第四十六話「都市解放戦(舞台裏)」
「なんか上が騒がしいわねー」
ライチ達が地上で派手にやっていた頃、地下通路の合間に置かれた休憩スペースの一つに他の町の住人同様押し込められていたモブリスは、天井を見つめながらそう渋い顔で愚痴を零した。
「銃声とか爆発音とかそれっぽいのが聞こえてくるけど、上で何やってんのかしら?」
「銃声……誰かが戦ってるとか?」
モブリスの横に座っていたモンブランがそう返す。そのモンブランの方へ視線を移してモブリスが言った。
「誰かって、誰よ?」
「そう言われましても……さすがにそこまでは判らないですよ」
「おそらく、ドーンズが町の中に展開した部隊と、それと敵対する何者かが戦闘を行っているのでしょうね」
答えに窮したモンブランに代わって、彼女の横に腰を下ろしていたショーがそう言った。そしてその後に自身に向けられた「なんでわかるの?」と言いたげなモブリスとモンブランの目線に答えるように、ショーが腕を組んで言った。
「マシーンは同士討ちしない。そのマシーンを制御するコンピュータの中に、敵味方識別装置がセットされているからです。そしてアンドロイドの脳内にも、それと同じ物がセットされています」
「ああ、そう言えば確かに、そんな物が頭の中に入っていたような気がします」
自分の頭頂部を撫でながらモンブランが言った。自分の事なんだから把握しとけよ、と突っ込んだ後で、腑に落ちないように顔をしかめてモブリスが尋ねる。
「あれ? でもさ、確かこの町が出来る前に、アンドロイド同士でいざこざとか起こってなかったっけ?」
「それとこれとは話が別です。自分が言いたいのは、彼らは人間のように同族を平気で破壊しないという事であって、意見の食い違いから反目する事は普通にあります」
「喧嘩とかはするの?」
「口論になったりはするでしょうが、とっくみあい殴り合いの喧嘩にまではならないでしょう」
「そう言えば、最初に町で見た時も他のアンドロイドに攻撃してませんでしたね」
「それより、他に気にすることがあるんじゃないか?」
不意にかかった声に、三人が同時に同じ方向を見る。その方――モンブランのいる反対側のモブリスの隣に居座っていたパイン・ジュールが、半開きの目を擦りながら眠たそうな口調で言った。
「誰かが上で戦っている。ドーンズと、それ以外の誰かがだ。後々の事も考えて、そいつらの動向を偵察しに行った方がいいんじゃないのか?」
「それも一理あるっちゃあるけど……て言うか、あんたもう大丈夫なの?」
今まで――上でドーンズのアンドロイド連中に『何か』を発射した直後から今に至るまで、まるでマネキン人形のように音も立てずに眠りこけていた彼女を気遣い、モブリスが声を掛ける。それに対してパインが笑みを浮かべて答えた。
「ああ。もう大丈夫だ。もう充電も済んだことだしな。迷惑を掛けた」
「充電って、あんたぶっちゃけなんなのよ? あの時だっていきなり攻撃していきなりぶっ倒れて。担いで運ぶ方の身にもなってみなさいよ」
攻撃をした後、糸の切れた人形のようにその場に崩れ落ちたパインの元に駆け寄って彼女を担ぎ上げる自分の姿を思い返しながら、モブリスが呆れたように言った。それに対して不思議そうにパインが首を捻る。
「担ぐ?」
「ええとですね、アンドロイドを攻撃した直後にいきなり倒れたパインさんを、モブリスさんがここまで運んでいったんですよ」
「……そう言えば、ここは地上とは違うな」
モンブランの補足を受けて今更ながらそれに気づいたパインが、不審そうに周囲を見渡す。
飾り気のない灰色の壁と天井、力なく大勢の項垂れるアンドロイドと、それとは対照的に周囲より一段高い所に立って偉そうに胸を張っている重武装をしたアンドロイド。
何がどうなっている? そう問いただそうと振り返ったパインが口を開くよりも早く、モブリスがその未だ言葉になっていない疑問に対して答え始めた。
「一言で言うと、人質として捕まったのよ。結局ね」
「捕まった? あの時のアンドロイド達に?」
「そう。あのやかましい連中によ」
そこで言葉を切って小さくため息を吐いた後、モブリスが言葉を続けた。
「あんたが潰したあのアンドロイド連中、例の……ドーンズとか言う組織の偵察隊だったみたい。その偵察隊の反応がいきなり消えたから、すわ一大事と思って本隊が町の中に侵入してきたの」
「なぜ奴らが偵察隊だとわかった?」
「戦車に乗ってやって来た本隊のアンドロイドがさ、あんたにやられて壁にめり込んでたアンドロイドを大声で言ってたのよ。『隊長、偵察隊が全部潰されてます』って」
声真似をするでもなく平坦な調子でその時聞いた台詞を言ってからモブリスが続ける。
「それでその本隊の奴ら、もうカンカンでさ。私達とそこにいたアンドロイドを一人残らず戦車の砲塔で脅して、一人残らずこの地下通路内の休憩スペースに押し込んだってわけ。おまけに肝心のあんたも偵察隊に向けて一発撃っただけでぶっ倒れちゃったし、引き金にしっかり指がかかってたし、安全装置もしっかり外れてたし。抵抗する余地も無かったわ」
「なるほど。しかし、奴らの目的は私達なんだろう? どうして他のアンドロイド達まで一緒にこうして収容されているんだ?」
「私達はアンドロイドなのにソウアーに協力している。それが連中には気にくわなかったようなのです」
モンブランが口を開く。努めて平静を保ってはいたが、その声から憤りの色を隠しきることは出来なかった。
「最初は人間だけを狙っての行動だったのでしょうが、本隊のアンドロイドの一体が『人質は多い方が良い』って話になって……」
「奴らが言っていた『腹案』ってのは、これのことを指していたのか?」
「知らないよ」
パインの疑問にモブリスがあっさりと返す。それを受けてパインは若干腐った表情を見せたが、それを察したモンブランがすぐにフォローに回った。
「ま、まあまあ。昔を思い出すのはこのくらいにしておきましょうよ。それより今は、この状況を何とかしないとマズいと思うんですけど……」
「そうだですね。私も彼女と同じ意見です」
モンブランに合わせるようにショーが言った。
「今はこの状況から逃げ出すことを考えましょう。このままここにいたら、何をされるか判ったもんじゃありませんからね」
「それなんだけどさ、さっきあなたが言ってた敵味方識別装置ってのは、人間にも効くの? 効くかどうかで、この後自分らが何をされるかについての想像が大分変わるんだけど……」
「そこは判りませんよ。それに有効かどうか、自分の体で確認したくは無いでしょう?」
そのショーの言葉にモブリスが息をのむ。そして一拍置いて、すぐに頷いてそれに答える。
「絶対にイヤ」
「ですよねー。じゃあ、そうとわかったらさっそく計画を……」
「おい、貴様ら」
その時、座り込む四人にそう冷たく言い放ちながら、一人のアンドロイドが彼らの前に立ちはだかった。
四人がバラバラのスピードで視線を上げる。案の定というか、そこに立っていたアンドロイドはここの監視員――重武装を施したドーンズ側の者だった。
「さっきから何を騒いでいる。人質風情がいい気になりおって。目障りだから黙っていて貰おうか」
その高圧的な物言いが気にくわなかった。四人は押し黙ったまま、『はい』とも『いいえ』とも言わずにただアンドロイドを見つめ続けていた。
それがそのアンドロイドの神経を逆撫でした。
「貴様ら! 俺が聞いているのだ、何か返事をせんか!」
休憩区画内にそのアンドロイドの怒声が響き渡る。周囲にいた人質のアンドロイド達が、何事かと思って怯えた表情をこちらに向けてくる。だが当の四人は罵声を浴びせられて僅かに肩を震わせただけで、相変わらず無言でアンドロイドを見上げ続けていた。
その反骨心の表れに、優越感を汚されたアンドロイドの怒りは今にも沸点を超えようとしていた。震える声で、努めて平静を装いなが四人に言った。
「――貴様ら、なめているのか? この俺を舐めているのか?」
「舐めたら塩味でもするの?」
と、そんなアンドロイドの物言いに対し、それまで黙っていたモブリスが不意に馬鹿にしたような軽い口調で切り返す。更にそれを聞いたパインとモンブランが口を手で抑えながら小さく噴き出し、ショーは頭を下げ、ため息を漏らしながら首を横に振った。
アンドロイドの堪忍袋の緒が切れた。
「――この野郎! 大人しくしていればつけ上がりやがって! そんなに死にてえのか!」
怒りの感情そのものを吐き出すように叫びながら、アンドロイドが携えていたアサルトライフルの銃口をモブリスに突きつける。
が。
「ふん」
モブリスが怯むこと無く、躊躇いもなしにその銃身を片手で鷲掴みした。
「な――!」
目の前の人間の取った想定外の行動を前に驚愕し、アンドロイドが一瞬だけ力を抜いてしまう。その隙を突いてモブリスが銃身を掴んだ手を一気に引き戻し、その手からライフルを奪い取る。そして手の中で銃を反転して両手で構え直し、銃口をアンドロイドの脳天に突きつける。
「ま」
引き金を引く。マズルフラッシュと共に一発だけ弾が吐き出され、鉛玉がアンドロイドの脳天に命中する。
「な、なんだ!」
突如上がった銃声、そしてその直後に力なく倒れていく同胞の姿を前に、その場にいたもう一体の監視役のアンドロイドがその方へ意識を向ける。
だがそのアンドロイドが立っていた方へと顔を向けた直後、最初の銃撃を終えて身を起こし、既にそちらに銃を向けていたモブリスによって、その眉間に銃弾が撃ち込まれた。
「一丁上がり」
二回目の銃声と、それに遅れて二体目のアンドロイドが倒れる音が室内に響き渡る。そしてそれらから数拍遅れた後で聞こえてくる、暢気なモブリスの声。
「ひ――」
それが人質として囚われていた他のアンドロイドの平静を完全に崩壊させた。
「いやああああ」
誰の物とも判らぬ叫び声を皮切りに、室内のあちらこちらで混乱が発生していく。皮肉なことに、彼らを人質として高圧的に扱っていた者達が、結局は彼らの混乱を抑える楔になっていた。
その楔が唐突に外れ、予期しないままに自由となった。そして彼らはその自由のままに行動を開始した。
ある者は立ち上がって出口へと駆け込み、またある者はその場から動くこともせずに悲鳴を上げたり、涙を流さないまま嗚咽を漏らしたりしていた。他の場所に囚われている仲間を助けようと、連絡通路へと向かう者達も少なからずいた。
しかし、その空間で自由に行動を起こし始めた者達の中に『全体としての秩序』はもはや無く、個人で動くリスクを測ろうともせずに、誰も彼もが混乱と感情のまま好き勝手に行動していた。
「……やり過ぎだよ」
そんな一瞬にして混沌の坩堝と化した空間の中で唯一自意識を保っていた四人の内の一人――パインが、モブリスの横に立ってそう言った。ぶんどったライフルのベルトを肩に掛けながら、申し訳なさそうに渋面を浮かべてモブリスが頭を掻く。
「いや、まさかここまで大事になるとは思わなくてさあ」
「でも、いくらなんでもあれはやり過ぎですよ。いきなり銃をひったくって撃つだなんて」
反対側に立ったモンブランがパインと同様にモブリスに食ってかかる。モブリスは相変わらず頭を掻きながら「ごめんごめん」と言っていたが、反省する素振りは全く見られなかった。
「過ぎた話は後にしましょう。今は、これからどうするかを考えないと」
と、そこでショーが初めて建設的な意見を述べた。その意見を聞いた他の三人も「それもそうだ」と揃って頷く。
「で、具体的に何する?」
悲鳴と怒号と罵詈雑言が響き渡り金属がぶつかり合う音がそこかしこで発生する中で、始めにモブリスが口を開いた。周りで起こっているパニックなど初めから無いかのような、気の抜けきった暢気な声だった。
「まずは地上に上がってみるのはどうだ? 上がどうなっているのか確認してみ無い事には色々と始まらんだろう」
そのモブリスに対し、混乱して自分の方に向かってきたアンドロイドの頭を掴んで脇に投げ飛ばしながらパインが答える。その声色はモブリス同様、終始リラックスしきっていた。
「とにかく、ここに長く留まる必要はあるまい。さっさと出た方が良いだろう」
「そうですね。アンドロイドは同族を襲えませんから、この騒動を引き起こしたのが我々であると言う事にドーンズに気づかれるのは時間の問題でしょう」
「じゃあ、早く逃げないと駄目じゃないですか!」
モンブランの必死な声が三人の耳に突き刺さる。近くでいきなり大声を出されて顔をしかめるモブリスには気づかずに、三人の前に立ったモンブランが言った。
「行きましょう。他の見張りに見つかる前に、地上に出るんです」
「ああ。わかってる。それは判ってるよ」
が、その必死に催促するモンブランの気勢をパインが挫く。そして自分の話のペースを折られてムッとするモンブランに対してパインが言った。
「お前の言い分はもっともだ。でも、それ以前に問題が一つあるだろう」
「問題? なんですか?」
モンブランが問いかける。地上へ通じる通路――我先に外へ出んとする自分勝手なアンドロイドでごった返し、もはや蟻の子一匹抜け出る隙間も無いくらいに混雑の極みにあった通路を横目でちらりと見てからパインが答えた。
「ぎゅうぎゅう詰めだが、どうやって出るんだ?」
「……」
この時の四人には、あの鉄の海の中を分け入って行く気力も体力も無かった。
結局、四人はそこからの脱出を諦め、通路を通って別の出入り口から地上に出ようと言う結論に達した。
まずは銃を持ったモブリスを先頭に置き、その後ろにパインとモンブランを付け、最後尾にショーが立つ。四人はその隊列を崩すこと無く、慎重に且つ駆け足で通路の中を進んでいった。
だがドーンズのアンドロイドに遭遇することは一度も無かった。おそらく混乱が思った以上に早く広まり、その対応で手一杯になっているのだろう。行軍の中でショーはそう推測した。
「他の場所も似たり寄ったりって訳か」
「あれ? じゃあ動いた意味なくね?」
「いや、あくまで自分のこれはただの推測ですから……」
「ま、まあまあ。動いちゃったのは仕方ないですし、このまま行きましょうよ。ね?」
四人はそう会話を交わしながら、規則的に蛍光灯が付けられただけの、無機質な灰色の通路の中をひた進んでいった。その足取りは自信に満ち、誰もが躊躇いも無く駆け足で通路を進んでいく。
だがこの時、どの通路がどこに繋がっているのか四人は全く把握していなかった。壁に沿って動いていればそのうち着くだろう。とはパインの言である。
「あれ?」
だから彼らが地上との連絡口に辿り着くことが出来ず、それどころか出入り口とは全く関係ない個室の一つに辿り着いてしまったのも、無理からぬ話であった。
「ここ、どこ?」
「いや。私もここがどこだかはさっぱり」
「少なくとも出口じゃ無いだろうなあ」
そこは自分達が押し込められていた所よりも一回り小さな場所で、天井につけられた照明によって光量は十分確保されていた。
その部屋の中を覗いて、モブリスとモンブランが揃って首を捻る。同じように首を動かして周囲を見やり、パインが静かに言った。
「扉は……出入り口はさっき通ってきた一カ所だけか。向こう側にあるのは……コンピュータか?」
出入り口の反対側の壁に据え付けられた横長のコンソールと巨大モニターを目にしてパインが言った。コンソールの中からは低いうめき声のような音が絶えず聞こえてきていたが、モニターは真っ黒になったまま何も映し出そうとはしなかった。
そんな機械群を、モブリスとモンブランがパインにつられて視界に納める。だがこの時、ショーはそれとは別の所に目を向けていた。
「皆さん、あれ見てください」
「んあ?」
「それとは別に、気になる物が置いてありますよ」
隊列から外れモブリスの横に立ったショーがそう言って、部屋の真ん中をそっと指さす。
パインと他二人がその指さす先へと視線を持って行く。やがてその部屋の中央、彼女たちはそこに鎮座する一つの物体の姿を視界へ納めた。
「なにあれ?」
「円柱の、箱でしょうか?」
「随分ちっちゃいな」
そう言いながら、四人がぞろぞろとその物体の元へと近づいていき、やがてそれを取り囲むようにして集まりながらそれの外観をまじまじと見つめた。
それは腰程の高さを持った、円柱状の物体だった。表面には規則的に縦に溝が刻まれ、その中で青白い光を上から下へと走らせていた。側面底部にはL字の金具が取り付けられ、ボルトによって床とその物体がガッシリと固定されていた。更にその金具の間の真ん中から一本のコードが伸び、地面を這いずり回って件のコンソールへと接続されていた。
「……ああ、これはあれだな」
と、それを見ていたショーが不意にそう声を上げた。モブリスが気づいて彼に尋ねる。
「これが何かわかったの?」
「ええ。これは遠隔装置ですよ」
「遠隔装置?」
「無人機を無線でコントロールするために使われる機械ですよ。無線そのものを飛ばす装置と、その無線を増幅させる装置とが一緒にこの中に入っているんです」
「どうしてそんなことを知っているんだ?」
そのパインの問いかけにショーが淡々と答えた。
「ドーンズがこの町にたびたび嫌がらせをしてきたという話は前にも聞きましたよね?」
「ああ」
「その嫌がらせの中には、壁に車をぶつけたり、出入り口の付近でヘリコプターを低空でスピンさせたりといった物もあったのですが、その時に彼らはこれを使って車や戦車を遠方から操り、妨害行為を行っていたんですよ」
「なんでそれが判ったのよ?」
モブリスが尋ねる。一度頷いてショーが続ける。
「以前に妨害行為を働いたとして、メルボルン近辺でドーンズ側のアンドロイドが捕らえられた事があるのですが、その時そいつは自分が乗ってきた車の後部にこれと同じ物を積んでいたんです。しかもそいつはその車とは別に、うち捨てられた戦艦の砲台を修復した奴に足を四本くっつけたような形の固定砲台も持ち込んでいた。それでその後、車や砲台は簡単に調べられたのですが、円柱状の物体に関してはメルボルンの施設では何が何だか調べようが無いと言うことなので、ニューヨークまで運んで貰っていざそこで調べてみたら――」
「その砲台――もしくは車を操る、遠隔装置だと言う事がわかった?」
「はい」
ショーが頷く。パインは腕を組んでじっとその機械を見下ろし、モンブランは「なるほどなー」と感心したように腰を下ろしてそれを見つめていた。
その一時の沈黙を破るように、モブリスが言った。
「つまりさ、これは壊してもいい奴ってことだよね?」
ショーがそれに頷いて答える。
「ええ。彼らが何をしようとしていたのかは大体予想がつきますし。破壊しておいた方がいいでしょう」
「おっけー」
「じゃあ壊すついでに、こっちが装置を破壊した旨を地上に伝えたらどうだ? そのコンピュータにも多分無線はあるだろうし、それを使って、もう戦闘は終了したと告げるんだ」
パインの提案にモンブランが反論する。
「いいんですか、そんな事しちゃって? 上でドーンズと戦ってたのは、私達の敵かもしれないんですよ?」
「敵の敵は味方とも言うだろ」
だが取り付く島も無い。余りにもあっさりと返されてぐうの音も出せずにいたモンブランを尻目に、パインがコンソールをいじってモニターの電源を入れ、次いで無線がどこにあるのか、モニターに次々表示されるウィンドウの中の情報を見ながら検索していく。
「それで、これはどうすれば壊せるの?」
その一方、モブリスはショーにそう尋ねていた。ニヤリと笑ってショーがそれに答える。
「それは簡単ですよ」
「どうするの?」
「蜂の巣にすればいい」
「なるほど」
ニヤリと笑い返し、モブリスが手にした銃を構える。
うるさいなあ。
ようやく見つけた無線のチャンネルをいじりながら、パインは背後から聞こえてくる銃声の嵐に顔をしかめた。




