第53話 予報試合で勝つにはどうしたらいいのか?
「予報試合は観客が入るでしょうか?」
《ピンポンパンポーン》
「すべてのチケットが売りきれるでしょう」
この予報ひとつで試合主催者はゴーを出した。
予報試合が開催されることに決まったのだ。
相手役のあっちの予報屋は良い宣伝になると、ふたつ返事で参加することを決めた。
場所は、剣闘士スタジアム。
観客が1000人も入るスタジアムだ。
通常剣闘士の試合なら、通常席は大銅貨5枚でVIP席は銀貨2枚程度だ。
しかし、今回の予報試合は前評判も高く通常席でも銀貨1枚。一番高い席になると金貨1枚にもなる。
それなのに予約が入っていて、このペースだと完売になりそうな勢いらしい。
試合の主催主催者は、楽しくて仕方ないって感じで報告しにきた。
僕はマセットが話を聞く。
同時にルールの説明もしてくれた。
予報試合は、ふたつのチームが参加する。
ひとつのチームが僕が予報者の『チーム黒猫』。
僕の他にマセットの集めてくれたC級冒険者6名が参加する。
もうひとつのチームがあの予報屋のトップ予報者が参加する『チーム白馬』。
こちらも、C級冒険者6名が参加する。
試合は3ステージ制。
各ステージでは、あらかじめ用意されている魔物との冒険者が戦う形だ。
魔物はスタジアムに隠された状態で運び込まれる。
どんな魔物なのかを予報を使って判断して、メンバーや武器、アイテムを選んでいく。
各ステージは参加できるメンバーは4人まで。
魔物の種類や数によって、戦いやすいメンバーを6人から選ぶ。
武器とアイテムは主催者が用意していて、ステージ前に選ぶことができる。
予報によってどんな魔物がいるか、正しく分かっていれば有利に進行できる。
それぞれのステージは魔物を倒すまでの時間を競う。
3ステージの時間をプラスして、短いチームが勝利になる。
「この試合は注目度が高くてな、賭けも人気だ。現在の投票数はチーム白馬の方が2倍も多くなっておるぞ」
やはり、大きな店の方が有利だと観客は考えているらしい。
ひっそりと安酒場の片隅でやっている予報屋が勝つとはあまり考えないらしい。
「それは楽しみですね。僕も少しは賭けておこうかな」
「あ、関係者は賭けるのは禁止だぞ。八百長になる可能性があるからな」
黒猫亭の常連さんの中にも、チーム黒猫に賭けてくれている人がいる。
その人達のためにも、負けたら申し訳ないから、がんばらないとね。
「いよいよ、あと3日だな。準備はできているのかい」
「僕は特に準備は必要ありません。参加する冒険者達はいろいろと作戦を練っているところです」
参加する6人のうち、4人はいつもパーティを組んでいる冒険者で残り2人は今回のために助っ人で参加してくれたらしい。
マセットだけでなくセシルも参加する。
ロンも参加したいと言ってきたけど、C級冒険者ではないので参加できないで悔しがっていた。
最終的には、剣士が3名、魔法使いが2名、回復士が1名の6人パーティに決まった。
マセットを中心にメンバーの6名が一丸となって魔物を退治する。
僕の予報を活用して。
それがチーム黒猫だ。
「優勝賞金はチームで金貨20枚だ。いつもより相当奮発したんだぞ」
「ありがとうございます。みんなやる気になっています」
でも、あっちの予報屋は大丈夫なのだろうか。
当たらないことが観客の前でバレバレになってしまうけどな。
もっとも、あちらさんから見たら、僕の予報も当たりはしないと思っているかもしれないけどね。
「ちなみに、チーム白馬の予報者はすごいイケメンらしい。予報屋で一番人気のある予報者を出してくると言っていたぞ」
「イケメン?それは、ますます負ける訳にはいかなくなりましたね」
イケメンで、当たりもしない予報で稼いでいる奴。
絶対負けたくないな。
3日後が楽しみだ。
インチキ予報屋なんかに負ける訳にはいかないっす。




