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第70話 大公様と知り合うために

「・・・・大・丈・夫?」


ん?なんだ、この白い柔らかそうなものは?


「大丈夫……ジュートさん?」


なんか、気持ちよさそうだな。あ、届くじゃないか。


あ、柔らかい。すっごく気持ちいい。


「何するのよ!」


バチ~ン!!!


痛い。猛烈に痛い。


ここはどこだ?


「あれ??? クレアさん」

「あ、ごめんなさい。つい」


目が覚めた。

何が起きたか、分からない。


胸のところで手を交差しているクレアさん。

ジンジンと痛む頬。


「あれ、ビンタされたのかな?」

「だって、いきなり。。。。」


起きたことはだいたいわかった。

あの気持ちいい感覚は、クレアさんの胸なのね。

もう一度確認してみたいけど……やめておこう


「あれ?僕はどうして、ここにいるの?」

「あのね、大公様を見て倒れたの」


クレアさんじゃなくて、ミリーちゃんが答える。

あ、そっちにいたのね。


「そうだ。大公様だ! あの軍団はどうなった? ドラゴンは?」


引き気味の女性ふたり。

なんか言ってはいけないことを言った雰囲気。


「ん? 大公様は…………」


えっと、さっきのドラゴンとかは何だったのかな。

あ、思い出した。


夢予報が発動したんだっけ。

大公様の馬車を見ていたら。


「ここは、どこですか?」


見たことがない部屋にいる。

ベッドだけしかない部屋。


広さは6帖程度か。


「ここは、黒猫亭の上のインスラの部屋なの」

「あ、そうだよね。ミリーちゃん。インスラの部屋を見にいくはずが…」

「そうなの。この部屋。不動産屋さんがとりあえずってことでジュートさんを運びこんだの」


ミリーちゃんの説明によると、僕は大公様の馬車を見た時、倒れてしまった。

不動産屋さんと一緒に僕を抱えて、この部屋に運び込んでくれたみたい。


その後、黒猫亭に来たクレアさんに看病を頼んでミリーちゃんはお店に出て、今はお店が終わってふたりが僕のことを看病してくれていたらしい。


「すると、今晩の予報屋はお休みってことになったんですね」

「ええ。来てくれた人には私が謝っておいたから、安心していいわ」

「ありがとう」


まだ、頭が混乱している。

大公様と一緒に帝国の軍団を崩壊させた夢。


あれは、夢予報だというのか。

未来に起きるはずのこと。


「そうだ! こうしてはいられない。この街にいるうちに、大公様と知り合っておかないと」


帝国の軍団が攻めてきたとき、僕のことを大公様が知らないとまずいことになりそうだ。

今のうちに、知り合っておくことがあの状況をつくるはずだ。


「クレアさん。誰か大公様と繋がりのある人、知りませんか?」

「どういうこと?」


夢予報の話をした。

大公様と帝国の軍団とドラゴンの話も。


「信じられないような大きなスケールのお話ね」


僕の予報スキルを信じているクリアさんとミリーちゃん。

初めて出てきた夢予報のことも信じてくれた。


「でも、今のジュートさんが大公様に面会を頼んでも、無理だわ」

「そうですよね。今の僕が大公様に会うなんて」

「でも、人を介してなら、可能性があるのかも」


クレアさんは貴族に知り合いがいる人を知っているらしい。

もしかしたら、面会をセッティングしてくれるかも、と言う。


「話だけなら、聞いてみるのもいいかもしれないわ」


クレアさんがすぐに出て行って、30分ほどで貴族に知り合いがいる人を連れてきた。


クレアさんが連れてきたのは、紫色のビロード生地の服を着た、貴族ぽい人。

貴族もどきさんだね。


「初めましてジュートさん。ご依頼は大公様と繋がりを持ちたいということですね」

「ええ。できるだけ早く」

「大公様のどのあたりの従者と繋がりが欲しいのですか?」

「大公様自身です。直接会って話がしたいのです」

「何を言っているんですか。あなた、バカですか?」


バカ呼ばわりされてしまった。

僕みたいな下層な人間は、間違っても大公様という大貴族が会うことができないと言う。


「大公様にとっても大切なことなんです。僕と会うことは。なんとか会えませんか?」

「あなたが会える可能性があるのは、従者の一番下っ端の知り合い程度ですよ。それも大金を積まないと無理でしょう」


ダメらしい。

今の僕では、大公様に会うのはドラゴンを木の棒で倒すのと同じくらい難しいことだと言う。


「身の程をわきまえるってことを覚えてくださいね」


貴族もどきの男は去っていった。


「ごめんなさい。ジュートさん。気分悪くさせてしまったわね」

「いいんです。クレアさん。あまりに僕が身の程をわきまえてなかったから」


僕が大公様を助けるという未来は現実には起きそうもない。

夢予報というのは、ただの夢だということか。


「でも、ジュートさんの夢予報、当たる予感がするのよ」

「そう? クレアさんの予感。それはすごいね」

「ええ。予感ばっちり感じているわ。ジュートさんは大公様に会うことって、本当にできないことなのかな?」


《ピンポンパンポーン》


「明後日、ジュートは大公様に会うことになるでしょう」

「「「ええっ~」」」


どうやって会う手はずが整えられるのかは不明だ。

しかし、予報によると会うことになるらしい。


そんな驚きの気持ちのまま、僕はまた眠りに落ちていった。


今回はおっぱい回でした。違うか。


前回までのチート回が終わって、普通のレンガ屋&予報屋に戻りました。

大公様がらみはあるけどね。



チート回の2話の評価は、ストーリー評価平均4.61。なかなかいい感じです。


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