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第二話




「──つまり、正体さえ分かれば君はここからいなくなるってこと?」



「ええ。そういうことです」



 淡々とそう話をする彼女。二人で話をしている間に、俺の恐怖心は大分薄れていた。

 そして、よく見てみると彼女はとても整った顔立ちをしていた。さっきは恐怖のせいで顔なんてゆっくり見れなかったが、今はその顔に見とれてしまっている自分がいた。


 彼女の話によると、正体を暴かれることで、彼女はここから消えることが出来るらしい。ということは、俺が正体をずっと暴けなければ、彼女はずっとここから消えてくれないということだ。


 でも、正体って言ったって……手がかりが少なすぎるだろう。





「まあ、のんびり考えてれば何か思い付くか」



「──のんびり考える時間なんてありませんよ」



「……は?」


 彼女はこちらを見ることなく、そう告げる。あまりに淡々と告げられるので俺は内心イライラしていた。



「……何でだよ?」



「簡潔に言いますと、私のこの姿は仮の姿なんです。この姿でいられるのは2週間ほどの間だけなんですよ。……ちなみに今のこの姿は、以前私が正体を暴いて欲しいと言った人のものです」



「……は?ま、待てよ。どういうことだよ。……じゃ、じゃあ前に俺と同じように正体を暴く側だった奴はどうなったんだよ?」



「……言わなくても分かるでしょう?」



 そう言って彼女は口角をあげる。しかし、その目は全く笑っておらずその恐ろしい笑顔に俺は固まっていた。


 ということは、今のコイツの姿は前の女性のものであって……前の女性は亡くなったってことか?こいつが体を乗っ取って、今の状態にあるってことか。

 ……つまり、俺が2週間以内に正体を暴かなければ……そこから先は考えたくもなかった。



「あ、あと、私の姿は他の人には見えませんから。誰かに相談しようとしても無駄だと思いますよ」



 さらに残酷な事を告げる彼女。一人で2週間の内に正体を暴く?何もヒントもないのに?無理だろ。


 いや、待てよ。これは多分夢だ。最近疲れてたもんな。こんな夢見ても仕方ない。単純にそう思って左手の甲をギュッとつねってみる。

 ……痛みと悲しさで涙が出そうになった。




「あ、そうだ。名前つけてくださいよ!」



「は?」



 彼女は、うーんと伸びをしながら俺にそう告げる。どんどん進む話。正直ついていくのに必死だった。


「何で……?」


「だって、"お前"とか"君"なんて呼ばれても嬉しくないですからね。せっかくこうして知り合えた仲ですし、名前ぐらいつけてくださいよー!」


「名前って言ったって……そんな簡単に思いつかないし……。逆にどんな名前が良いんだ?」


「……そうですね。……"ミユ"でお願いします」


「ミユ……?」


「はいっ!!」



 子どものように笑う彼女。あまりの無邪気さに、少し呆れている自分がいた。





「何でミユなの?」




「……それは……第一のヒントですよ。祐太(ユウタ)さん」






「…………え?」






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