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第14話 貧乏人がひどい目にあうのはテンプレなのか

「こちら、賢者の情報を知りたいと言うのでお連れしました」


大きな机に強面のおっさんがひとり座っている。その後ろに黒服を来た男が立っている。

この強面おっさんが情報屋なのか。


「賢者ですね。賢者のどんなことを知りたいんですか?」

「はい。どこにいるのか教えて欲しいのです」

「まずは銀貨1枚」

「あ、すいません」


そうだった。


こういう商売は前払いが基本だとC級冒険者のリーダーも言ってた。

銀貨を1枚、机の上に置くとすかさず、強面おっさんは机の引き出しにしまう。


「それでどこまで知りたいのかな?」

「賢者がいる場所を教えてください」

「それなら、住所まで知りたいと言うのだな」

「住所が分かるなら住所を教えてください」


それを聞いたら、強面おっさん。すこし考えている。

なんだろう。何を考えているんだろう。


「銀貨3枚」

「えっ。銀貨はさっき払いましたよ」

「あれは、入場料だ。賢者の住所だともっと価値がある情報だ。銀貨1枚では全然足りない」

「しかし・・・銀貨3枚なんて持っていません」

「それでは、いくらならあると言うのか?」

「銀貨2枚です」


もう一度、考えている。銀貨2枚にしてくれるのか。

それとも、それでは足りないのか。


「あ、あと大銅貨3枚ならあります」


ミリーちゃんが言う。


「銀貨2枚と大銅貨3枚か。少ないな」

「それでなんとか」


強面おっさんは黒服にこそこそと話しかける。

黒服は机の後ろの扉から出ていく。


「少々待ってくれ」

「は、はい」


しばらくすると扉から黒服が戻ってくる。手には1枚の紙が握られている。


「まずは銀貨2枚と大銅貨3枚出してもらおうか」

「はい。これが銀貨2枚です」

「大銅貨3枚です」


僕とミリーちゃんでお金を出す。

また、強面おっさんはお金を机の中にしまって、黒服から紙を受け取り差し出してきた。


「賢者なら、この住所の所にいるぞ」


書いてある住所はどこか良く分からないけど、たぶんこの街のどこかだ。


「この住所はここから近いのですか?」

「大銅貨1枚」

「・・・すみません。大丈夫です。自分で調べます」

「そうしてくれ」


黒服が僕らの後ろの扉を開く。

きっと、帰れってことだろう。素直に従って外に出た。


「ふう。緊張した。あの人達怖い顔していたね」

「僕もドキドキだったよ」

「でも、賢者の居場所分かってよかったわね」

「そうだ。あのタバコ売りの少年にお礼したいな。あれ?いない」


僕らが出てくるとき一緒に出てこなかったらしい。

まだ、情報屋に残っているのだろうか。


「おかしいな。なんで一緒に出てこないんだろう?」

「もしかして、あそこになんか用事あったのかな」

「それより、その住所、どこなんだろう?」


全然知らない住所が書いてある。


街を歩いている人に聞くと言っても、こっちの服はボロボロで相手の服は綺麗。

なんか聞くのためらうな。


「あ、そんなときにこそ、予報が役立つんじゃない?」

「そうだった。方向くらいなら分かるはずだね」


さっきの紙を取り出してミリーちゃんに読んでもらう。

ミリーちゃんは居酒屋で働きだしてから読み書きを勉強しているから、住所くらいは読める。

僕は全く読み書きはできない。


「この住所の場所は、この方向ですか?」


《ピンポーン》


「その住所は実在しないでしょう」

「「ええーーっ」」


ひどい、騙された!

強面おっさんに銀貨と銅貨、騙されてとられてしまった。


「どうしよう」

「まいったな。全然お金なくなってしまった」

「私も」


無一文で知らない場所にいる。

すごく怖く感じる。


「どうしよう。。。あきらめて帰る?」

「ダメだ。お姫様を救うんだよ。のんびりしている訳にはいかない。早くしないと」


騙されてしまったのはショックだけど、まだあきらめることはできない。

お金がなくても、賢者は見つけられるかもしれない。


「街案内所は僕らでは入れないっていうのも嘘かもしれない」

「あっ、そうね。それも、お金を騙し取る手口かもね」

「よし、街案内所を探すのに、予報を使ってみよう」


「街案内所は僕らでも利用できますか?」


《ピンポーン》


「利用できるでしょう」

「あ、やっぱり」


よし、今度は人の手を借りずに自分達で街案内所を見つけるんだ。

特に声を掛けてくる人には要注意だ。


気持ちを新たに街案内所を探し始めた。



あーあ。せっかく貯めたお金が一瞬で消えてしまいました。


どうなるのかな。続きが気になると思ったら、

ブクマや評価をよろしくです。

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