表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/112

第75話 かつ丼は人気になるのだろうか?


今日もレンガ積みに行くことにした。

それも、子供付きで。


「師匠、今日もよろしくです」


一番弟子と思っているシバくん。

今日は、また子供の数が増えた。


全部で9人。

なんだか、引率の先生ぽくなってきたぞ。


「シバくん、今日は400個行くぞ」

「はい!」


大人でも手が遅い職人になると400個程度だから、シバくんは一人前になれるだろう。


僕を別にすると、レンガ職人は1か月以上続ける人が少なく、いたとしても仕方がなくレンガ職人をしてる感があるから、やる気がない。


だから、14歳で身体はまだ子供だと言え、やる気があるシバ君は3日もあれば一人前になれる。


「師匠の教え方がいいんですよ」


まぁ、それもあるかもな。

元々は教えるのは苦手だったけど、やる気十分なシバくん達を教えるのは楽しい。


そして今日、また新人の子供4人をプラスして教えているんだが、前回とちょっと感じが違う。

レンガ積みに集中してる時に、周りが見えているというのかな。


前は、レンガ積みの手を止めて周りを見るって感じだった。

今は、レンガ積みをしながら子供達の様子がつかめている。


土木スキルがランクアップしたからかもしれない。


「ほら、シバくん。テンポずれてるよ」

「師匠!後ろに目があるんですか?」


どこにいても、子供達の動きが感じられる。

だから、はじめに新人子供に指導した以外は時間をかける必要がない。


僕がレンガを積むテンポもまた上がったぞ。


煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!


1個積む速度をランクアップ前より1.5倍まで上げてみた。

確認は3個に一回やっていたのを5個に一回に変えた。


速い。だけど、ズレが全くない。


煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・煉瓦・確認!


「すごいです。師匠、また速くなっていますね」

「神業です。師匠の手はレンガの神の手です」


そんな簡単に神よばわりはいけないと思う。

だけど、9人の弟子たちに褒められまくるのも、なんか気持ちがいいものだ。


そんな感じだから、予定していた僕のレンガ1200個は予定より1時間早く終わってしまった。


銀貨1枚と大銅貨4枚の賃金をもらう。

子供達はリーダーのシバくんに任せて、僕は市場に向かった。


市場では、黒猫亭の屋台が出ているはずなんだ。


「どこだろう?」


門のとこにいる衛兵さんに聞いてみると、行列がかつ丼だと教えてくれる。


おおおーーー。行列ができているじゃないか。

それも、すごい人気だな。

行列をたどって一番前に行ってみる。


マスターとミリーちゃん、あとお米を手配した商人さんがいた。


「マスター、盛況ですね」

「いやぁ、人気が出すぎてしまってな」

「素晴らしいです」

「かつ丼を作っても作っても追いつかん。店の営業があるから、そろそろ閉店だ」

「マスターの極東料理は、絶品だから」


厚めに切ってある猪の肉を小麦粉、卵液、パン粉の順でまぶしていく。

一度に10枚のカツを作るらしい。


ラードをたくさん入れてある大鍋にカツを入れて揚げる。

黄金色になるまで約5分。


その間に、小さなフライパンに、玉ねぎとだし汁を入れて加熱する。

同時に5つのフライパンだ。


玉ねぎが柔らかくなってきたら、卵を1個入れて約1分半。

もうひとつの卵を入れてふたをして10秒。


丼によそったご飯に黄金色になったカツをのせ、そのうえにトロトロな卵とじをのせる。


「はい、完成!」

「うおっ、やっと食べられるぞ。いい匂い!」


「はい、次!」

「待っていました」


よくまぁ、あんなにいろいろとできるなマスター。

ミリーちゃんのサポートがあるとはいえ、すごいな。


ご飯を炊くのは、お米商人さん。

どでかい釜を使って、同時に30人分炊いている。


「はい、ご飯炊き立てです。味見してみてください」


炭火で釜炊きしたご飯。

小皿に載せて、ばばっと塩を振って味見でお客さんにふるまっている。


もちろん、かつ丼のために炊いているから、試食用はちょっとだけど。


「へぇ、これがご飯というものか。えっ、甘いな。塩かけているのに甘い?」


試食をしたお客さんは、お米のおいしさに驚いて米を買っていく。


「ずいぶんと売れていますね」

「あ、予報屋さん。見ての通りの大人気。これもお米を予報してもらったおかげや」

「いえいえ。すぐにお米を買いに行った商人さんの力ですよ」

「またすぐに米を手配しないと足りなくなりそうだ。とにかくありがとう!!!」


《10感謝ポイントを獲得しました。次のランクアップまで12感謝ポイントです》


おっ、もうすぐランクアップだ。

土木スキルに続いて、予報スキルもC級になるのか。

楽しみだな。


「また、予報、お願いや」


このお米商人さんも予報屋の常連になってくれそうだ。

だんだんと、常連が増えてきて嬉しい限りだ。


「そういえば、ジュートくん」

「なんです、マスター?」

「早い時間にピシッとした執事みたいな恰好をしたお客が屋台にきてな、かつ丼を買っていったんだけど、ジュートさんによろしくと一言だけ言っていったぞ」


あ、執事さん。ちゃんとかつ丼ゲットできたんだ。

これで大公様のお昼はかつ丼だね。


「あ、そうだ。ミリーちゃん。明日は朝9時に出発だよ」

「えっ、神殿に行くのは昼で間に合うわ」

「その前に服を買って髪をセットしないとね」

「えっ、そんなことするの?」

「一生で一回のスキル授与式だからね。かわいくなっていかないとね」

「ありがとう」


本当は大公様の馬車を見かけた日に買う予定だったけど、倒れちゃったから当日になった。

でも、クレアさんに教えてもらったから、午前中に準備ができるはず。


ミリーちゃんのユニークスキルは何かな。

楽しみだ。


レンガ積みがまさかの漢字化…なんてね。レンガ・かつ丼・ミリーちゃん予告の3連鎖回でした。


最近のストーリー評価は4.27。ちょっと低めみたい。次はミリーちゃん回だぁ。


ミリーちゃんのスキルはどんなものなのか。よかったらコメントで予想してくれるとうれしいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ