第71話 やっぱりレンガ積んでいます
大公様に会う。すごいことだと思う。
だけど、どうして大公様に会えることになるのか。全然分からない。
ただ、予報が当たるなら、明日会うことになる。
考えても分からないものは、分からないのでいつもの様にレンガを積むことにした。
「今日もお願いがあるんだけど」
土木ギルドに着くなり、ソニン監督官が申し訳なさそうに言う。
「あ、いいですよ。シバくんでしょう」
「それもそうなんだけどさ」
ソニンが合図するとシバくんが走ってくる。
だけど、そのうしろからぞろぞろと4人の子供がついてくる。
「この子たちも指導してくれないか?」
「なんと。5人もか!」
「頼むよ。指導料として大銅貨2枚つけるからさ」
大銅貨2枚くらいじゃ合わないんだけどな。
「シバくんのお姉さんを助けるの」
一番小さな11才くらいの男の子が言う。
「だけど、半分な。半分はお小遣いだからな」
シバくんと同い年くらいの男の子が言う。
「「「「「お願いします」」」」
仕方ないか。一度受けてしまったし。
子供だと、下手なおっさんより真面目にレンガ積みするから、気持ちがいいし。
「わかったよ。今日は、5人連れてレンガ積みするぞ」
シバ君だけは、経験者だからレンガ300個。
他の子は、年齢に応じて、レンガの個数を決めた。
全部で1100個。
「僕は今日、1000個だ」
最初にちゃんと指導すれば、あとはそれほど手間がかからないし。
「それじゃ、出発だ」
「「「「「おーーー」」」」」
ぞろぞろと子供を連れて現場に行く。
現場は斜面にある住宅地。
整地するために、まずはレンガ8段ほど積んで上の方の土を削って下の方に移す。
最終的には、レンガの壁で段々ができた住宅地になるらしい。
高いところまで積む必要がないから、子供でもできると選んでくれたみたい。
「それでは、練習するぞ」
だけど、子供達は遊びたい年頃。
レンガを使ってわいわいと遊んでいる。
「おいこら。ちゃんと、話をきけ」
うーん。全員を相手にするのは難しそうだ。
まずは、シバくんだ。
「シバくん。こっちへおいで」
「はい」
「まずは、こいつらに見本を見せてほしい」
「はい」
「やり方は分かるな」
「はい」
レ~ン~ガ、確認・確認・・・レ~ン~ガ、確認・確認。
おっ、ちゃんと覚えているじゃないか。そうだ、それでいいんだ。
「すごーい、シバくん」
「本当だ。ちゃんとレンガ積んでいるぞぉ」
他の4人に注目されて、自慢そうなシバ君。
レ~ン~ガ、確認・確認・・・レ~ン~ガ、確認・確認。
「カッコイイ、シバくん」
「僕もやりたい」
「よし。レンガ積みができるようになりたい人、手を挙げて」
「「「「はーい」」」」
「では、まずは、シバくんを見て動きの練習だ」
レ~ン~ガ、確認・確認・・・レ~ン~ガ、確認・確認。
4人はシバくんと同じ動作をしている。
ちょっと違う子もいるけどね。
「まずは、君」
シバくんと同い年の子を指名して、コテを持たせる。
「やって、みなさい」
「えっと、こうかな」
レ、レ、レン・・・。
「ダメだ。もっとリズミカルに。スピードは遅くてもいい」
レ~~~ン~~~ガ
「できたじゃないか。ちゃんとずれていないか確認をして」
確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
「よし、その調子。そのまま続けて」
レ~~ン~~ガ、確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
あとは、年齢順に教えていく。
できると嬉しくなるみたいで、真剣にレンガ積みをしてい。
レ~ン~ガ、確認・確認・・・レ~ン~ガ、確認・確認。
レ~~ン~~ガ、確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
レ~~ン~~ガ、確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
レ~~ン~~ガ、確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
レ~~~ン~~~ガ、確認・確認・・・レ~~~ン~~~ガ、確認・確認。
スピードはそれぞれだけど、確認はしっかりやっているので、ちゃんと積めている。
たぶん、この調子でいいだろう。
「よし、みんな。その調子で積むんだ。わかったか」
「「「「「はい」」」」」
さて、僕も積むことにしよう。
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
「おおー、すげー。みんな見てみろよ」
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
「速い~。嘘みたい」
「全然、ズレないよ。一発で綺麗になっている」
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
子供達に指導した上で、1000個の予定だからいつもより、集中してテンポも速い。
「僕もあんな速く積めるようになりたいな、シバくん」
「そのためには、みんな。一生懸命積むんだ」
「「「「はい」」」」
あ、また、みんな積み始めたな。
レ~ン~ガ、確認・確認・・・レ~ン~ガ、確認・確認。
レ~~ン~~ガ、確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
レ~~ン~~ガ、確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
レ~~ン~~ガ、確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
レ~~~ン~~~ガ、確認・確認・・・レ~~~ン~~~ガ、確認・確認。
僕も負けずに積むぞ。
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
いい感じだ。又、スピードが速くなっているな。
《土木スキルCランクになりました》
おや、土木スキルがランクアップしたぞ。
やったぁ。
ランクアップしたから、スピードアップしてみようか。
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
「おおっ、師匠がまた速くなったぞ」
「すげー、すげー」
「神業だぁ~」
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
「ほら、こっち見てないで、積んだ、積んだ!」
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
なんか、無我の境地になったきたぞ。
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!レンガ・レンガ・レンガ・確認!
なんと。200個を1時間ちょっとで積んでしまった。
これは今日、1000個も余裕だ。
「よしみんな。だいぶ慣れてきたな。すこーしスピードアップしてみよう」
レ-ン-ガ、確認・確認・・・レ-ン-ガ、確認・確認。
レ~ン~ガ、確認・確認・・・レ~ン~ガ、確認・確認。
レ~ン~ガ、確認・確認・・・レ~ン~ガ、確認・確認。
レ~~ン~~ガ、確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
レ~~ン~~ガ、確認・確認・・・レ~~ン~~ガ、確認・確認。
「よし、いいぞ」
途中、休憩もいれてみんなでレンガを積みまくった。
僕が1000個。
シバくんが320個。
他の子4人で850個。
子供達は予定より多く積んで、今日のレンガ積みは終わったんだ。
土木スキルがランクアップ。子供達も上達しました。
チートの後のレンガです。




