表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

63/112

第63話 クレアさんに合う仕事って何?

「それでは、銀貨1枚です」


正式に予報が始まった。


「これから、どんな仕事をしようと思っていますか?」


すでに新しい仕事をする人の予報は何度かやったことがある。

しっかりとした予報をするためには、どんな仕事をしたいと思っているか確認することが重要だ。


単に「どんな仕事がいいですか」って質問すると、予報が出ないってことは確認済み。


曖昧な質問では答えがひとつにならないのが原因だと思っている。


「それが……全く、思いつかなくて」

「いままでどんな仕事をしてきたんですか?」


聞いてみると、接客関係の仕事が多い。


洋服屋さんの店員や、レストランの店員。

飲み屋のホステスもしているらしい。


「飲み屋の仕事は、たぶん向いているみたいだけど、あまり楽しくなくて」

「お店の店員さんはどうなんですか?」

「入ったばかりのときは、お店のやり方や商品のことを覚えるのでがんばるんだけど、そのうち慣れてくるとつまらなくなって」


店員をしている頃の話をいろいろとしてくれた。

たぶん、うまくこなすことができる人なのだろう。


「接客の仕事は向いているんですね。ただ、あまり楽しくないと」

「そうなの。他にいい仕事ってないかしら」

「物を作るような仕事ってどうなんですか?」

「あ、それは苦手なの。同じことを延々と続けていくことはできなくて。ジュートさんがレンガ積みの仕事もしていると聞いてすごいなと」


レンガ積みの仕事がすごいと言う人はあまりいない。

誰でもできる仕事として認識されているんだ。


予報屋をする前は、僕みたいに不器用だとレンガ積みの仕事くらいしかできなかった。

彼女は器用だから、いろんな仕事ができてしまう。


だからこそ、どんな仕事をしたらいいのか悩んでしまうんだろう。


「予報屋の仕事はどうでした?」

「話を聞くのは得意なのよ。どんなことに悩んでいるのか聞いて。だけど、予報を出すときに予感スキルが発動しなくて。全然予報にならないのよ」

「だけど、他の予報者も似たようなものじゃないんですか?」

「ええ。予報スキル持ちの人はいなかったから、似たような感じね」

「でも人気が出る人がいたんでしょう?」

「あれは、依頼者が喜びそうなことを言っているみたい。冒険者だと難しい依頼でもうまくいくって」

「ああ、知っています。冒険者ギルド長が困っていました」

「やっぱり、そうよね。あんな予報を出したら」

「そんなことはできなかったのが人気がでなかった理由なんですね」

「そう。だけど、予報を聞きに来るお客さんの話を聞くのは楽しかったなぁ。また相談に乗る仕事ができたりするのかな?」


《ピンポンパンポーン》


「この先、予報の仕事をすることになるでしょう」

「えっ、どういうこと?」

「どういうことでしょう?」


お互い、顔を見合わせてしまった。


「だって、もうあの予報屋には戻れないわ。他に予報屋っていうと黒猫予報屋さんしかないわ。もしかして、他にも予報屋ができるってことかしら」


《ピンポンパンポーン》


「この街に予報屋は新たに作られることはないでしょう」

「そうよね。じゃあ、わたしが自分で予報屋を始めるってこと?」


《ピンポンパンポーン》


「クレアが予報屋をはじめてもうまくいかないでしょう」

「そうよね。そんなことできると思わないし。じゃあ、わたしが黒猫予報屋で働くってこと?」


《ピンポンパンポーン》


「クレアは黒猫予報屋で働くことになるでしょう」

「「ええーーー」」


びっくりした。

黒猫予報屋でクレアさんが働く。

どんな仕事をするのか。


予報を使って探っていったら、お客さんの話を聞くというパートだけをする仕事だという。


たしかに、予報をちゃんとしようと思うと、予報をしている時間はそれほどなくて、ほとんどはお客さんの話を聞いている時間だ。


時間を短くすると、どうしてもお客さんの話を聞くことができなくて、単純に予報だけしている形になってしまう。

それだと、本当に必要な予報をすることができない。


前回のブームのときに失敗したのは、その点。

だから、今回は予報時間30分は絶対に変えないって決めていた。


それだと、こなせる人数が1日5人が限度だ。

予報を望んでいるお客さんを待たせてしまうことになる。


もし、もうひとり予報ができる人がいたら……

そう考えたことはある。


だけど、いままで予報スキルを持っている人は僕以外に会っていないし、聞いたこともない。

人数を増やすことは考えられなかった。


「でも、話を聞くパートと予報するパートをふたつに分けたらどうか?」


最初、クレアさんがお客さんの話を聞いて、予報をする質問をいくつか作っておく。

それを受けて、僕が予報をする。


予報を前半と後半に分ければ、30分でふたりの予報をすることができるし、話を聞くなら僕よりもクレアさんの方が上手い。


あとは、僕とクレアさんの連係の問題は残るけど、うまく乗り越えることができる気がする。


「その形で僕とクレアさんが一緒に予報をするとうまくいきますか?」


《ピンポンパンポーン》


「うまく予報を出すことができて今より人気になるでしょう」


おおーーっ。

予報もうまくいくって言っている。


「わたしもその形、うまくいく予感がするの」


予感スキルもうまくいくって言っているのか。


これは、新しい可能性が生まれてきた。


「それでは、黒猫予報屋に就職を希望しますか?」

「えっと。給料はいかほどでしょう?」


女性って、現実的なのね。

楽しい仕事であっても、金銭のことをはっきりさせる。


そこを全く考えていなかった僕は、すぐには答えられなかった。


クレアさん評価に協力ありがとうございました。


結果は平均4.4でした。通常が4.5なので、微妙な結果でした。

コメントでも評価してくれた方が多くて、ヒロインではなく、レギュラーキャラ希望が多かったので、

この話になりました。


読者さんの意見でストーリーが変わっていく形、書く方としても面白いです。


この形で良かったのかな。引き続き評価に入れてもらえると、うれしいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ