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第57話 やっと完成しました

予報試合から一夜が明けて、また普通の日が戻ってきた。


今日は、夜の予報屋さんはお休みに決めた。

さすがに、昨日の今日だと、わんさか予報を求めるお客さんが来て大変な気がする。


ミリーちゃんに言って、予報屋に来たお客さんにはお休みを告げてもらうことにした。


「さて、今日は普通にレンガ積みの仕事。それも、錬金術士さんのとこか」


ずっと錬金術士さんがいない日が続いて、まだ錬金術士さんのアトリエが完成していない。


久しぶりの錬金術士さんの現場というので、ちょっと嬉しい。


「こんにちは」

「おっ、来たな。話題の予報屋さんが」

「よしてくださいよ。レンガ屋ですよ」


予報試合の話は、錬金術士さんも良く知っていた。観戦に行きたかったけど、錬成で忙しくて結果だけ聞いたとのこと。


「いやぁ、イケメン君が『インチキだ』って叫んでいるとこ、観てみたかったな」

「そんな、意地が悪いことを言っていると、バチがあたりますよ」

「それも、そうだな。それは、おいておいて。今日は残っているところを全部終わらせて欲しいんだが」

「はい。そのつもりできました」


残っている箇所は全部で4箇所。数にするとそれほど多くないけど、面倒くさい指示が入っていたりする。


「この箇所は、レンガを抜いて、向こう側が見えるようにしたいんだ」

「はい。どう抜いたらいいですか」

「では、いくぞ」

「はい?」


なぜか、肩を回したりしてストレッチをしている錬金術士さん。

もしかして。


「有・有・無。有・無。有・無。有・有。無・有。無・有。無・有・有。だ」


有の時は、両手を上、無しは両手を広げる。

順番にそのアクション混じりで有無を伝えてくれる。


「えっと、有・有・無で・・・えっと」

「有・有・無。有・無。有・無。有・有。無・有。無・有。無・有・有。だ」


何度か間違ったけど、そのうち、ノーミスで言えるようになった。

一段目は全部レンガを積んで、二段目は有のとこをレンガを積んで、無のことは、レンガ一個分開けるということらしい。その繰り返しだ。


セメントと砂と水でバルモルを用意する。

ドワーフ匠印のコテも用意する。


それではいくぞ。


まずは、普通にレンガを一段積む。

これは、ペース良くきれいに積める。


続いて、抜きがある段だ。


まずは練習で言ってみる。


「有・有・無。有・無。有・無。有・有。無・有。無・有。無・有・有!」


「うん、完璧だ。それで頼むぞ」

「はい」


「有・有・無。有・無。有・無。有・有。無・有。無・有。無・有・有!」


できた。途中抜けているけど、2段目の半分が終わった。同じパターンで残り半分だ。


「有・有・無。有・無。有・無。有・有。無・有。無・有。無・有・有!」


うん完璧だ。

間違いなく、ズレなんかないぞ。


次の段は普通に積んで、その次の段は、抜きのある段。

抜きのあるなしを含めて7段積んだところて完成。


「やっぱり、ジュートのレンガ積みは美しいな」

「ありがとうございます」

「動きに無駄がない。テンポもしっかりと同じテンポだ」

「はい。ありがとうございます」

「さて次は。このアーチだ」


ありゃ、いきなりアーチがあったりする。

確か、前に来たときはそんな設計はなかった気がするんだけど。


「ジュートのアーチは完璧で美しいと設計ギルドの女性に聞いてな。これはアーチを入れろという神の声だと思ったよ」


神の声というより、無茶振りの声だと思うけどな。


「だけど、アーチだと型枠が必要でして……」

「もちろん、用意してあるぞ。あそこに」


あ、確かにアーチの型枠だ。設計ギルドの人に借りてきたのだろう。


「玄関の左右に、ひとつずつアーチを入れて欲しい。簡単だろう」

「簡単ではないですが。アーチ用レンガは、あ、それですか」


もちろん、用意してあった。

バルモルはまだあるから、続いてアーチ積みをしよう。


型枠をセットして。

えっと、アーチ積みだとこれだな。


「盛る・形成・積む・完璧!」

「おおー、アーチはそんなテンポで積むのか」


「盛る・形成・積む・完璧!」

「おおー、すごい。速いぞ」


「盛る・形成・積む・完璧!」

「おおー、曲線が見えてきた」


いちいち反応をする錬金術士さんが面白くて、ひとつひとつレンガを積んでいく。

あっという間にアーチになる。


アーチをふたつ積み終わって、残り2ヶ所だ。


「この分だと、残り2ヶ所はあと2時間もあれば終わりますよ」

「さすがだ、ジュート」


残り2ヶ所は、単純なレンガ積みで数もそんなには多くない。

1時間半ですべてのレンガ積みが終わった。


「終わりました。全部で、銀貨1枚と大銅貨1枚です」


アーチもあったから、ちょっと高めだ。


「速いな。では、銀貨と大銅貨と」

「はい確かに」

「実は、もうひとつお願いがあってな」

「なんでしょう」

「予報をひとつやって欲しいんだ」


あれ、今日は予報屋はお休みのつもりだったけど、錬金術士さんが相手なら仕方ないか。


錬金術士さんの予報の依頼は、「あれ」に関することだった。


予報試合のイベントが終わって普通にレンガ積みの話に戻りました。



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