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THEリメイク
とある国の辺境にある村に、毎日色鮮やかな赤頭巾被っている少女がおりました。
毎日赤頭巾を被っているので、いつしか村の皆は少女の事を『赤頭巾』呼ぶようになりました。
少女も『あかずきん』という語呂を気に入り、そのうち自分でもそう名乗る様になりました。
そんな『赤頭巾』に母親が
「昼間からゴロゴロしてるだけなら、隣国の最果ての森に住んでるお婆ちゃんにこの荷物を届けてちょうだい」
と言いました。
それに『赤頭巾』は露骨に顔をしかめて言いました。
「えー、船や馬車を乗り継いでも片道三ヶ月で往復に半年も掛かるじゃないですかー。配達に出せば簡単なのにイヤですー」
嫌がる『赤頭巾』を宥める様に母親は更に言いました。
「今は隣国との戦争をしてるでしょ。その分、兵隊さん達が前線に持ってかれてるから、その隙を狙って配達の荷を狙う盗賊が増えてるらしいのよ。大事な荷物だし確実にお婆ちゃんの所に届けたいの」
戦時中の治安悪化は大変です。
取り締まる為の人的リソースが戦場に送られてしまう為、残った兵隊が真面目に働いているとしても配置されている街や村を守るので手一杯になってしまい、街道はどうしても手薄になってしまうからです。
お金を持ってる大きな街とは違って独自に対策を取れない小さな村の付近では特に顕著になります。
「余計にイヤですー。それにそんな危険な事をまだ13歳の娘に押し付けようとしないで、安全に届けたいなら自分で行けば…」
ズドンッ!!
母親に文句を言う『赤頭巾』の首の真横に刺身包丁が柄のトコまでレンガの壁に深く突き刺さりました。
首と包丁の距離は紙一重で、少しでも狂っていたら首の太い血管を切り裂いていた事でしょう。
「いいから、行ってきなさい」
「Mam yes,mam」
母親の説得に心打たれた『赤頭巾』は三分で身仕度を整え、母親が用意していた荷物と路銀を持って脱兎の如く家を出ました。
こうして『赤頭巾』の長い長い旅が始まったのでした。