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第27話 ランクアップすると大きな変化が起きるんです

「それでは、予報代として、この銀貨はいただきますね」


テーブルの上に置いてある銀貨に手を伸ばす。

でも、実際に手にする前にもう一度、3人のD級冒険者の顔を見まわす。


この銀貨を出した冒険者はうなずいている。

もうひとり、さっき反対した冒険者は顔を背けている。

もうひとりの冒険者は、興味津々って感じでこっちを見ている。


予報を行うことに反対する人はいないようだ。

もっとも、気持ち的に反対なのがひとりいるけど。


「それでは、どんな予報を知りたいですか?」

「その前に、予報って、一回しか聞けないものなのか?」

「あ、そうですね。30分以内だったら、何度聞いても大丈夫です」

「よかった。いろいろと聞きたいこともあるんです」

「あの・・・僕も聞いてもいい?」


興味深々で見ていた冒険者。

たぶん、年齢は3人の中では一番低くて僕と同じ18歳くらいだろう。

他のふたりは22歳くらいかな。


「えっと、予報屋としてはオッケーです。そちらの方の了解があればね」

「あ、それならいいよね」

「ああ。もちろんだ」


お金を出した人がオッケーなら問題はないね。


「それでは、最初の予報して欲しいことは、冒険者ギルドの依頼のことです」

「明日から受ける依頼ですね」

「そう。明日新しい依頼を受けよう思っています。D級のね。絶対失敗できないんだ、今回は」

「そうですよね」


「どのD級依頼を受けたらいいのか、それが知りたい」


《ピンポンパンポーン》


「どのD級依頼でも失敗するでしょう」


なんだ?音が変わったぞ。「ピンポーン」じゃないのか?

それと、「これはどう?」って聞かないのに予報した。

どういうことなんだ?


「それはどういうことなんだ?」


そうそう。どういうことなんだろう。

言った本人も混乱している。

予報がなんか変だな。


「俺たちじゃ、依頼を成功させることができないというのか?」


《ピンポンパンポーン》


「今のあなた達パーティだとE級依頼でないと成功できないでしょう」

「ふざけるな!俺たちはD級パーティだぞ」


予報に反対していた冒険者が怒ってしまった。

こいつは、なんでも反対するから反対君だね。


「だから、予報なんて役立たないものに金を出すのは反対だったんだ!」


うーん。役立たない情報に金を出して無駄にしたときの気持ち、わかります。

いけないっ、そうじゃなかった。

予報は役立たずなんかじゃないぞぉーーー。


「予報では、今のあなた達ではD級依頼は成功できないって言ってます」

「だ、か、ら。何を根拠にそんなことが言えるんだ」

「予報ですから」

「予報っていうのは、100%当たるのか?」

「えっと、外れることもあります」

「ほら、みろ」


反対君、本気で怒りだしてしまった。

これって、昔からよくあるパターンなんだよね。


これでいくつの仕事をダメにしたか。


もう、2年まえになるけど、レンガ屋になる前に就いた仕事の件を思い出す。


その頃、僕は訪問販売の仕事をしていた。


「いいか。とにかく、今日中にこの商品をみんなで全部売るんだ。売れるまで帰れないぞ」

「はい」

「どうだ?売ることはできるか?」


「「「はい」」」


《ピンポーン》


「半分以上売れ残るでしょう」

「おまえ、やる気がないのか!」


やる気がないんじゃなくて、予報で分かってしまうだけ。結果がね。


「お前はクビだ」


本当を言うと、みんな分かっていたんだろうな。あの時のリーダーだって。

全部売るなんて無理だって。

だからこそ、あの時のリーダーが怒ったんだ。

分かっていても、知りたくないことがあるんだ。


もしかしたら、この冒険者パーティの人達も分かっているのかも。

今のままじゃ、D級依頼は成功しないって。


だけど、僕はただの予報屋。

予報以上に、口を出すことは、違うよね。


どんな予報が出ても、結果的決めるのは、本人たち。

部外者がいろいろ言ってもいいことなんてないしね。


「僕もひとつ予報を聞いてもいいですか」

「もちろんだ」

「それでは、追放しちゃったメンバーを・・・」

「お前、何を言い出すんだ!」


反対君がまた、反対した。

予報を聞いてもいいっていったじゃん。


だいたい

追放って、何のこと?


「よせ。なんでも、聞け。ここは俺が許す」

「だけどよぉ、リーダー。あの件はよ」


反対君、リーダーにも反対しちゃうの?


「ここはリーダーの俺が決める。なんでも聞けよ」

「だって、あの件はリーダーが・・・」


なんだか分からないけど、なんかあったんみたい。

難しい人間関係は苦手なんだよな。


「それでは、改めまして。予報をお願いします」

「はい。どうぞ」

「追放した元メンバー、ロンをメンバーに戻したら、D級依頼が成功しますか?」


《ピンポンパンポーン》


「元メンバー・ロンを含めた4人なら、多くのD級依頼は成功するでしょう」


「だけどよ、今更。ロンになんて言って戻ってもらったらいいんだよ」


リーダーが言う。

がくっという感じで体勢が崩れ落ちるのを反対君がガシッと支える。


「大丈夫です、きっと。新入りの僕じゃ無理ですけど、おふたりが頭を下げればきっと戻ってきてくれます」

「だけどよ、もう、ロンは別のパーティに入ってしまっているだろう。たくさんスカウトが来ているって噂に聞いたぞ」

「ロンさんは、どこにも所属していません。少なくてもこの街のD級パーティには」

「なんで、そんなこと分かるんだ」

「調査してありますから」

「それじゃ、他のランクのパーティじゃないのか?」

「ありえません。プライド高いでしょ、ロンさん。E級なんてありえません。C級は無理ですし」


あー、そういう話。さくっと聞いちゃったほうが楽だと思うけど。

予報にね。

新人君も同じ気持ちみたいで僕の方を見ている。

リーダーがそれに気づいて質問をする。


「俺たちが頭を下げて謝れば。ロンは戻ってくれますか?」


《ピンポンパンポーン》


「戻ってくるでしょう」


おおー。やっぱり。


「ですよね。きっと、ロンさんだって待っているんですよ。戻りたいって」

「だけどよ。俺はリーダーとして言ってはいけないことを言ってしまったんだ」

「それはお互い様ですよ。ロンさんもひどいこと言ってましたから」


リーダーはもう、迎えに行く決心をしたみたい。

それまでの迷った顔が、引き締まって、覚悟を決めた顔になっている。


反対君は、どうなんだろう。

あれ。反対しない。むしろ、賛成している。


「ロンの奴を迎えに行っていいんですか?」

「ああ。お前も頭を下げるだぞ」

「もちろんです。ロンの奴が戻るなら、なんでもしますよ」


あ、決まった。


「最後に、僕がみなさんの予報を聞いてしまっていいですか?」


本当は、こういうことに絡まない性格なんでもだけどなぁ。

どうしても、聞いてみたいことができてしまった。


余計なお世話だとおもうんだけど、誰かが「聞け、聞け」ってけしかけている気がする。


「なんでしょう?いいですよ。予報屋さん。なんでも予報してください」


やった。

了解が出たぞ。


「ロンさんが戻った4人のパーティは、いつかC級に上がれますか?」


《ピンポンパンポーン》


「3カ月くらいでC級にあがれるでしょう」


やっぱり。というか、なんで時期まで答えるのかな。

「いつ」って聞いた覚えないんだけど。

「いつか」って聞いたんだけど。


予報スキルがD級に上がったら、やたらと性能あがっている気がする。

勝手に質問した人の気持ちを汲んで答えているなぁ。


「ありがとうございました!予報屋さん。必ず4人でC級にあがってみせますよ」


晴れ晴れとした、顔でリーダーが宣言した。


D級冒険者達は楽しそうに話しながら帰っていった。




「お帰りなさい。マスター」


D級パーティの予測が一段落したら、とんでもない物を抱えてマスターが帰ってきた。


ランクアップで音が変わりました。


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