ドッペルゲンガー
第16章〜本当の事〜
サヲは初めから知っていた
このレイナという人物は真実をぶつければ
いとも簡単に契約を解いてしまうと・・・。
だがサヲは事を進めた
すべては自分とあの子の為・・。
「アハハハハハハハハ!!!」
あの子はとても大きな声で
まるで壊れた人形の様に笑っていた
「サヲ!どうしてこんな事になったのか説明して!!」
コウが心配そうな顔で言ってくる
「・・いいよ、ただし条件がある。もしもこの事を他の奴らとかに聞かれても絶対に言わない事。政令軍に言うなんてもってのほかだからね?」
「わかったよ・・。」
「ええ・・私も分かったわ。但しこちらにも条件があるわ。最後までちゃんと話す事、分かりやすい様に話す事。」
「ボクもそれでお願いしたいですね。」
サヲはいったん考えてからまたシナを見て“いいよ”とだけ言った。
じゃあ静かな部屋へ移動しようか?
そして4人は隣の部屋へと移動した
そこに笑いはおさまったが辛そうに声を出しているレイナを置いて・・
「あの・・レイナさん置いてきて大丈夫でしょうか??」
「大丈夫だよ。それより説明・・だったよね?」
「そうだ!サヲ!レイナはどうしたんだよ!!?」
コウが取り乱して聞いた。
「・・・レイナは半分なんだよ。」
サヲはさらっと無表情で言った。
「・・・半分・・て?」
カナが言った。
カナは情報専門を担当している。
その割りには聞いた事がなかったのか誰よりも早く反応した。
「あの双子は特別なんだよ。特にレイナが。」
「それは・・・どういう・・?」
シナが聞いた。
「正確に言えば、あの2人は双子だけど双子じゃないって事。」
「「!!?」」
「まってください、双子じゃないのに双子というのは少し矛盾してませんか?」
カナが冷静にそう聞いた。
「なんでも調べてる君なら分かってるとおもったんだけどな。まぁいいや、そうこれは矛盾している、それが2人のキーワード。・・ドッペルゲンガーを知ってるかい?」
「ええしってるわ。確か自分とまったく一緒で何もかもが同じ。つまり自分が2人いるように思える。」
「これが元となった映画やアニメがありましたね。」
「そう、何もかもが一緒。でもそのドッペルゲンガーと本物は双子じゃない。矛盾してるんだよ。」
「・・・そのドッペルゲンガーとレイナに何の関係が?」
そして今まで無表情だったサヲが口元をニヤリと上げた。
「答えは簡単、レイナはレイキのドッペルゲンガーだから。」
「「「!?」」」
「知らないかい?ドッペルゲンガーの専門技術が発達していたんだ。でも・・・ある一部だけに・・ね。」
「じゃ、じゃあ!レイナは・・元々はこの世には本当は存在しない人物・・?」
「でも、レイナとレイキは双子かもしれないけど2卵生でそんなに似てないじゃない。」
シナは冷静に事実を述べた。
サヲはとっても楽しそうなオーラを漂わせている。
「それも奴らの作戦だよ。ほんとにそっくりに作ってしまうとバレるのも早いしね。だからあえて違う形で作ったんだ。性別も性格も、まるで真反対かの様に・・。そして彼女を作ったのが『ダイト機関』だよ。」
「ダイト機関って・・さっき言ってた私たちと敵対してるとこよね?」
「うん。彼らはレイナをレイキから作った後、作る前の記憶を消して新しい記憶を取り入れた。そして外に放したんだ。」
「なんで放すんだ?多分そいつらは年中見張ってたと思うけど・・。」
コウは聞いた。
「彼らダイト機関が、レイナとレイキを放したのは7年前。ある契約をした。レイナだけ。その契約の内容が・・・・・まぁ放したのはその契約に従ってだよ。」
「・・・内容って・・」
「それはいずれ知る事になるよ・・嫌でも・・ね・・。そして、今その契約が切れたんだ。この時点でダイト機関はレイナを不用品として消しに来る。」
沈黙が流れた。
その沈黙の中から最初に口を開いたのはコウだった。
「レイキは・・どうなるの?」
サヲは笑った
なんのためらいも無く
始めて知った気がする・・いや、もっと早く気づかなければならなかったんだ。
この人物はこの状況でも楽しそうに笑っていられる
残酷な人物だって事を。
たぶん今俺の隣にいる2人もそう感じているだろう。
この残酷な人物について行くには自分も残酷な人間にならなきゃならない事を・・。