↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
1/20

ノエル・アンショーについて

 大抵の人間は嫌われることを恐れる。

 人に嫌われるということを怖がる。

 そうして他人を気にして恐れていく。

 きっと嫌われるよりも、好かれる方が楽だろう。

 他人に合わせていればいつだって、共感や仲間意識は簡単に手に入るのだから。

 前の私もそうだった。

 友達に嫌われたり、みんなと違うことをすることが怖くて他人に意見を合わせてばかりいた。

 いつも自分の意見を殺していた。

 自分を殺しながら生きていた。

 どうしてそこまで他人を恐れていたんだろう?他人と違うことを怖がっていたのだろう?

 考えても答えは出なかった。

 ただいつも自分を持っている人間に憧れていた。

 自分の意見をはっきりと言え、他人を恐れず堂々と生きている人をかっこいいと思っていた。

 生まれ変わったら、ああいう風になりたいと思っていた。

 だけど……私は私。大人しくて、地味で、空気みたいに存在感の薄い少女。

 だから、ああいう風にはなれないなってどこか諦めていた。


 諦め続けていたある日、私はある日死んだ。

 死因?それについては後で話すことにしよう。

 前世、私は恋をしたり、失恋したり、勉強をがんばったりしていた。

 ちょっと真面目なことだけが取り柄のどこにでもいる平凡な少女だった。

 死んでから後悔したこと?

 おいしいものをもうちょっと食べておけばよかった。

 それから家族や友達をもっと大事にしておけばよかったな。

 損得で考えないでもっと好きなことをすればよかった。

 でも……そんなにすごい後悔をしているわけではなかった。

 世の中には自分を嫌いな人や自分を好きな人がいる。

 私はそのどちらでもなかった。

 自分に興味がない子だった。

 人生なんて所詮生きて死ぬだけ。想い出を作る意味すらないだろう。

 自分を大切にしたり、幸せにする意味すらない。

 ただいつかは訪れる終わりをなんとなく予期しながら生きているだけ。

 本を読むことも人生を生きることも大して変わらないと思いながら私は本を読んでいた。

 

 そんな私が一番愛した本は海外の小説だった。

 本のタイトルは“Gone with the memory”.世界中でベストセラーになった南北戦争中の恋愛物語である。

 この本でのヒロインは二人いる。一人は天使みたいな性格をしているセイラという少女。彼女は優しく美しく聖母マリアのような女性で多くの人から愛された。もう一人はノエルという少女である。彼女は美しく残忍で情熱的で惡の華のような少女であるノエルである。彼女は最後、婚約者であるエリックにより処刑される。

 本の内容や登場人物についてはこれから徐々に書くことにしよう。


 なぜこんな話を書いているのかというと私がその世界に転生したからである。

 そのことには私もさっき気が付いたばかりだ。

 ノエル・アンショーがちょうど18歳の誕生日を迎えた日。

 ちょうど物語が始まるところである。


 彼女は町一番の嫌われ者にして、女王様である。

 男達は彼女の美貌に服従し酔いしれる。

 微笑みひとつで言うことを何でも聞かせられる女。

 それと同時に周りの女性からの嫉妬と羨望を集める女。

 そして炎のような情熱的な愛情の持ち主。婚約者であるエリックを愛した。

 というよりエリックだけを自分にふさわしい男と認め、自分に大して冷淡な彼を何とか力づくで振り向かせようとした。

 彼女は美しさこそが正義だと信じ、ただ手に入らない彼を欲しがるだけでエリックの内面を知ろうとしたことは一度もなかった。

 とても子供っぽい恋をしていたのだ。

 そしてついにもう一人のヒロインであり最大の邪魔者であるセイラを殺そうとしたことがエリックにばれ彼によりノエルは処刑される。とても悲しくて美しいストーリーだ。

 

 最初にノエルのことを知った時はかわいそうなでばかな人だと思った。

 人は他人に大してどういう感情を抱いてもいいと思う。

 だけど他人の気持ちを変える努力をいくらしたところで、自分の気持ちを変えられるのは自分だけだ。

 つまり、自分の気持ちは自分だけのものであるように、他人の選択や気持ちはその人のものである。

 彼女はそのことに気が付かなかったのだ。

 美しさを持つあまり、自分の努力で振り向かない男なんていないと勘違いしてしまったのである。

 美しくてばかで悲しい女。

 私はそんな女に生まれ変わってしまった。

 

 

 




 

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。