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第19話 カニ仙人は常識を覆しまくっています

やっぱり、「レンガニ」はコメントで賛否両論でした。

「やっとできたか。カニ戦闘員よ」

「ちょっと待ってくださいよ、なんですか、カニ戦闘員って」


レンガニ鎧で全身を覆ってしまった僕。

顔の部分も頭の部分も、レンガニで覆っていて目と口と鼻だけ出ている。


「なにって、下っ端に決まっているじゃないか、カニ戦闘員は」

「じゃあ、カニ仙人はどうなんですか」

「カニ仙人は幹部じゃよ。そうに決まっている」

「わかりましたよ。下っ端ですね。下っ端は下っ端らしくしますよ」


右手を挙げて「カニ~」って言ったら、ウケてカニ戦闘員の基本掛け声として採用された。

カニ仙人は気に入ってしまって何度も「カニー」ってやらされてしまった。

手の角度とか掛け声のタイミングとか。

いろいろと注意されてしまった。


「よし。完璧だ。それではいよいよ、お姫様を救いにいくぞ」

「えっ、これからですか。ミリーちゃんの故郷村はちょっと遠いから、今からだと夜になりそうですよ」


レンガニ鎧を作るのが一時間もあればと思って始めたら、つい細部にこだわってしまい二時間もかかってしまった。

実に動きやすくて素晴らしい鎧にはなったけどね。

今からだと、ちょっと遅すぎるよなぁ。


「私を誰だと思っている?」

「カニ仙人ですよね」

「カニ仙人はな、常識なんて関係ないのだ!」


それはそうだと思うけど・・・実際、どうするんだろう?


そう思っていたら、カニ仙人は棚にあるものをごそごそとさがしてひとつの袋を取り出した。


「この袋の中には、何が入っていると思う、ミリーちゃん」

「えっ、何かな。あ、もしかして、空を飛べる魔法道具?」

「おしい!」


おしいって。何ですか、それ。

空飛べるなんて、魔法使いじゃないんだから・・・あ、賢者は魔法使いの最終上位職だった。

空だって飛べるのか。


「この中に入っているのは、どこでもパウダー」

「「どこでもパウダー!」」


解説しよう。

どこでもパウダーっていうのは、高ランクの錬金術で作られた魔法の粉で、粉を舞わせたところに行きたい場所をイメージして入ると瞬間移動できてしまう。

行ったことがない場所には瞬間移動できないが、複数人数がいる場合はその中のひとりが行ったことがある場所なら、手をつないだ人を連れていくことができる。


「ミリーちゃんが真ん中だ。カニ戦闘員は右、わしが左だ」

「「はい」」

「故郷村のこと、しっかりと思い浮かべよ」


ふたりの手をミリーちゃんが握り、呪文を唱えながらカニ仙人がどこでもパウダーを舞わせた。


「いくぞ」


三人は一緒にパウダーの中に入る。

パウダー強く光る。


「うわっ」


眩しくて、つい声が漏れてしまった。


光が薄れてくると周りの風景が見えてきた。

そこは、山間の村の中にある、ちょっと大きめの広場だ。

目の前に農夫らしき男が立っている。


「なんなんだ、お前たちは!」


鍬を竹刀のように構えた農夫が大声で言う。


「あ、怪しい者ではないんですが・・・」


実は、そう言っている本人が一番「怪しい」と思ってしまっているんだけど・・・

だって、どうしようもない。この姿で、何もない所からいきなり現れたのを見られてしまったんだから。


「ん?お前はミリーちゃんか?」

「あ、おじさん。久しぶりです」


よかった、ミリーちゃんの知り合いなんだ。

そう言えば、ミリーちゃんの故郷村は人が少ないから全員が顔見知りだと言っていた。


「ミリーちゃん、その魔物たちはなんなんだ」

「魔物なんかじゃありません。カニ仙人様とカニ戦闘員です」

「えっと、カニ仙人?そいつらは、人間なのか?」


警戒心バリバリで僕らの方に歩いてくる。

さすがに鍬は降ろしてくれているが。


「お姫様を助けるために、おふたりを連れてきたんです」

「お姫様を!本当か!助けてくれるのか、その者たちが!!」


ミリーちゃんがいて、よかった。

ちゃんと村人と話が通じて話ができる。


それもちゃんとお姫様を助けるってことを信じてもらえたし。

もっとも、今は「誰でもいいから助けてほしい」って、村人ならみんな思っているかもしれないけどね。


「それで。病気のお姫様はどちらにいらっしゃるんですか?」

「ああ、そうだった。村長のとこの離れです」


こうしてはいられない。

一刻も早く、お姫様に会って病気を治さないと。


気ばかり焦っているけど、実は何をしたらいいのかはカニ仙人しか知らなかった。


カニ仙人とカニ戦闘員は、『ショッカニー』なのかっ。


いよいよ、病気退治ですね。続きが読みたいと思ってくれたら、

ブクマと評価をしてくれると、うれしいです。


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