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第四十二話「決意」

 中枢管制支援AIユニット『オルカ』。

 その存在を、その彼女が送ってきたデータを持ってやってきたイナによって明かされた時、ライチとカリンの情報交換の後に作戦司令室に戻っていた面々は揃ってイナの言葉を真に受けようとはしなかった。

 ちなみにこの時、カリンはライチと一旦別れた後、すぐにこの作戦司令室に戻ってきた。曰く「あいつらと一緒にいたくない」との事だったが、学園側の方で何が起きたのかを知らない地球側の面々は彼女の言い分を今ひとつ理解出来ず、戸惑うばかりであった。

 その中でただ一人、カリンの詳しい事情を知るライチが「僕からもお願いします」とカリンのために頭を下げた。するとそれを見た他の面々は深く追求する事もせずに、全会一致でカリンをここに残す事を認めた。


「ボーイフレンドの頼みとあっちゃあ、断れねえよなあ?」


 そうなった理由を、リリーはニヤニヤしながらカリンに言って聞かせた。二人の顔が茹で蛸のように赤くなったのは言うまでも無い。

 それとスバシリとクチメは留守番組である。今はもしもの時に備え、カサブランカの艦橋で待機していた。実際は必要以上に『オルカ』に付き合いたくないと言うのが本音である。

 閑話休題。以下『オルカ』の言葉を代弁したイナに対するクルーの反応。


「引くほどのナルシストって……」

「そんなに酷いの?」

「さっきの文面も特別酷いとは思えなかったし……いまいち想像できんなあ……」


 言葉の内容に多少の差異はあったが、それでも全体で見れば、誰も彼もが首を捻ってそれらと同じような事を思い、口に出した。この話題をしている間、なぜイナが終始渋い顔を浮かべていたのか、誰も真に理解出来なかったのだ。

 もっとも、これについてはイナが『オルカ』の寄越したメールをそのまま彼らに提示せず、そのメールの要点だけを抜き出し、当たり障りの無い文体に自分で変換してから公表したのが一番の原因だったのだが。イナ本人はその自らの犯した些細だが地味に大きい過ちに、終ぞ気づく事は無かった。


「まあ、そのオルカというAIについてはひとまず置いておくとしよう。それよりも今は、その彼女が要請してきた救援要請をどうするかだ」

「行った方がええんちゃうの? だまされた時はまあ、その時考えるとして」


 そして最初からゴーゴンプラントにいたアロワナとアカシアも、それについて深く考えようとはしなかった。そしてこちらの懸念も知らずに軽い気持ちで『オルカ』に会おうとしていた彼らを見て、イナは一人ため息をついた。


「まったく……後悔してもしりませんよ……?」





 そしてそれから数分後。『オルカ』の送ってきたメールに添付されていた合流地点を現すポイントにゴーゴンプラントが到達した時、つり下げられたモニターに映る前方の光景を見て、クルー全員が目を点にした。


「あれって……!」

「カサブランカですねー」


 暢気なレモンの言う通り、彼らの目の前にはカサブランカがあった。

 ゴーゴンプラントより前方二百メートル地点。その形状からサイズに至るまで、何もかもがカサブランカと酷似していたのだ。


「……そんなに似てるの?」


 その中でただ一人、事情を知らないカリンが躊躇いがちにライチの横に立って彼に尋ねる。頷き、生唾を飲み込んでからライチが答えた。


「――うん。シンジュクで最初に見たのと、凄い似てる。『似てる』んじゃなくて、『同じ』って言ってもいいくらい」

「そんなそっくりなのが、どうしてここに?」

「それは簡単です」


 カリンの横に立ったイナが、そう彼女の言葉に合わせて言った。カリンに変わってライチが尋ねる。


「簡単? どうして?」

「あれがカサブランカの同型艦だからです」

「ああ」


 同じ奴を何個も作ってたのか。一同は喉に突っかかった魚の骨が取れた時のような気持ちになった。

 その直後。


「……ん?」

「なにこれ?」


 司令室内部にあるスピーカーから、突如得体の知れない音楽が流れてきたのだ。

 それは単調な、甲高くも腹の底に溜まる重音から始まった。その音の持つ力を内側に溜め込んでいくような『焦らし』の音は、徐々に音階を上げながらゆっくりとしたテンポで三度繰り返される。そして三度目の『焦らし』の後、ある一点においてその溜め込まれた音が、外へと一斉に『解放』される。

 だがその『解放』は、それまでの『焦らし』に比べればほんの一瞬の事だった。そして一瞬の解放が終わった後、音はそれ全体の音階を上げつつ最初の『焦らし』へと戻っていく。


「ツァラトゥストラはかく語りき」


 三度の『焦らし』。後に二度目の『解放』。それと同時にイナが漏らした。


「旧時代の……ヨハン・シュトラウスの曲」

「……」


 しかしその言葉は、誰の耳にも入っていなかった。この時彼らは、一度目の『解放』の始まるタイミングに合わせて地面から生え伸びるように頭から現れてきていた一人のホログラムに、意識を集中させていたからだ。

 水色の髪。黒のタンクトップ。ホットパンツ。背が高く無駄な贅肉の無い、猫のようにしなやかな体。

 その顔は溌剌としていて生命力に溢れ、思わず惹かれてしまうような生き生きとした美貌を持っていた。

まるで自らが指揮者のように、もしくは自らの姿をもっと見て貰おうとするかのように両手を広げながら、そのホログラムはクルーの前に姿を見せた。


「やあ。良く来たね」


 三度目の解放――『爆発』と言ってもいいほどの音の一斉放射に合わせてその全体像を露わにしながら、しかし広げた手はそのままに、そのホログラムの女性が柔らかく微笑んだ。


「ボクはオルカ。君達の前に見える戦艦『S.O.H』に搭載された、コンピュータAIさ」


 言い終えて、女性が目を閉じて達成感溢れる満ち足りた表情を見せる。

 この瞬間、そこにいた全員がイナの苦悶の理由を理解した。





 壮大なオーケストラと共にオルカのホログラムが司令室に出現した後、ゴーゴンプラントはそのまま直進して件の戦艦『S.O.H』に接舷。そしてS.O.Hの側から伸ばされてきた連絡通路を受け入れ、ゴーゴンプラントのコンピュータをハッキングして現れたオルカのホログラムが寄越した見取り図に従い、クルー達は通路を通ってS.O.Hの艦橋にまでやって来た。


「やあ。良く来てくれたね」


 そして艦橋にたどり着きスライド式の扉を開けた時、彼らは自分の目を疑った。


「え?」

「おいおい……」

「ここ、戦艦の艦橋だよね?」


 そこは一言で言えば、『王宮』――王宮の中に作られた、王侯貴族のためのプライベートルームだった。

 大理石の床の上に敷かれた赤い絨毯。外周に規則的に建てられた、縦方向に溝の刻まれた柱。柱の間の壁に――本来ガラス窓があるはずの白い壁面に掛けられた西洋の絵画。部屋の中央部分に置かれた白くシミ一つ無い丸テーブルと、それを取り囲むように置かれた背もたれ付きの四脚の椅子。そのテーブルの上には同じく汚れ一つ無い白磁のティーポットとカップ、そしてクッキーの入った小麦色のバスケットが置かれていた。


「……なに、ここ……」

「ここかい? ここはボクの城さ」


 そしてその王宮の中、椅子の一つに座って受け皿を片手に持ち、目を閉じて上品な所作でカップに口を付けながら、かつてホログラムとして彼らの前に現れた一人の女性――オルカがそう答えた。


「ここはボクが、美しいボクに見合うよう特別にあしらった、ボクのための領域なのさ」

「でもここ、確か戦艦の艦橋だったよね?」

「もちろんさ。最初はここもカサブランカと同じ、機械に囲まれた機能性重視の空間だった。でもあんな野暮ったい無骨な所は、ボクのいるべき世界としてはふさわしくないのさ。華麗なるボクが一時的にとはいえそこに住まう以上、そのボクが住まう場所もまた美しくあらなければならない」

「まさか、そんな理由で、こんなリフォームを?」

「ああ。ボクは何か間違った事をしたかい?」


 柔らかく目を細め、カップの中で揺れる水面を見つめながら、オルカがけろりと言ってのける。げんなりした顔でリリーが言った。


「……索敵は? 外でトラブルが起きた時はどうするんだよ?」

「それは問題ないよ。そういったことに関しては、ボクが全て管理するからね。本当のことを言うと、このクラスの戦艦の全体的な制御は、ボク達のようなAIだけで十分やっていけるんだ」

「そうなの?」

「……はい。それは確かです」


 ライチの問いにイナが渋い顔でそう答え、そしてすぐに表情を引き締めて言葉を続けた。


「しかし、人間と協働することで更に効率が良くなるのも事実です。この部屋のように無駄にホログラムを使って着飾って人間の作業を妨げるよりも、人間と協力していけるような環境を作り維持していく方が、総合的に見て遥かに得なのです」

「え、これ全部立体映像なの?」

「ああ、そうだよ。綺麗な所だろう? ボクが一から作り上げた流麗な領域さ。さすがにこの美しいボクには一歩劣るけれども――君もそう思うよね?」


 視線をカップからライチに移してオルカが言った。その時にオルカの見せた流し目の妖艶さにライチは思わず息をのみ、それを見たエムジーはクスクス笑い、カリンはその顔から表情を消した。

 その三者三様のリアクションを見て小さく笑みを浮かべつつ、視線を再びカップの中身に戻してオルカが言った。


「確かに、イナの言う通りさ。AIは万能だけど、出来る事にも限界はある。一人で奮闘するよりも人間と協力して仕事をした方が色々楽なんだ」

「じゃあどうしてそうしないんだ」

「ボクらにとってその必要は無いからさ」

「必要ない?」


 ジンジャーが眉をひそめる。そのジンジャーを見据えて柔和な笑みを浮かべつつ、手元に置いたカップにポットの茶を継ぎ足しながら、オルカが言った。


「ああ。なにせボクのいるこの船には、ボクを除いたクルーが全部で二人しかいないからね」

「は?」

「二人?」

「私の時よりも少ないのですねー」


 アロワナとアカシアが揃って素っ頓狂な声を出し、レモンがのんびりした声を出す。「あんたらも同じようなもんでしょうが」とエムジーが冷静に前二人に返す中、最初に見せた時と全く同じ完璧な美しい動作で茶を飲みながら、オルカが言った。


「まあ、それはともかくとして、そろそろ本題に入ろうか。ボクが君達をここに呼んだ理由……ボク達が今直面している問題についてね」





 その後、オルカは自分と一緒にこの『S.O.H』に乗って来た二人のクルーが自分に報告してきた、この先にあるメルボルンで自分達の遭遇した一連の事象を、これからそこに向かおうとしていた面々に話して聞かせた。その間、こちらにやってきた面々は立ちっぱなしだったが、誰もそれに対して気に留める者はいなかった。

 オルカの話の内容が予想以上に、冗談抜きで切羽詰まった物だったからだ。


「パイン・ジュールがここにいるの?」

「モブリス……あいつもか」

「何しにここまで来たんでしょうかねー?」

「やっぱり、君達はあの二人と知り合いだったんだね。まあ、彼女たちが――いや、ボク達がここにいる理由については、後で話すとするよ」


 オルカの話を聞き終えた時、ライチとジンジャーはそう感慨深そうに呟いた。それを聞いたオルカは微笑みながらそう返し、そして「大した用事じゃないしね」と後で付け加えた。


「ドーンズか……」

「あいつら、まだそんな事やってたのかよ」


 その一方で、アロワナとリリーはそう小声で漏らし、不愉快そうに顔を歪めた。それを聞きつけたイナがリリーに尋ねる。


「その……ドーンズという輩の事について、何か知っているのですか?」

「ああ。知ってるも何も、メルボルンじゃ有名な連中だぜ」

「有名なのですか」

「悪い意味でな」


 腕を組んでリリーが吐き捨てる。その後を継いでアカシアが言った。


「その、ドーンズっちゅうのはな、簡単に言えば、人間を恨んどるアンドロイドの集まりや。『地球に人間はいらない』って人間がまだ地球に住んでた頃から今になるまでずーっと言い続けとる、まあ過激派なんよ」

「地球にいる頃から……って、うそ……?」

「古参もいいところね」


 納得したようにエムジーが自然な口調で呟き、その一方で話のスケールが大きすぎていまいち理解出来ず、口に手を当てながらカリンが呆然とする。


「そんな昔から地球にいたなんて……何それ凄い」

「まあ、アンドロイドは人間と違って簡単に朽ちないからね」

「――つまり、我々にそのドーンズと戦って欲しいと。そういうことなのか?」


 そしてそんな彼らの反応をよそに、アロワナがオルカの持ち出してきた『要求』を端的に言い表してその彼女に尋ねた。

オルカが頷く。


「そう言うことになる。彼らがこれまで行ってきた妨害行動はどれも小規模な物で、メルボルンの自治組織だけでも十分鎮圧出来るレベルの物だったんだ。君達やボク達が下手に出張らなくても問題なかったんだよ。でも今回は様子が違った」

「本格的に侵攻してきたと?」

「数でも質でもね。段違いだったよ。レーダーに移る敵光点の数が、いつもに比べて桁二つ違ったんだから。おそらく、ばれないように慎重に、少しずつ地下に武器を溜め込んでいたんだろう――そしてそれと並行して、例の衛星兵器を稼働出来るようになるまで、ばれないように少しずつ修復していった」

「今回のために?」

「いつでも動けるように」


 オルカが空になったカップを置き、音も無くゆっくりと立ち上がる。そして背筋を伸ばして腰に手を当てながら、未だ出入り口の周りで固まっていたメンバーに目を向け、硬く真剣な表情で言った。


「いきなりこんな事を言われても戸惑うだけなのは、ボクも重々承知している。でも、メールで伝えた通り、ボク達に少しでも戦力が欲しいのも事実だ」

「……」

「お願いだ。ボク達を助けてほしい」


 真っ直ぐな視線。引き締まった顔。

 厳しく、それでいて凜々しい。初めて見る顔だった。

 その表情に気圧され――いや、本音を言うとその表情にちょっとだけ見惚れてしまい、ライチは閉じた口を開く事が出来ずにいた。


「――いいんじゃねえの?」


 と、その時、リリーがいの一番に口を開いた。


「俺達もその町に向かう予定だったんだからよ。それに困ってる奴らを放っておく訳にもいかねえし、別に協力してもバチは当たらねえと思うぜ?」

「私も、賛成ですー」


 リリーに続いてレモンが言った。そのレモンに対してリリーが尋ねる。


「その理由は?」

「理由ですかー? 情けは人のためならず、とも言いますしー」

「そうかそうか。実は俺もそれと同じ理由で言ったんだよ」

「なら、私もそれで良いと思うわ」

「わたくしも、それに賛成です」


 そしてそんなレモンの言葉を皮切りに、次々と賛成の声が上がっていく。その中でカリンはエムジーに小突かれ、反射的に「良いと思います」と答えてしまい、ライチはそのカリンが助けを求めて伸ばして来た手を握り返しながら、それに背中を押される形で「僕も賛成」と短く答えた。


「で、どないするん?」


 そして最終的に残ったアロワナに、とっくに賛成票を入れたアカシアが尋ねた。当のアカシアは腕を組んでじっとオルカを見据えていたが、やがてその口を開いて言った。


「ここまで来て、自分だけ断るというのも無粋だろう」

「では――?」


 オルカの瞳に一瞬だけ宿った喜色の念を知ってか知らずか、少しだけ口角を緩めながらアロワナが言った。

「ドーンズを追っ払うのに協力しよう。我々はどうすればいい?」





「ちょっと簡単に決めすぎだと思うんだけどな」


 アロワナがオルカとの共闘を決断し、ゴーゴンプラントとS.O.Hが横並びになってメルボルンへと向かい始めてから数分後、そのゴーゴンプラントに戻ってきたカリンはその鉄拵えの通路の一つにて、そこを自分と一緒に並んで歩いていたライチに向けてそう漏らした。


「? 何のこと?」

「いや、だから、あのときの事よ」


 突然のカリンの言葉に、ライチがそこで立ち止まって聞き返す。それを受けてカリンもまた立ち止まり彼の方を向いて言った。


「オルカ……とか言う、人? アンドロイド?」

「彼女はAIだよ。あの時僕達に見えてたのは全部ホログラム」

「そ、そう。じゃあその、AIの言う事にあっさり従っちゃったって事よ。私が言いたいのは」

「ああ」


 そのカリンの言葉に納得したように頷き、そしてライチが言った。


「いいんじゃない? それで」

「それで……って、ちょっと軽すぎじゃない?」

「まあ、それも言えてるけど……でももし罠とかハズレとかだったら、その時考えればいい。それくらいがちょうどいいんだよ、ここじゃあさ」

「そう、そうなんだ。ここじゃそれが普通なんだ」


 驚くカリンに、何でも無い事のように笑いながらライチが返す。


「そうそう。でもその代わり、自分のやった事には責任を持たなきゃいけないけどね」


 そしてそう軽く続けて、ライチが再び前へ歩き出す。


「ライチ――」


 そのライチの背中が、なぜだかカリンには大きく見えた。


「頑張ったんだね、いろいろ……」


 地球に降りて、いろんな事を経験したのだろう。その背中は何も知らないカリンにとってはとても頼もしく、格好良く映ったのだ。この時、彼の背中を見ているだけでカリンの頬は段々と赤らんでいったが、それはただ単に愛しさから来ているものだけでは無かった。


「……ッ」


 しかしライチの姿がそんな風に頼もしく瞳に映る一方で、カリンは心の中で一抹の懸念――自己嫌悪とも取れる感情を抱いてもいた。

 ライチと再会して、ずっとその傍にくっついて、自分は何もしないで、それで終わり。

 最初から最後までライチ達に依存して、それだけで自分はここでの生活を終えてしまいそうな気がしたのだ。

 ――それでいいのか?


「ねえ」


 それまでその場に立ち止まってそう考えていたカリンが、不意に口を開いた。思わず立ち止まるライチにカリンが言う。


「この後、戦うんだよね?」

「うん。まあ、この後の状況にもよるけどね」

「あなたも、それに参加するの?」

「……見て見ぬ振りってのも出来ないからね」


 頭を掻き、申し訳なさそうに目をそらしてライチが返す。そのライチに――その大きな背中に形だけでも追いつこうと歩み寄りながら、カリンが彼に言った。


「何か、出来ないかな?」

「えっ?」

「私、何かしたいの」


 突然の事に戸惑うライチ。そのライチの手をぎゅっと両手で握りしめながら、カリンが懇願するように言った。


「なんでもいい。掃除でも料理でも何でもする。私もあなた達の力になりたい」

「カリン、でも」

「お願い。ここまで来て、自分だけ蚊帳の外にいたくない」


 ライチの言葉を封殺し、カリンが刺し殺す程に真剣な眼差しで言った。


「私、ただの『お客さん』で終わりたくないの」


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