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第55話 予報試合の第2ステージ

「第一ステージは白馬チームが優勢で終わりました。今は第2ステージの作戦タイムです」

「両チーム、なかなかやりますね。しかも白馬チームの予報者、すごい自信でした」

「はい。完璧予報を信じ切っている感じです。イケメンですしね」

「明日から、彼のとこにはすごい行列ができるでしょう。特に女性のね」

「いやいや、本当に正確な予報を欲しがっている冒険者や商人なら男性も行列を作りますよ」

「そうですね。あの完璧予報はすごいです」


おいおい、そんなに完璧予報なんていうなよ。

ますます、冒険者に被害が増える気がする。


今は、予報室で黒猫チーム7名で集まっている。

最初に口を開いたのは、チームリーダーのマセットだ。


「さて。みんなご苦労だった。ジュートも予報、当たっていたしな」

「1頭ずれて、ごめんなさい」

「なに、そんなのは誤差だ。6頭の予報でも、選抜メンバーも装備も一緒だからな」

「そう言ってもらえると気が楽です」

「たが、あいつ、本当に完璧予報ができるのか?」

「わかりません」

「予報であいつのことを聞いてみようか」

「えっと、それって、カンニングみたいな感じがするんですけど……」

「それもそうだな。こっちは、こっちで最高の試合をすればいいからな」

「はい」


第一ステージでは、まったく損害がなかった。

剣士3人と魔法使いの連係プレーが素晴らしかった。


「さて、次のステージだ。まずは予報を聞こうか」

「そうですね。質問をよろしくです」

「第二ステージの魔物は何でしょうか?」


《ピンポンパンポーン》


「灼熱猛牛です。それも、大き目で2頭います」


「灼熱猛牛か!」

「灼熱猛牛って、どんな魔物なんでしょう?」


マセットが解説してくれた。


灼熱猛牛は、魔猛牛の一種で火属性を持つタイプ。

頭に太い角が生えた牛で、その角が鉄を熱した時と同じ様に真っ赤に光っている。

それに突かれると、物理的ダメージの他にやけどを負ってしまう。

身体全体が火属性の耐性を持つと同時に魔法耐性もある。


「それでは魔法が効かないですね」

「そうだ。今回はセシルはお休みだな」

「残念ね。水魔法も使えるけど魔法耐性があるからダメね」

「そうそう。予報を報告しておかないと」


銀色の魔石に話しかける。


「第二ステージの魔物は、でかい灼熱猛牛が2頭だ」


それがそのまま放送され、観客席から歓声があがる。


「観客は大喜びだろう。オークと違って灼熱猛牛は強いからな」

「それも大きいのが2頭もです。大丈夫でしょうか?」

「心配するな、ジュート。灼熱猛牛はうちのパーティでも戦ったことがあるから」

「それを聞いて安心しました」


マセット達は準備を始めた。

今回は槍が中心の装備になるらしい。

魔法使いのセシルに代わって回復士が入る。


「それじゃ、行ってきますね」

「おう。ばっちり、観客にアピールしてこいよ」


 ☆ ☆ ☆


「それでは、予報者さん、おふたりに来ていただきました。まずは、おふたりが予報した結果をお伝えしましょう」


僕とイケメン予報者を見てアナウンサーが言う。

妙な間を持たせるな。


「おふたりの予報は一緒です。灼熱猛牛が2頭」

「「一緒?」」


つい、イケメン予報者とシンクロしてしまった。


「ただし」

「「ただし?」」


まただ。つい、反応が一緒になってしまう。


「黒猫チームの予報は、『でかい』灼熱猛牛です。対して白馬チームは、『270センチと280センチ』の灼熱猛牛です」


なんだ?そこまで細かく言う?


「私の予報は、実際にビジョンが見える予報ですから。サイズを計ることができます。今回はサイズも入れて予報してみました」


なんだかなぁ、本当にサイズまで当てられる物なのか?。

すっごく疑問になるなぁ。


「それでは、いよいよ、試合が始まります。魔物のゲートが開きました。中から出てきたのは、猛牛です。それも角が真っ赤に輝いています。灼熱猛牛で間違いありません。それもでかいです。サイズは・・・。さすがに分かりません。270センチと280センチが正解なのかは、試合終了までお待ちください」


猛牛と闘う装備で両チーム戦闘が始まった。


「おっ、やりました。黒猫チームの戦士が牛の頭を飛び越えて、後頭部に槍をぶち込みました。たまらず猛牛は足を止めます。これは効いています。おっと、倒れた。さらに槍が刺されます。これは、黒猫チームが有利か」


すげぇな、マセット。曲芸みたいな闘い方するんだ。だけど、もう1頭の方は戦士が弾き飛ばされた。すかさず回復士がヒールの魔法を掛けたな。


「白馬チームは連係プレイが美しいです。2頭の猛牛にそれぞれ2人づつ向かうのではなく、ひとりが一方の猛牛に対して囮をしながらすぐに別の猛牛の追撃役をする。変幻自在な連携プレイで、今、1頭を倒しました」


たしかに。相手チームもすごく闘い慣れているな。


「しかし、黒猫チームはもう1頭の灼熱猛牛を倒した。速いです。3分12秒で魔物をすべて倒しました」


やった。今度はこっち側の勝ちだ。


「白馬チームも、今、2頭目を倒しました。3分23秒です」


くそう。あんまり時間差がつかないじゃないか。


「今回は黒猫チームが先に魔物を倒しました。第2ステージが終わりました」


大きな歓声があがる。


「しかし、もうひとつの闘いが残っています。白馬チームの倒した灼熱猛牛のサイズがどのくらいなのか。計測班が向かっています。今、計測が始まりました」

「282センチと、269センチです!」


大音量の歓声があがる。


「すごいですね。たった2センチと1センチの誤差で灼熱猛牛のサイズを当てました。白馬チームの予報は神業です」

「まぁ、本当の予報はそれくらいできて当たり前です。頭数を1頭間違えるとか、でかい、だけだとか。そんなので当たったと思うような予報者は2流ですね」


ぐぐぐっ。

試合には勝ったけど、予報の正確性では完敗だ。


しごく当然というイケメン予報者。

めちゃ、むかつくんだけど。


イケメン予報者の予報は完璧でした・・・「絶対なにかインチキしているだろう」が黒猫チームのメンバーの意見です。

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