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第40話 用意周到な敵を相手にするのは困難が伴うよね

「錬金術士さんから連絡があって、指名依頼を取り消してきた」

「どうして?何か僕、ミスしたんですか?」


前回のときのことを思い出しても、特にミスをしたとは思えないんだよな。


「いや、こっちの原因ではなく、向こうの原因らしい。どうも盗賊に入られて大変らしいのだ」

「盗賊?何を盗られたんでしょう?」


なんか、嫌な予感がした。


「なんども、採取したばかりの錬金素材だと言っていた。薬草の一種だと」

「やっぱり・・・」


月向草が盗まれてしまったみたいだ。


「すいません。今日の仕事はお休みにします」

「それはいいが。錬金術士さんのとこに行くのか?」

「はい」

「あんまり邪魔するなよ」


職員さんには、ただのレンガ積みだと思われているから、僕が錬金術士さんのとこに行っても役立つとはずないと思っているみたい。

役立つことができるかどうか分からないけど、いてもたってもいられないって感じだから行くことにする。


「それでは行ってきます」

「おいおい。錬金術士さんはな、レンガ積みの現場にはいないぞ。あ、行ってしまった」


錬金術士さんのアトリエ建築現場に着いた。

だけど、そこには誰もいない。


「あ、ここはまだ建築中だから錬金術アトリエとして使われていないよな。すると、どこで月向草が盗まれたのか分からないのか」


困っていると、レンガの部分に手紙が張ってあるのが目に入った。

僕が字を読めないって知っているらしく、絵で「レンガ屋さんへ」と書いてある。


手紙の中を見ると、地図になっていて、矢印で行く場所が示されている。

ここにいけばいいんだな。


とにかく走って、目的地まで行ってみる。


「あ、予報屋さん。いいとこに来てくれた」


目的地に着くと錬金術士さんが喜んで迎えてくれる。

ここは、レンタル工房らしい。

警備官が来ていて、盗難の状況を調べている。


「月向草が盗まれてしまって。今、どこにあるか教えて欲しいんだ」

「わかりました。質問してください」


錬金術士さん、考えている。

どうすれば、予報になるのか考えているのだろう。


「それじゃ、質問です。月向草は今日中に取り返すことはできますか?」


《ピンポンパンポーン》


「今日中に月向草を取り返すことは不可能でしょう」

「なんと。ダメか。不可能? なぜ不可能なんだ?」


《ピンポンパンポーン》


「盗まれた月向草はこの街にありません。王都に向かっています」

「なんだと。どういうことだ?」


《ピンポンパンポーン》


「メリッシュ商会の早馬で王都に向かっています」

「なんだと。それでは、今からじゃ追いつかないということか」


万事休す、か。やられたな。


「盗賊はメリッシュ商会に雇われた者たちか」


《ピンポンパンポーン》


「雇われてはいないけど、メリッシュ商会が指示をしているでしょう」

「やっぱりな」

「どうします?」

「あの月向草はあきらめよう。レンタル工房はギルドの所有だから、ギルドから保障はでる。中級ポーションを作ることはギルドの要望でもあるしな」


あ。採取にかかったお金はなんとかなるんだ。でも。


「あきらめてしまうんですか?」

「ああ、あの月向草はな。だけど、メリッシュ商会に一泡吹かせてやらないと気が収まらない。もう一度、月向草を採取してもらうんだ」

「うまくいきますか」

「それも予報して欲しい。あの冒険者パーティに頼めば黒い森で再び月向草が採取できますか?」


《ピンポンパンポーン》


「すでに黒い森には月向草を採取している人達が入っています。今から行っても見つからないでしょう」

「なんだと。そこまで手が回されているのか。どうしたらいいのか?」


《ピンポンパンポーン》


「月向草採取なら、白鷹の森で採取できるでしょう」

「おおっ、別のところならあるのか。よし。そこに行ってもらおう」


そんな話をふたりでしていると、話に割り込んできた男がいる。


「月向草が採取できる場所?それはこちらで対応させてくれないか」

「あ、ギルド長!」


錬金術ギルドのギルド長らしい。今回、盗難にあった当事者のひとりだ。

見た目は恰幅がいい40代後半くらいの紳士。


「そこでの月向草の採取は錬金術ギルドが全面バックアップするぞ。さらに、中級ポーション作成を依頼してきた冒険者ギルドもだ」


なんか、話が大きくなってしまった。

連絡を受けたマセット達のパーティメンバーや冒険者ギルド長もやってきた。


そんな状態を見ていた錬金術士さん。素朴な疑問を口にした。


「でもさ。こんなに事が大きくなっしまって、大丈夫なのかね」


《ピンポンパンポーン》


「C級以上の冒険者が12人以上参加すれば、邪魔する相手を撃退できるでしょう」

「12人集めればいいってことだな。冒険者ギルドの全面バックアップだから可能だろう」


この日、急遽集められた冒険者たち。

総勢32人。ほとんどがC級だが、B級が3人、D級が8人含まれている。

前回参加したマセット達も入っている。


今回現場指揮を執るのは、B級剣士のギリアム。冒険者ギルド長と錬金術ギルド長。

あと、錬金術士さんと僕の5人で作戦会議が開かれた。


僕の予報をベースにどのような配置をするのか。

採取が終わって、中級ポーションを作って配布するまで。

すべてが予報をベースに計画が作られていく。


「すると、他にも月向草が採取できるポイントがあるということですな」


《ピンポンパンポーン》


「現在、月向草が多く採取できるポイントは全部で4か所あります」

「よし、そのすべてに冒険者を派遣して、採取をしまくろう」


30分ほどで計画は決定した。


そして、すぐに作戦は実施された。

敵の動きを抑えるためには、素早い行動に限る、とのギルド長達の意見が採用された。


僕には、今回の予報代として金貨1枚が手渡された。


話がでかくなっています。

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