魔法を使いこなしていた彼はきっと優秀な魔術師になっているに違いない。


この学園にはそんな優秀な魔術師が集まる学校だから、彼がいないはずがないのだ。

しかし、どの教室を回っても・・・


「いない・・・」


まぁ、外見は変わっているだろうからね・・・もしかしたら髪の色も少し変わっているかもしれない。ほら、だって10年もたてば変わることもあるでしょう?


そう、魔力量が変わると髪の色や瞳の色が変わることがよくあるのだ。そして、魔力量は体が成長すれば自然と増えていく。尤も、増えるといっても基本的には数倍程度だ。



「あ、そうだ!名簿を見れば・・・「クーちゃん」だからクから始まる名前のはずよね!」


そうして、先生にお願いして名簿をあさる。


クで始まる男子は5人ほどいたけど、銀髪に近いのは唯一「クロノ・ルーベンス」という学生。


「あ、私のクラス?・・・え?えぇぇ?」


私は歓喜の声を上げた。まさか同じクラスだなんて。

そうして、教室の中で遠回しにクロノ君の顔を拝見する。


金髪の短い髪に、スポーツマン的なワイルドかつ引き締まった顔。身長も高いかな?多分、180センチはあるかも。でも、あんな顔だったかなぁ?いいや、男の子は変わるもんね!


そう前向きにとらえることにした。


「それにしても、どうやって声をかけようかしら・・・私もあのころから随分変わったし。」


そう、10年前の私は髪の色がブランだったが、魔力が増えてきたところで髪の色が紅く変色していった。


「私のこと覚えてる?って言って忘れられたらショック大きいしなぁ」


悩む。本当に悩む。だけど、やはり私は声をかけないようにした。

ひょんなことで思い出してくれたほうがなんだかドラマチックだもんね。


「それにしても、ルーベンスというのは、あのルーベンスよね?」


ルーベンス侯爵家。この国の3大侯爵家の一つであり、政治への発言権も強く、代々優秀な魔術師を輩出している名家だ。


「私も伯爵令嬢だから・・・つり合いはとれるかしら?でも既に許嫁とかいたらどうしよう。」


もう、頭は恋人として付き合うことを通り越して結婚まで視野に入れていた。

どうかしてるとは思うけど、しょうがないじゃない!

だって、ずっと待ちわびていたんだもの。




たまたま?魔法の実戦授業でクロノ君と隣同士になった私は思い切って話しかけてみることにした。まずは家のことから話をしてみるのがいいかな?


「初めまして、クロノ君。私はアイネというの。よろしくね?」


「ああ、アイネさん。こちらこそよろしく。」


クロノ君は紳士的に笑いながら私の挨拶を受け止めてくれた。


「唐突な質問だけど、クロノ君って、ルーベンス侯爵家なの?」

「ははは、そうに決まってるじゃないか。ルーベンス侯爵家以外にこの国でルーベンスの名を持つ家はないよ。そういう君こそハイランド伯爵家だろう?」

「あはは、わかっちゃった?」


クロノ君も私のことを調べてたのかな?少しは興味持ってくれてたみたいでなんだかうれしい。


「しかし、ハイランド侯爵家のご令嬢がこんなに美しい女性だなんて、運命を感じるな。」

「えっ!?」


もう、心臓が飛び上がりそうだった。


「良かったら俺の良い友達になってくれ。」

「こっ、こちらこそ!」


はぁぁぁ。今の私、きっと顔が真っ赤だぁぁぁ。でもすっごくうれしかった。

あとは、私のことを思い出してくれるといいんだけど・・・


というわけで、自然と魔術実戦の授業にも力が入る。今日は火魔法の授業だ。


私は初級魔法は通り越して中級魔法まで使いこなせるから楽勝だ。

きっと在学中に上級魔法まで使いこなせるようになる。


「では、的に向かって火魔法を発動させろ。ああ、もてる最大の火魔法でも構わんぞ?ちゃんと結界は張ってあるからな」


その言葉を聞いて安心したのか、うきうきした心がそうさせたのか、私は思いっきり魔法を発動させた。


「ファイアストーム」


文字通り炎の竜巻を出す中級魔法だ。的はおろか、あたり一帯が黒焦げになった。


「おいおい、アイネ。他の生徒の的まで燃やしてどうする・・・」


教師は唸った。そのやり取りをみてほかの生徒も爆笑する。

ああ、恥ずかしい・・・でも、クロノ君も笑っているし良しとしよう。


クロノ君の魔法もすごかった。出した魔法こそファイヤーランスだったが、その魔力の密度、術の発動までの時間、そして命中精度、どれをとっても申し分なしだ。


そしてこの授業から私は「紅蓮」というありがたい二つ名を頂くことになった。

もうちょっと可愛い二つ名がよかったなぁ・・・




そういえば、この学校には魔法が使えない学生が入学してきたという話を聞いた。


「たしか、クロスフォードとかいう名前だったかしら。」


遠目で何度か見たことはある。いつも、主に私と同じ魔術師養成コースの学生から冷やかしを受けている学生だ。黒髪に黒眼。なんだか怖い・・・


「しかし、最初の文字が「ク」だなんて、名前を変えてほしいわね。」


別に彼が何をしたわけでもないけど、その一点だけで私の中ではマイナス評価だ。


「まぁ、関わることはないかな。それにしても、魔法が使えないなんて可哀そうな人。」


アイネにとってクロスフォードとはその程度の存在でしかなかった。


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