第107話 鉱山開発ってお金がかかるんだよな
ジェイミーの紹介で、投資少女エミリーと一緒に投資先の責任者という人に会いに来ている。
実際に投資先の人に会って、投資を決めたらいいとジェイミーが言った。
エミリーも、その通りと言った。
「だって、どんなに良い投資であっても、投資する相手がいい加減な人だとダメでしょ」
そうそう。
口だけ男はダメに決まっているじゃないか。
「いやぁー、お嬢さん。すごくしっかりした考えだね。ボクは感心してしまいました」
そうそう、こういうジェイミーみたいな口だけ男。
駄目だと思う。
だけど、彼を選んでしまったのは僕の予報だからなぁー。
そんなジェイミーが紹介した男。
鉱山探索をしている男だという。
その男がかばんから何やら出してくる。
「これを見て欲しい」
おっ、金属製のレンガか。
「それはレンガ?」
「ははは、レンガではなくて、インゴットという」
男の名前は、ガルス。
ずっと山に籠り、鉱山の可能性がある場所を探しているという。
その金属のインゴットは、彼が見つけた鉱石から作ったという。
「それを見つけた場所は、この街から近いのかしら」
エミリーが興味を持って質問している。
鉱山というのは、投資先としてどうなのか?
「ああ。この街から半日くらいでいける山だ」
「エミリーさんにお勧めしたい投資は、鉱山開発なんですよ~」
「でも。鉱山開発はお金がかかるときいたことがあるわ」
「ねぇちゃん、良く知っているな。鉱山開発というのは、何度も山を掘って試さなくちゃいけないんでな」
「それじゃ、ギャンブルみたいなものじゃないですか。ジェイミーさん。そんなギャンブルみたいな投資を勧めるんですか?」
要は、ガルスは山師だ。
一攫千金を狙う者も山師と呼ぶが、その語源になったのが鉱山を探す山師だ。
そんな山師に投資するなんて。
エミリーさんも僕と同意見だと思うな。
やっぱり、口先男、ジェイミーにはがっかりだ。
「ギャンブルって。。。ひどいな。大丈夫だよ。エミリーさんには、こいつがいるじゃない」
そう言って、ジェイミーは僕のことを指さす。
「そんな時こそ、予報が役立つんだ。そのうえ、この街の近くには鉱山がないから、金属製品が高いだろう」
「そうなんだよ、この街は金属は遠くで作られたものをもってくるしかないんだ」
「近くで鉱石が採れるようになったら、街はそれで潤うことになる。そのうえ、金属加工の仕事とか増えるから街には良いことばかりなんだよ」
一応、街の人たちの役に立つという条件は成り立つんだな、しかし、ギャンブルはな。
「いいわ。やりましょう」
「ええっー」
なんか、エミリーさん。
簡単に決断してしまうなぁ。
「おじい様が言っていたわ。可能性があるとこには金を惜しむなって」
「おう。話が分かるじゃないか、お嬢さん」
「いいねぇ。大胆な投資主で。素晴らしい投資案件をもってきたわたしとしても、うれしいかぎりだよ」
うーん。
この3人。
大丈夫なのだろうか。
心配になってきたぞ。
「なぁに。金貨100枚も出せば、鉱脈を探す穴掘りをする奴らは雇えるさ。一回で出なくても、金貨5000枚もあれば、いい鉱脈がみつかるだろう」
おいおい、数打ちゃ当たる形式かよ。
そういうの、個人的には嫌いなんだが。
やっぱり、コツコツとやれば結果につながるのが好きだ。
そういう投資案件はないのかよ。
「大鉱脈を見つけたら、一発で大金持ちさ」
だから、そういうのは……
「大丈夫。大予報屋、ジュートさんがついているんだから」
エミリーさんまで、そんな……
僕の心配など関係ないという感じで3人は大盛り上がりだった。




