表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/112

第49話 仲間がいるっていうのはいいなぁと思う

「こんばんわ」


黒猫亭でマセット達と話していると、別の冒険者達がやってきた。

4人組だ。

あれ。見たことある冒険者達だな。

誰だっけ。


「今日はお礼を言いにきました」

「えっと、予報をした方ですよね」

「お忘れですか?D級冒険者なのに、D級依頼が全部失敗すると予報された者達です」

「あ、思い出した!」


最近、冒険者の予報をしまくっていたから、分からなくなっていたけど、パーティメンバーを追放しちゃった人達だ。

今、話しているのがリーダーのはず。

あの時は確か3人だったけど、今日は4人。

と、いうことは。


「こいつがロンです。出戻りです」

「今回はありがとうございました」


《感謝ポイント52を獲得しました。次のランクアップまで782感謝ポイントです》


おおっ、大量の感謝ポイントが入ったぞ。

相当、嬉しかったのだろう。

そういえば、予報屋が人気になってたくさんの人を予報したけど、ほとんど感謝ポイントは入っていなかったな。

今回の感謝ポイントの方が、何十人と予報した感謝ポイントより多いみたいだ。

やっぱり、丁寧に予報をすることが、感謝されるコツ、ということだな。


「こいつはね。冒険者じゃなくて剣闘士をしていたんですよ。パーティを抜けてから」

「だって、他のパーティなんて入りたくないじゃないか。ソロじゃできること限られてしまうしさ。だからと言って剣を使わない仕事なんてしたくないからさ」

「結局、剣闘士をしていて、それなりに有名にはなっていたらしいんですよ」


剣闘士というは、ショーで剣の闘いを見せる仕事だ。街の人の間では剣闘士同士の闘いや、剣闘士と魔物の闘いは人気のショーになっている。

だけど、D級冒険者レベルだと大したことないと思うんだけどなぁ。


「剣闘士って、D級でも有名になれるんですか?」

「あ、僕の場合は悪役でして。派手なパフォーマンスをして最後はやられてしまうんです」

「負けるのがお仕事ってこと?」

「そう。だけど、ただ、負ければいいという訳じゃないぞ。いやらしい攻撃をして相手を追い込んでおいて、最後に逆転負けする。そのあたりが難しいんだよ」


そんな仕事あるんだ。知らなかったな。


「だけど、剣闘士は週一回くらいしか仕事がないから、他の日は暇なんだ。今は、パーティに戻ったから、ダブルワークで稼ぐけどな」

「そんな仕事やめろって言ったんですけどね。だけど、悪役剣闘士が気に入っているみたいで、当分続けるっていうんです。もちろん、冒険者としての仕事も一緒にやっていくんですけどね」


「剣闘士だと、剣翔アルフォンスさんとは知り合いだったりする?」


横から、セシルが口を出してきた。

すごい勢いで。


「知り合いというか、敵というか。来週、闘うよ。華麗に負ける予定だけどね」

「すごーい。アルフォンスさんと闘うなんて、素敵すぎる」


どうも、アルフォンスというのは、人気剣闘士らしい。

いままで負け知らずで人気絶頂らしい。


「だけど、剣闘士の試合って、勝ち負けだいたい決まっているみたいじゃないの?」


来週の試合も勝つみたいだし。いままでも、そうだった気がする。


「いいのよ、そんなことは。アルフォンスさんはイケメンだから」


良く分からないけど、そういうことらしい。


「そうだ。ジュートも試合に参加してみない?」


セシルが「良いこと思いついた」って顔をしている。


「ダメですよ、僕は。剣なんて使ったことないし」

「違うわよ。予報よ。あの憎らしいインチキ予報屋を試合でコテンパンにやっつけて欲しいのよ」

「それ、どういうことですか?」


悪役剣闘士のロンが興味を持って質問してきた。

セシルが憎たらしいって顔で、インチキ予報屋の話をしている。


「面白そうですね、それ。予報屋の試合ですか」


ロンとセシルが変に盛り上がっている。

予報屋のふたりが、予報をして何人かのチームを闘わせる。

だけど、予報が結果に関係するとなると、単なる試合じゃつまらないとか。

ふたりでアイデアを出し合って、あーでもない、こーでもないってやっている。


「それじゃ、その線で主催してくれそうな人を探してみますね」

「お願いね」


なんか、僕を無視して話が進んでいるような。


「ダメですよ、そんなみんなが見ているところで予報なんて。あがって出来やしないよ」

「そんなことないわ、きっと。大勢の前だって、ちゃんと予報できますか?」


《ピンポンパンポーン》


「問題なくできるでしょう」

「ほら、予報もそう言っているし」

「そうじゃなく。僕が恥ずかしいって言っているんです」

「まぁまぁ、実際に試合をするとなると、いろんな人が絡んでくるから、そう簡単にはできやしないぜ。できたらいいな、くらいで待っていてくれ」

「ロン、頑張ってね」


セシルは剣闘士の試合が好きで随分と観戦に行っているらしい。

だから、試合に関われるかも、と思ったら暴走しはじめた。


だけど、考えてみたらそんなにうまくいくはずがないよね。

まぁ、ロンがそんな話を試合を開いている人に話してみたいというならダメって言えないし。

僕だって、予報屋を真似されて情報屋のあのおっさんには頭に来ている。


「まぁ、がんばってみてください」

「わかりました」


やっぱり、ロンが嬉しそう。

それはそれでいいかもね。


「さて。セシルさん達もそうなんだけど、ロン達も、今週の予報、聞きにきたんじゃないの?」

「「そうだった!」」


今週の依頼の相談を30分銀貨1枚で受けた。

それぞれが納得する計画がたった様子だ。


この日は、C級冒険者とD級冒険者の二組の予報だけやって終わりになった。

予報屋の売り上げは銀貨2枚だけだった。


予報の試合できるかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ