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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

不死の系譜

未練

作者: 蜜蜂

思い立ったままに書き連ねた駄文。

ストレス発散に書きました。

 私は生きて何年経っただろう。私は死んで何年経っただろう。

 私は今ここで何をしているのだろう。私は今何のためにここにいるのだろう。

 何で……。何で……。


 思い出せない。

 思い出せない!

 なぜこんな暗いところにいるの。なぜこんなところで一人なの。

 私は一体何なの。

 体持たずして、幾星霜。私はいまだこの暗い部屋の中で迷っている。



 この部屋の中には、たくさんのものが埋もれている。

 それは、何かはほとんど覚えていない。

 私がそこに在った時より前のものは覚えている。

 だが、それ以降に増えていったものは覚えていない。いや。覚えられないし、分からない。

 分かろうとしても理解できない。

 暗い部屋の中、ずっと一人。まだなの?まだなの?

ねえ、誰か、誰か、誰か……。

どうすればいいの? 自分は一体何をしたいのだろう。



 最初の五十年は何をしていただろう。

 あのころはまだ、人間の頃を覚えていたはずだ。だけど、今となってはもう思い出せない。だが、何をしていたかは覚えている。もしかしたら、思い出せるかもしれない。

 あのころは、確かまだここにわずかに光がさしていた頃だった。


「ああ、今日もまた一人なの……」


 天井の方からわずかに漏れ出る光を見て私は一人つぶやいた。

 仮に誰かが来たところで私には気づかないのだが。

 雨が降ればここは水がたまり、カタツムリやワラジムシやダンゴムシといった湿気を好む虫たちがこの部屋にあふれる。

 この部屋は湿気が多い。

 今はほとんど使われてはいない。

 仮に来ても、面白半分に恐怖体験をしにきた村の若い子供たちくらいだ。

 私は一人、天井からわずかに覗く光から外を見る。人の足が見える。大きな足、小さな足きれいな足。硬そうな足。一筋の光がさす中、暗くてさびた金属の跡の残った部屋で私は一人、何かをしていた。



 それからしばらくは何をしていただろう。


 確か、あの天井から見えた穴は埋められて何も見えない。光のささないただの無機質な部屋にされた。

 完全に埋められたかと思ったら、地面が激しく揺れて地震のような音がした。そんな日がしばらく続いたのだ。

 そんなことになったかと思えば、久しぶりに部屋に人が入ってきてむき出しになっていた土の床と天井を見たことのない、灰色の泥で固めていった。部屋がより無機質になった。

 それからさらに一週間ほどしてからだろうか。見たこともない服装をした若い男女が入ってきて、とてもうれしそうに声を上げていた。

 服装はどことなく、南蛮と呼ばれた人たちに似ていた気がする。


 その次の五十年は、もっともうるさい期間だった。

 外では爆音が轟き、人々に逃げまとう声と足音が、嫌でも私の元へ届く。この時は確か、あの若かった夫婦はもう年老いて新たな若夫婦たちと一緒にこの部屋によく来ていた。

 一体外で何が起こっているのだろう。

 だが、少なくともいいことではないのはわかっている。


 それからさらに数年ほどして、外が静かになったころだろうか。そのころからだんだんとものが置かれるようになり始めた。かなり使い込まれたと思われる箪笥。ほかに化粧台などがあった。後はわからない。

 どんどん私のいた空間に、それが詰まってきて物置という表現がまさにぴったりだと思う。


 そう、私はここに置かれている古い道具たちと同じ、必要とされず忘れられたものだ。

 だが、思い出せない。

 私は何だったのか。

 私は誰だったのか。


 その答えは、それからさらに五十年ほど経って分かった。

 それは久しぶりの来訪者。

 ほこりまみれの部屋に一筋の光が再び差し込んだ。

 障子ではない、前後に押引きをして開ける扉。

 そこから現れた影は久しぶりに見たものだった。


「ごほっ、ごほっごほっ」


 舞い上がるほこりにむせあがり、青年と思わしき影は身をかがめた。


「ここは、どこだ?」


 私はその青年に近づく。

 気づかれないと思いながら、そっとそっと。


「ここなんか肌寒いなぁ。幽霊でもいるんじゃないのか」


 核心を突くその一言に私は思わず吹き出してしまった。


「ふふふ」

「誰かいるのか?」


 私の声が聞こえるのだろうか。


「いるなら出てこい!」


 物陰に隠れて様子を見る。


「やっぱりなんかいるな」


 そういいながら青年は無機質な壁に覆われた部屋の中に歩みを進める。

 暗く明かりもほとんど差さないのに、当然のように入り込んでくる。暗闇の中には話足のような存在がいるというのに。


「……ここか?」


 ついに、見つかってしまった。

 その青年と目を合わせる。その青年の顔は、とても懐かしくみなれていた顔だった。自分が生きていたころ、よく遊んだ村の男の子の顔にそっくりだった。


「お前、何だ?」

「見つけた……」

「は?」

「やっと、見つけてくれた……」


 そして思い出した、私のすべてを。生きていたころのすべてを。

 私は確かこの場所に隠れて、見つけてもらえるのを楽しみに待っていた。だが、本来のここの使用者が帰ってきて、怒りを買い殺されてしまった。

 その際に私は金属で拘束されて殺された。

 その時私を探す役だった少年。それが彼だ。


「やっと、やっと」


 目的を思い出せた。

 未練を成し遂げた。

 これで、思い悩むことなく、記憶に縛られることなく、成仏できる。


「ありがとう……」


 そういって私は成仏したのだ……。



なんかおかしいと思ってもこの小説には特に意味などないので気にしないでください。仮に時代が合わないのならパラレルワールドや最終的に行きついた時間が今ということにしてくださいお願いします。

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