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第89話 ブームをキャッチするには?

予報屋の今日ふたり目のお客さんは金貨予報のお客さん。


金貨一枚の料金を払ってくれる方。

今日はひとりだけ、金貨予報のお客さんがいる。


金貨予報だから、ミリーちゃんとクレアさん、そして僕が揃って話しを聞いている。


「本当に困っていまして。なんとかしてください」


彼は街の商業区で女性服の店を持っている店長さん。

もう10年ほどやっている店長さん。

チェーン店ではなく、彼の個人店だ。


ところが彼の店の横に新しい店が先月できていきなりずどんと売り上げが下がってしまった。


そのライバル店は商品構成がほとんど彼の店と一緒。

だけど、ライバル店はチェーン店で本店は王都にある。


だから、王都で人気のファッションをいち早く持ち込んで、

この街でブームを仕掛けている。

それが成功して、ライバル店はいつもお客さんであふれている。


対抗して商品を仕入れたりするれど、どうしても、彼の店はブームの後追いになってしまい、服が売れない。

とうとう、お店は赤字になってしまって、このままだとお店が続けられなくて閉めないといけなくなる。


「だから、新しいブームを予報してもらってライバル店に勝ちたいんです」

「えっと。女性ファッションには詳しくないんですが。

そもそも、どんなブームが来るかって想定できるんですか?」

「それが分からないから、予報して欲しいって話なんです」


うーん、困った。それは全く分からないジャンルだ。

まぁもっとも、予報スキルは知っているかどうかは関係なく発動するから、質問してもらおうか。


「えっと、質問すればいいんですか? やってみますね。

この街で来月起きる女性ファッションのブームは何ですか?」

「…………」


あ、駄目だ、やっぱり。

あまりに、ぼやっとした質問は予報できないんだよな。

どんな質問をしたらいいのか、あまりに分からないジャンルだから考えつかないな。


「クレアさん。どんなブームが来るか予感あります?」

「ごめんね。全くないわ」


クレアさんも駄目か。

困ったなぁ、せっかく金貨1枚出して予報を聞きにきてくれたのに、

役に立てないのは心苦しい。

最後の頼み、ミリーちゃんはどうだろう。


「ミリーちゃん、テンプレだと、次のブームはどうなる?」

「…………」

「ミリーちゃんも駄目か。どうしよう」


三人がブーム予報ができないと知って、

店長さんは頭を抱えてしまっている。


「あー予報も駄目か。このまま、うちの店はつぶれてしまうのか?」

「でも、全く売れない訳ではないわよね。売れている商品はないの?」


クレアさんはファッションに詳しいので、普通に相談に乗っている。

なんか、予報につながるヒントがあればいいんだけど。


「あるにはあるけど。肌着とか、普段着とか。地味なものはそこそこ売れるんです。

だけど、単価が高い外出着がほとんど売れなくなって」

「要はブームが関係ないものなら、売れているのね」

「それはそうです」

「お店の売り上げを上げるには、今、売れている商品をメインにしなさい」


おっ、ミリーちゃんのテンプレスキル発動したみたいだ。

口調が急に偉そうになるから分かる。

いけるかも。


「えっ、そんなの売れても大した売り上げにならないんですが」

「えっと。居酒屋でもそうなの。季節の料理や新メニューが注文が多くて」

「そりゃ、そうでしょう。新しいものとか、限定品が人気になりますよ。居酒屋でも、洋服店でもね」

「だけど、居酒屋には定番商品があって、ずっと売れ続けているわ」

「なるほど。洋服屋もそうだってことですね」


ミリーちゃんがテンプレスキルで出した提案をクレアさんが組み立てる。

ナイスなコンボだな。


「お店の定番商品と新商品の比率ってどうなっているの?」

「今までの売り上げだと、4割が定番で6割が新商品ですか」

「この際だから、ぐっと新商品を抑えて定番を増やしてみませんか?」

「うーん、それで売り上げが上がるのかな」


不安そうにしている店長さん。

ふっふっふ。大丈夫だよ、店長さん。

ここは、いよいよ、予報スキルの僕の出番だな。


「それでは、定番と新商品の比率を変えたらどうなるか。質問してみてくださいな」

「それがあったんだ。予報で聞けば安心できますね」


うんうん、その通り。

予報精度を上げるために定番商品と新商品の比率を変えて質問してもらった。

そしたら、新商品2割、定番商品8割にすると来月の売り上げが先月を超えると出た。


ほとんど定番商品ばかりのお店になるね。

そんな店が流行るとはどうも分からないんだけど、予報はそう言っている。


「商品構成を変えるのは怖いけど、このままじゃお店がつぶれるのを待つだけです。やってみましょう」


納得してくれたみたいだ。

よかった。


相談を始めたときは、暗い顔だった店長さん。

可能性感じて、明るい顔になっていた。


本当によかった。


やっぱり予報をしたら、そのくらい顔が変わってくれないと。

ちゃんとお仕事した気がしないからね。


特に金貨予報のときはね。


なんとか金貨予報を納得してもらって、店長さんは帰っていった。


この後の予報は順調だった。


そして、いよいよ、明日は魔物討伐が始まる。

ぼちぼち書いています。コメントはまだ返せないけど、もう少し待ってくださいね。

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