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第16話 なんでも知っているってどういうことか

「それは確かに、ころり病じゃ」


すごく親身になって相談に乗ってくれた物知り爺さん、じゃなかった、大賢者様。


案内所のふたりの話だと相当面倒くさい性格らしいのだが、そんなことは全然なかった。

もっとも、普段は頑固者なのかもしれないけど。


大賢者様に会う前からミリーちゃんと話し合いを持ったんだ。

テーマは、頑固者対策だった。


「とにかく、頑固者なら、低姿勢でいくに限る」


これが結論だった。


「すみません。こちらに、とても素晴らしい大賢者様がお住まいだと聞いて訪れたのですが・・・」


とにかく、すごい人だという設定で対応しようってね。


予報でもと賢者のユニークスキルを持っているらしいから、本当にすごい人だしね。


「その通り。我こそは賢者の中の賢者、大賢者であるぞ」

「ははぁー。大賢者様にお目に掛かれるとは、本当に光栄です」


はじめの会話はそんな感じだった。

その後も似た感じで持ち上げまくったら、やたらと機嫌が良くなった。


やっぱり誰であっても持ち上げられるのって、嫌いじゃないと思うんだ。


だけど、そしたら、やたら機嫌がいいのを見て、

「正直、ちょろいな」と思ってしまった。


本当はすごい大賢者様なのに、ちゃんと扱ってもらえていない。

そんな感じが街案内所のふたりの話を聞いていてしたものだからね。


とにかく低姿勢。

そんな感じで話していたら、賢者さんの方から言ってくれた。


「そんな固くならずとも良い。なにか聞きたいことがあってきたのだろう?」


待っていました。


話を聞いてくれたから、お姫様のことを詳しく話してみた。

特に、お姫様の病状を詳しく話してみた。


すると、大賢者様が、病気の診断をしてくれた。


「それは確かに、ころり病じゃ」


さすがに賢者ユニークスキルを持つ爺さん。

何でも知っているのだろう。

一発でころり病と見抜いた。


やっぱり、ここに来てよかったと思った。


大賢者様が味方になってくれる。

この安心感。


だけど、そこからが肩すかしにあってしまった。


「それで、お前たちの依頼は、その女を助けたいって事だな」

「はい。大賢者様ならきっと良い方法を知っていると思いまして」

「無理じゃ。ころり病は助からん!」

「「ええーーー」」


他の人なら、そういうのもしようがないと思うけど、なんでも知っているはずの大賢者様に無理と言われてガクッときた。

横を見ると、ミリーちゃんも放心状態だ。


「だいたいがな。ころり病に罹る奴はロクな奴いない。あっさりと死んでいくのが世のためだ」

「そんなこと、ありません!」


大のお姫様ファンのミリーちゃん。

目に涙をためて賢者さんに大声で反論を開始した。


お姫様がどんなに素晴らしい人なのか。

どれだけ人から信頼されているのか。


お金持ちから資金を出させて孤児院を作った話。

貴族にあらぬ疑いを掛けられて処刑させられそうになったメイドを助けた話。

お金ならいくらでも手にできるはずなのに、自分は質素で堅実な生活をしている話。

そして、誰にも負けないくらい気品があって美しい女性だという話。


ミリーちゃんがお姫様の話をしだしたら止まらなくなってしまった。

賢者さんはじっとその話を聞いていた。


ミリーちゃんがすべて話し終わったときに、賢者さんはぽつりと一言だけ言った。


「そなたの言うお姫様という女性はやはり、ころり病じゃ」


その後に賢者さん、じっと前をみつめて、何かをじっくりと考えだした。


どうしたら助けられるのか、教えて欲しいミリーちゃんがその次の言葉を待っている。

でも、残念ながらそれが出てこない。


じっと待っているのがつらくなってきて、ミリーちゃんが僕に聞いたんだ。


「レンガ屋さん!大賢者様はお姫様を助ける方法を知っているの?」


《ピンポーン》


「賢者はお姫様を助ける方法を知っているでしょう」


「なに!」


賢者さんは、心底びっくりした顔をした。


何をそんなにびっくりしたの?


自分が助ける方法を知っていることかな。

それとも、僕がそれを見抜いたことかな。

それとも?


「まさか、お前。『予報』スキルを持っているというのか?」


そこだったか!

僕の予報スキルのことかっ。


さすが賢者さんになると『予報』スキルを知っているんだ。


いままで誰も予報スキルを知っている人は誰もいなかった。

神様から予報スキルを授けてくれた神官さんも知らなかった。

僕のユニークスキルが『予報』だと伝えたとき、とまどっていた。

どんなスキルか説明できないからね。


だけど、賢者さんは、予報スキルの知識を持っていた。

「賢者はなんでも知っている」と言われているけど本当なんだ。


「よし!予報が使えるなら、おまえ達のお姫様を助けることができるぞ!!」

「「本当ですか!」」


ミリーと僕と同時に叫んだ。


※新たに「パーティ追放」キーワードが追加になりました。


お姫様、助かるみたいだね。続きが気になるって思ったくれたら、

ブクマや評価もよろしくお願いします。


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