第100話 レンガとタイルは同じかな
今日もレンガ500個積んでみよう。
と思って、土木ギルドに行ってみると。
「すまないが、レンガじゃなくてタイルをやってくれないか?」
「タイルですか? やったことないですよ」
「タイル職人の親方と一緒だから大丈夫だよ」
なんで、レンガじゃないのかと思ったら。
レンガ職人はシバ君たちががんばっているから足りているみたい。
変わりにタイル職人が足りないらしい。
「タイル職人もそうなんだけどさ。うちのギルドの職人がずいぶん減ってしまってな」
「また、どうしてですか?」
「ギルドに登録しているけど、出てこない奴が増えてしまって。参っているんだよ。ちゃんときてくれるジュートさんみたいなのは珍しいんだ」
僕も最近は予報関係でお休みのときが多い。
でも、休むときは事前に連絡は入れている。
来ない職人は連絡もないんだろうなぁ。
「一ヶ月以上きていない職人のところに確認の訪問する予定だ。そこで継続の意志がないメンバーは除名するんだ」
「そうですか」
まぁ、職人の多くは気分屋だからな。
すでに別のことやっているメンバーも多いんだろう。
「それはそうと。タイル職人の親方が来たぞ」
土木ギルドの受付のところに、40歳くらいのひょろっとした作業服のおっさんが入っている。
「おまえが新人か」
「こちらがジュートさん。タイルは初めてですがレンガはスーパー職人だぞ」
「はぁ? レンガとタイルは違うだろう。いくらレンガが上手くてもタイルはどうかな」
なかなか、口が悪い親方ぽいな。
まぁ、謙虚に対応しておけば大丈夫だろう。
「はい。タイルは初めての新人です。よろしくお願いします」
「おう。初めてならちゃんと教えてやるから、しっかりやれよ」
「はい」
作業現場にやってきた。
お店らしくて、入り口のところを薄い青のタイルと、白いタイルで飾るらしい。
「いいか、よく見ておけよ。まずはモルタルを壁に薄く塗る。均一にだ」
「はい」
「そして、タイルを貼る」
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
「へぇ、5枚くらい一気に貼るんですね」
「俺くらいの熟練になれば、10枚でも大丈夫だけどな。みたいか?」
「はいっ」
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
「どうだっ!」
「すごいっ。あれ? でも、9枚ですよ」
「おっと。一枚足りないか。もう一度だ!」
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
「はい。今度は10枚ぴったりです」
「おう。さすがにこんなに一度にやっては駄目だぞ」
「ですよね。まずは3枚」
タイル・タイル・タイル!
「おっ、上手いじゃないか。初めてなんだよな」
「はい。親方の見本が素晴らしいからです」
「そうかぁ。じゃあ、次は5枚行ってみようか」
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
「よし。大丈夫だ。もっといくか?」
「いえ。これ以上増やすのはちょっと」
「そうか?」
「親方には敵いませんから」
「そうだな」
うん。今日はタイル500枚できるかな。
「この感じだと今日一日で何枚くらい僕がタイル貼れるのでしょうか?」
「そうだな。500枚はいけると思うぞ」
「分かりました。がんばります」
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
ふたりでタイルを貼りまくってみた。
高さが80センチのとこになると、青いタイルになる。
青タイル・青タイル・青タイル・青タイル・青タイル!
青タイル・青タイル・青タイル・青タイル・青タイル・青タイル・青タイル・青タイル・青タイル・青タイル!
また、白タイルになる。
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
やっぱり、親方の方が早いな。
倍まではいかないけど、1.5倍くらいか。
すると、ふたりで1250枚。
今日中に店のタイルを貼れる計算だ。
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル・タイル!
「これだ終わりだ」
「はいっ」
まだ午後4時くらいかな。
思ったより早く終わった。
「予定より早く終わったな」
「そうなんですか?」
「正直言うと、新人だと聞いてまいったなと思ったぞ。こりゃ、今日中に終わらないなと」
「それなら、親方の役に立ったということですね」
「ああ。また、頼むぞ」
「はいっ」
レンガも好きだけど、タイルもいいね。
給金はレンガと同じで大銅貨5枚。
ありがたくもらったんだ。
祝!100話。
なぜかタイルだけどね。笑




