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第81話 みんなで力を合わせるっていいよね

「それでは今日も皆さん、がんばりましょう」


シバ君達の子供が15名。

冒険者5名も、そして僕。


合計21名で、レイド・イエロー拠点のレンガ積みをする。

順調にいけば、今日1日で残りレンガが3000個になる予定。


レンガ・レンガ・レンガ・確認!


シバ君達5人は今日も500個積みをする。

他の子供達も数は少ないけど、リズム良く積んでいる。


冒険者を見ると、こっちもリズム良く積み始めた。


「うん。それじゃ僕も積むとしましょうか」

「ジュートさん」

「えっ」


振り返るとマセットがいる。

一緒に4人のパーティメンバー。


「どうしたんですか?こんなところに」

「僕たちも手伝いに来たんだよ。レイド・イエローの拠点づくりのリーダーがジュートさんだと聞いてね」

「手を貸してくれるんだ。ありがとう」

「いえいえ。僕たちの使う拠点ですから」

「もう少しするとロイ達も来るよ」

「本当ですか?」

「ああ。食事が終わったら来るって言ってたから」


マセット達に教えたのは、昨日冒険者達に教えたリズムで積む方法だ。



レ~ンガ・レ~ンガ・レ~ンガ・確認!


「このペースで行きましょう」


レ~ンガ・レ~ンガ・レ~ンガ・確認!


「こんな感じでいいかな」

「いいですね」


レ~ンガ・レ~ンガ・レ~ンガ・確認!


指導していると、ロイ達4人も来た。

説明をして、ロイ達にも同じペースのレンガ積みを教える。


レ~ンガ・レ~ンガ・レ~ンガ・確認!


「うん。上手いぞ。その調子」

「これならできるよ。なぁ、みんな」

「「「はい」」」


レ~ンガ・レ~ンガ・レ~ンガ・確認!



今日は9人も増えた。

それも大人だからスピードもなかなか。


全部で30人が一斉にレンガ積みをしている。



レ~ンガ・レ~ンガ・レ~ンガ・確認!


レンガ・レンガ・レンガ・確認!


レ~ンガ・レ~ンガ・レ~ンガ・確認!



スピードには違いがあるけど、みんなリズムに乗って綺麗に積んでいる。


僕も負けない様に積まないと。



煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!



「おお、すげー。スピードが全然違うぞ」

「さすがプロだ」

「師匠のレンガ積みは芸術なんだよ」

「本当にそうだな」



横でそんな声がするけど、気にせず積む。



煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!



だんだんと、ハイになってきたぞ。レンガ積みに集中しているとさらにスピードがあがってくる。


マラソンランナーが同じ状態になると聞いたことがある。

ランナーズハイっていうみたい。


レンガ積みハイだな。


この状態になっても、子供達、冒険者達の動きがちゃんと見えている。



煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!



いい感じだ。このまま、1日、レンガ積みをするぞ。


それから5時間ほど経過して、お昼すぎ。



「こんにちわ」


いきなり声を掛けられた。

見た目は冒険者の剣士風の男だ。

隣にかわいい女性がいる。


「こんにちわ」


レンガ積みの手を止めて、男の方を見る。


「あなたがジュートさんだね。私はレイド・イエローのリーダー、バナーだ」

「あ、レイドリーダーさんでしたか」

「ご苦労さん。ジュートさんのおかげで拠点が完成が間に合いそうだと聞いて見に来たんだ」

「はい。今日は冒険者の方が14名も協力してくれるから、今日中に終わりそうです」


そう。今のベースでいけば、今日中でレンガ積みは終わってしまう計算になる。


「それはよかった。これで安心して魔物討伐が行えるよ」


そんな話をしていると、ロイが話しかけてくる。


「レイドリーダー、彼女さん連れてきたんだね」


かわいい女性はレイドリーダーの彼女さんか。

でも、ずいぶんと高級そうな服を着ているな。


予報屋をするようになってからは、いろんな人と会うようになったから、

高級な服かそれほどでもないか分かるようになっている。


彼女の着ているのは、そんなに装飾が多い服ではないけど、良い素材を使った服だ。

きっと高い服なのだろう。


「ジュートさん。彼女は、すごい人なんだよ。大公様のお付きの人の令嬢さ」

「…もしかして、執事さんの孫娘、とか?」


彼女さん、びっくりしてこっちを見た。


「なんで、分かるんですか?」

「あ、彼は予報屋だからね」


そういう訳じゃないんだけど。

執事さんの孫娘さんってことは、レイドリーダーが問題の冒険者の恋人ってことか。


「予報屋さんって、もしかしたらカツ丼の?」

「あ、執事さんから聞いてますか」

「はい。すごい人がいるって言ってました」

「そんな。すごいってほどのものじゃないです」

「すみません。お願いがあるのですが」

「なんでしょう」

「私にも予報、してくれませんか?」


うわっ、今度は孫娘さんか。

きっと、今日、彼氏と執事さん、お話をしたはずだから、そのことだろうな。


いいんだろうか。


付き合うのに反対の執事さん。

付き合いたい孫娘さん。


両方に予報してしまうなんて。


職業モラルに反してはいないのだろうか。


「今、すごく困っているの。予報屋さんの力を借りて解決の手伝いをしてほしいの」


うん。予報屋は頼まれた予報をする。

それがお仕事だ。


もちろん、犯罪とか社会が混乱することとか。

そういう予報はできないけど、それ以外の予報は料金を払ってくれたらする。


他の人ががんばってくれているから、僕が1時間ほど抜けても今日中には完成するだろう。


「わかりました。ただし、時間外の予報は金貨1枚です」

「はい。それでお願いします」


こうして、今度は孫娘さんの予報をすることになってしまった。


レンガ積みからの予報屋へ回でした。


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