第93話 セントラルチームは強かった
「いっちゃいましたね」
「すごいですー」
「本当。やっぱり騎士なのね」
予報チームはいきなり現われたゴブリン上位種の群に恐れを感じていながらも、
セントラルチームリーダーのジェラドがひとりで討伐に向かったのに驚いた。
ジェラドは公国の騎士に支給される真っ白な鎧を身につけている。
「大丈夫かしら、ジェラドさん」
《ピンポンパンポーン》
「余裕で勝てるでしょう」
「本当? よかった!」
何気に予報が出てきたけど、良い予報だからいいか。
おっ、ジェラドが第一列の三匹と闘い始めたぞ。
ゴソ!ゴソ!ゴフ! ジェラド。
ゴブリンの三本の剣を順番に受け止た。
そして、すぐに反撃の一撃を加える。
ジェラド! ゴフ。orz
やったぞ。
ゴブリンファイターに向けて突きを決めて倒した。
すごいな。
ジェラド!! ゴソ・ゴソ。orz
なんと、今度は二匹か。
その後、残りの二匹のゴブリンソルジャーをまとめ斬りしたぞ。
がっくりと倒れるゴブリンソルジャー達。
圧倒的じゃないか。
しかし、安心はできないぞ。
すぐに近くに第二列のゴブリン達が迫ってきているぞ。
ゴソ!ゴソ!ゴフ! ジェラド。~~~
ひらり、ひらり。
ジェリドはゴブリン達が繰り出す三本の剣をすんでの所で避けた。
ジェリドは、今度は三匹同時斬りを狙った。
ジェラド!!! ゴソ・ゴソ・ゴフ。~~~
うーん、ダメか。
これはあっさりと残念ながら避けられた。
ゴフ! ジェラド。←
うわっ、ヤバイ。
ゴブリンファイターの剣がジェラドの足に当たって血しぶきがあがってしまった。
大丈夫かジェラド。
ジェラド! ゴフ。orz
でも、負けていないな、ジェラド。
すぐのジェラドの反撃で、ゴブリンファイターの首に、ザグッと剣が刺さって倒れた。
あと二匹。
と思っていたら、すでに第三列の三匹が合流したぞ。
全部で五匹のゴブリン達の囲まれてしまった。
ジェラドピンチ!
一斉に五匹のゴブリンが剣をジェラドに打ち込んできた。
ゴソ!ゴソ!ゴソ!ゴソ!ゴリ!
どうする、ジェラド。
これじゃ、どうしようもないじゃないかっ。
しかし!
ジェラド卍卍 ゴソ・ゴソ・ゴソ・ゴソ・ゴリ。orz
なんと、ジェラドは剣を構えたまま、高速回転をした。
それはユニークスキルが騎士の人だけがマスターできる秘術のひとつ。
『天道流星剣』だ。
ただ回転しているように見えて、敵の急所を流れ星のように突く。
一度に何匹も倒せるスペシャル剣技。
ジェラドを囲っていた、五体のゴブリンがバタッと倒れた。
返り血すら浴びずに、ジェラドはすっと立っている。
「すごいですー」
「きゃー、かっこいいっ」
「驚きの強さですね」
目の前で繰り広げられた闘いに予報チームは歓声をあげた。
なんか、ただのファンみたいになってしまった。
真っ白い鎧がいかにもヒーローぽく見える。
そんなジェラドは、まるで何事もなかったように、あっさりと引き返してくる。
なんか決めゼリフくらい言ったらいいのにな。
拠点に入ってきたジェラド、迎える予報チーム。
「ゴブリン共、意外とやりよるな」
「何言ってるんですか。余裕ですね」
ジェラドは切り傷に中級ポーションを振りかけてもらいながら、僕に話しかける。
「さすがだな、ジェラド。見せてもらったよ」
「何、ちょっと腕試しさ」
レイドリーダーとジェラドは冒険者ランクで言えばA級だ。
白い鎧のジャラドに対して、銀色に輝く鎧を着ているレイドリーダー。
どっちが強いのは、闘ったことがないので分からないらしい。
ただ、レイドイエローのトップ2なのは間違いない。
「あんまり無茶するな。下手なことをしたら従妹が悲しむぞ」
「そういうおまえこそ、気を付けろよ。あいつが悲しむ顔はみたくない」
まぁ、このふたりなら、上位種とは言え、ゴブリンごときに遅れは取らない。
ゴブリンロードを除けば。
そんなとき、見張り台から情報が伝わってきた。
「ゴブリン達は前進を止めました。後退しながら集まっています」
覗き窓から見ると、まだまだ数が多いいろんな色のゴブリン達。
拠点から100mくらい離れた真正面に一団となっていた。
「さぁ、次の一手はどうする?」
ジェラドがレイドリーダーに確認した。
白い奴はやっぱり強いです。




