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第三十八話「合流」

 オーストラリア中央部から空に向かって斜めに打ち上がった光の柱をカサブランカのクルー――この時はゴーゴンプラントに乗り込んでいたが――が認識したのは、ドーンズによってメルボルンで爆発が起きた、まさにその時であった。


「……なにこれ……?」


 それを最初に見つけたのは、マレット三姉妹の末妹であるクチメだった。この時彼女はゴーゴンプラントに収容されていたカサブランカに戻った後に「念のために索敵を続けておきましょう」と言う慎重派な長姉イナの言葉に従って、他の姉共々データ体となって船のメインコンピュータにアクセスして各種レーダー類を起動させ外部の様子を調べていた最中であった。故にこの光を見つけたのはクチメであるのだが、それはある意味ではイナのお陰でもあった。

 ちなみにこの時クチメが入手した情報は直接カメラに納めた物ではなく、各レーダーが掴んだ情報――数字や記号の羅列を一つに集めて、わかりやすく視覚化した物である。


「うわー! これ対宇宙用のレーザー光線じゃん! 物騒なの発射するなあ!」


 そして艦橋中央にあるテーブルの上に陣取りながらクチメがそれを発見した直後、それまで同じ空間内を遊泳しながら索敵活動にいそしんでいた次女スバシリが一気にクチメの真横まで近づき、クチメの見つけたそれを知るや目を輝かせてそう言った。


「旧時代の衛星狙撃用兵器を使うなんて、これヤバいよね? 今までこんな反応って無かったよね?」

「……ソウアーのアーカイブに接続してみたけれど、これと同等のエネルギー流は、地球上では今まで一度も観測されていなかった……」

「今まで地球は曲がりなりにも平穏な時代でしたし、その間にこれだけの行動が起こせるまでに成長した組織があってもおかしくはありません」


 そんなスバシリに続いて今度はイナがクチメの背後に近づき、その肩に顎が乗るくらいに身をかがめてクチメの手に取っていた画像に目をやった。


「どこがやったのかについては、とんと検討もつきませんが」

「……とりあえず、みんなに知らせた方が良いと思う……」

「だよねー! みんな集めてくる!」


 そう言い終えるよりも早く、スバシリの周りにいくつもの青白く光る平面のディスプレイが表示される。そのディスプレイの一つ一つがカサブランカ内部に設置された監視カメラからの映像を映し出しており、スバシリはそれを使って、現時点で船内にいるクルー全員の居場所を数秒で突き止めたのだった。


「あれ? 冷静に考えたら、ここにいる生身の奴って私だけ……」

「やーい! やーい! ぼっちー!」


 まあ、実際探す必要があったのはジンジャー一人だったのだが。

 そしてその数分後、艦橋に集められたクルー全員に対して事情を説明し終えた後で、イナが続けて彼らに一つの提案をした。


「一度、ゴーゴンプラントに戻って話し合うべきです」

「連中もこの情報を掴んでいると?」

「その可能性は高いでしょう。そして、この後どうするかを話し合うだけで無く、万が一の事態にも備えて向こうに移った方々と合流する必要もあります」

「知らなかったら知らなかったで、教えとかないとまずいしね!」

「……義体の準備は出来ている……」


 三姉妹の言葉に、ジンジャーも首を縦に振って頷いた。


「そうだな。これからどうするかは全員で決めた方が良いだろうな」

「決まりですね。では準備ができ次第、参るとしましょう」





 その後、カサブランカに戻っていた面々はすぐさまゴーゴンプラントへと移り、そこでアロワナとプラント内部に残っていた面々が、かつて別れる前に集合していた場所に集まっているからそこに向かって欲しいとの旨を連絡通路に据えられていたスピーカー越しに聞き、すぐさまそこに向かう事にした。


「今から五分ほど前、オーストラリア大陸中央部から衛星軌道上に向けて巨大なエネルギーが発射されるのが確認された」


 そして全員が合流した後、彼らを前にしたアロワナが険しい表情を作ってそう第一声を放った。声にも深刻な響きが潜み、そこにいた残りの者達も無意識のうちにその表情を引き締めた。


「おそらく、旧時代にどこかの軍が建設し使用した衛星破壊砲台を何者かが修復し、使用したものと思われる。どこの誰がどうやってそんな事をしたのか、まるで見当もつかない」

「質問いいですかー?」


 頃合いを見計らって、レモンがそう言いながら片手を挙げた。

 アロワナが彼女を見据え、無言で首を縦に振る。その後、許可を貰ったレモンがいつもと変わらない間延びした声で言った。


「その砲台って、私達にとってはどのような存在なのですかー? それは私達にも危害を加えるような代物なのでしょうかー?」

「でも衛星破壊砲台って言うくらいなんだから、それって空の上にしか発射出来ないんじゃ無いかな? 僕らが特に気にする必要も無いと思うけど」

「いや、そういうわけもいかんのよ」


 ライチの言葉に机の上に座り込んでいたアカシアがそう返す。全員の視線を一身に受けながらアカシアが続けた。


「あの衛星破壊砲台はな、垂直方向だけやのうて水平方向にも発射が可能な代物なんよ。一度の使用でアホみたいにエネルギー食いおるから、連射が効かんのが救いっちゃ救いやけどな」

「それって……」

「我々にも攻撃出来る、と言う事だ」

「ソウアーのアーカイブによりますと、実際これが建造された際には、本来の衛星破壊目的では無く専ら対地兵器として使用されていたようです」

「怖い事考えるよねー!」


 アカシアに続いてアロワナ、イナの言葉を聞き、ライチは胸の内のなけなしの安堵の気持ちを粉々に打ち砕かれて顔面蒼白となっていった。直後に発せられたスバシリのやけに明るい言葉も、彼の心情を慰めるには足りなかった。


「じゃあそれ、こっちに向けられたらまずいですよね?」

「ああ、まずいな」

「しかし次に攻撃が可能になるまでには、まだ時間がかかる。だからその間に、これからどうするかを話し合いたいのだ。こちらから呼びかけようと思っていたのだが、そちらの方からわざわざ出向いてくれて助かったよ」

「いえ、わたくし達はただ単にこれは異常事態だと思い、今後の方針をどうするか話し合うためだけにここに来たに過ぎません」

「来てくれただけでもありがたい。感謝しているよ」


 そう言ってアロワナが笑いかける。それに対してイナも「お気遣いありがとうございます」と小さく笑みを返し、その笑みを見たアロワナが再び口を開く。


「さて、では本題に入ろう。議題は、我々はあの砲台に対してどのように行動を起こしていくべきか、だが――」

「ぴぴー。緊急事態です」


 だがアロワナがそこまで言いかけたその時、彼の言葉を遮るように件のドラム缶――作業用ドロイドが室内に入り込むと同時にそう無機質な言葉を放った。


「緊急事態。緊急事態。メインコンピュータよりクルーへ、緊急事態をお伝えします」

「緊急事態だと?」


 一同の顔色が見るからに変わる。その驚きと不安のない交ぜになった引きつった顔を前に、だがドロイドは自身の語り口を変える事無く淡々と用件を述べていった。


「ぴぴー。ゴーゴンプラントの広域三次元レーダーが一件の異常を感知しました。現在地より南西七キロ地点、謎の物体が上空より海面に落着したとの事です」

「謎、上空より……?」

「物体はなおも海上に存在しておりますが、海の中に沈むのも時間の問題と思われます」

「それって!」


 エムジーが逼迫した声を出し、アロワナが頷いてそれに答える。


「おそらく、砲台に撃ち落とされた物体だろうな」

「その物体を狙って、例の砲台が動いたって事か」

「いいえ。断言するのは早いです。確証を得られるだけの証拠はどこにもありません」


 リリーの発言を真っ向から否定するようにイナの完璧主義者な一面が顔を覗かせる。そんなイナを見て面倒くさそうに顔をしかめるリリーの横で、腕を組んでいたジンジャーが重々しく言った。


「だったら、それを調べに行くのも一つの選択肢だな」

「このままオーストラリアに行かずに?」

「ああ。ひょっとしたら、それを調べる事で何かわかるかもしれないだろ? たとえば、砲台に狙われた理由とか」

「そして、そっから砲台が狙いを付ける奴の特徴もわかるかもしれない、ってか?」


 リリーが尋ね、ジンジャーが頷く。寝ぼけ眼をこすりながらクチメが言った。


「……行く価値はあると思う……」

「アタシもさんせーい! このままウヤムヤにしたまんまでやり過ごしても、なんか居心地悪いじゃん! それに、もしかしたら中に人がいるかも知れないし!」

「スバシリ様は、その物体の中に人間が入っているとお思いなのですかー?」

「まあ、一理あるっちゃあるわな」


 顎に人差し指を当てて首を捻るレモンに対してアカシアが答える。そしてそのままアロワナの方を向き、小さく黒い瞳を細めて彼に言った。


「で、どないするん? 無駄骨に終わるかもしれへんけど、行くんか?」

「……無駄骨で終わるなら、それでいい」


 アロワナが静かに、だが意志の湛えた強い口調で言い放つ。


「そこに人間が――もしくはそれ以外の何かがそこにあると言う可能性がゼロという保証はどこにもない。そこにいるのが例え人間にしろアンドロイドにしろ、まさか見殺しにする訳にもいくまい」


 そして顔を上げてそこに集まった面々の顔を順番に見据えていき、端から端まで見終えた後でアロワナが言った。


「これより我が艦は、その落着したと思われる物体の調査に向かう。カサブランカの皆様方にはまことに恐縮だが、オーストラリアへの着港は今暫く先延ばしにしたい。よろしいか?」

「……」


 そのアロワナの決定に対して、誰も何も言わなかった。ただ目だけでその答えを告げた。

 そこには安堵――アロワナが人情を知る暖かな存在であると言うのが判った事に対する僅かな安堵と、共に向かおうと言う強い決意が満ちていた。


「……感謝する」


 その肯定の視線を一身に受け、アロワナが言った。そして「良かった良かった」とうんうん頷くアカシアを尻目に、アロワナが僅かに天井を見上げて力強く言い放った。


「では、これより我が艦は海面に浮上している物体の調査に向かう。沈む前に終わらせるぞ。全速前進だ!」





 数分後、目的地に着いたゴーゴンプラントが外部カメラに納めた目的ポイント周囲の映像を、艦最上部に位置する中央司令室――横長テーブルとモニターしかない立方体の空間だった――正面の巨大モニター越しに見た時、ライチとジンジャーは揃って驚きの声を上げた。


「これ、ひょっとして……!」

「まさか、こいつだったとはな……」


 目と口を見開いて呆然とする二人の視線は、その映像の真ん中に浮かぶ物体のみに向けられていた。それを知ったアロワナが不思議そうに彼らに尋ねた。


「なんだ? あれを知っているのか?」

「知ってるも何も……」

「私達は、あれに乗ってここまで来たんだ」

「え?」


 周りにいた全員が素っ頓狂な声を上げる。だがそれでもなお視線を固定したまま、切れ切れにジンジャーが言った。


「あれは宇宙船だ。火星の宇宙港にあった奴と同じタイプの船だ。それが墜ちてきただと……?」

「まさか、ソウアーがまた増援を要求したとか?」


 ジンジャーの横で、ライチがそう言いながら首を回して後ろに立つイナに目をやる。そのライチの顔を見て小さく頷いた後、イナが目を閉じ、無線波を使ってカサブランカの回線を経由して、ソウアーのネットワークにアクセスした。


「……いえ、そのような通達は、こちらは受け取っておりません」


 暫くして、イナがそう言いながら無念そうに首を横に振った。


「ですが、あの船が地球降下のために火星で開発された代物であると言う事に関しては、確証が取れました」


 するとその言葉にエムジーが合わせる。


「でも、あれは確かに『墜ちて』きた。『宇宙』から地球へと『墜落』してきた。地球降下をやっておいてソウアーが関係していなかったとしたら、あれはいったいなんなの?」

「……火星からの脱出者……?」

「火星から地球に逃げて、なんのメリットがあるってんだよ?」

「火星は階級制度が敷かれているからな。それに嫌気が差して逃亡、ていうのも、考えられなくは無い」


 クチメの答えにリリーが返す。そのリリーに今度はジンジャーが答えた。


「まあ、あくまで憶測でしか無いんだが」

「でもさ、中に生体反応は確認出来てるんだよね?」

「ぴぴー。正確には熱源です。それが生物の物なのかそれ以外の物なのかについては、これまでよりも入念かつ慎重に調査する必要があります。ぴぴぴー」

「する暇がないってか?」

「ていうか、理由調べるよりももっと大事な事があるんとちゃうん?」


 そこでアカシアが全員の意識を本題へと向け直させる。腕を組んで神妙に頷きながらアロワナが言った。


「アカシアの言う通りだな。すまない、脇道に逸れてしまった」

「ええんよ、ええんよ。元の道に戻るんなら別にええ。それに、謝るんは後回しや」

「そうだな。まずは時間切れになる前に、あの物体を何とかしなくては」

「始めに呼びかけて、中に誰がいるのかを確認した方が良いと思うのですがー?」


 そこでレモンが、アロワナに対して一つの提案を述べる。対するアロワナも、「それがいい。やろう」と二つ返事でその案を採用した。


「確か、あの船は火星から宇宙に降下する際に使われる船だったか。誰か無線のナンバーは知っているかね?」

「おまかせを。それも既に調査済みです」

「さすがはAIですねー」


 レモンの素直な賛辞を右から左に受け流しつつ、イナがアロワナに近づいてコードを口頭で伝える。それを聞き終えたアロワナは早速、そのコードを使って対象と通信が出来るようにせよとメインコンピュータに向けて話して伝えた。


「音声認識かな」

「みたいね」


 そんなライチとエムジーのひそひそ話を強引に終わらせるかのように、司令室の隅に嵌め込まれたスピーカーから甲高いノイズが響いてきた。無機質な雑音だらけで、生き物の気配は感じられなかった。


「あー、あー、聞こえるかね? こちらは要塞艦ゴーゴンプラント。私はゴーゴンプラント責任者のアロワナである。聞こえるか?」


 腕を組んで、なおも水上に浮かぶ宇宙船を映し出していたモニターを真っ直ぐ見据えながらアロワナが大きな声で言った。


「……」


 なおもノイズしか聞こえない。アロワナが続けた。


「我々はそちらの敵では無い。君達を保護しようと考えている。どうか、もし誰かいたら、返事をしてほしい。声を聞かせてくれ」

「……」


 ノイズだけ。アロワナが一瞬だけ、不機嫌そうに顔を歪める。


「……むう」

「これは、ハズレだったんかいな……?」

「いや、まだ二回呼んだだけだ。これだけで応答がもらえるとは思っていない」


 そう。こんな中途半端な形でやめるつもりはない。アカシアに続行の旨を伝え、アロワナが再度呼びかけを行おうと口を開き駆けたその時。


「……かッ」

「!」


 声。ノイズの奥から、僅かに人間の苦しそうな声がした。

 アロワナだけで無く、そこにいた全員が一様にモニターに目を向ける。そしてなおもそこに佇む船に向けてクルー全員が一心に視線を注ぐ中に混じって、アロワナがそれまでよりも強い語調で語りかけた。


「こちらは要塞艦ゴーゴンプラント。責任者のアロワナである! 我々はそちらを助けにきた! 誰か生きているのなら、誰でもいい、返事をしてくれ!」

「……わ……、わた……」


 なおもノイズまみれだったが、それでも先ほどよりも鮮明な声が聞こえてきた。クルー全員の顔に安心と緊張が生まれる。そして「ノイズ除去フィルターをかけますか?」と提案してきたメインコンピュータにすぐさまGOサインを出した後、アロワナがノイズの奥の誰かに向けて再び話しかけた。


「繰り返す。こちらは君達を救助に来た! 誰かいたら返事をしてくれ!」

「わ……わたし……私は……」


 ノイズ除去フィルターが正常に動作し、スピーカーから聞こえてくる音声はそれまでよりもずっと明瞭に聞こえた。ノイズ自体は残っていたが、それは言葉を句切ることはせず、またそれが人間の女の声であると言う事が判別出来るくらいにははっきりと聞き取る事が出来た。


「わた、こちらは、地球……地球降下船……うーんと……降下船、デイジー。デイジーって言います。地球降下船デイジーです」


 その女の声は、どこかオドオドとした頼りないものだった。弱腰な調子が語り口の端々から見て取れ、時折何かを確認するかのように言葉を切る所も、その印象操作に拍車をかけていた。


「こちらは、地球降下船デイジー……そちらは確か、ゴー……?」

「ゴーゴンプラントだ。君達を救助に来た」

「ゴ、ゴーゴンプラント、ですね。ゴーゴンプラント……はい……メモしました」

「とにかく、今から我々はそちらに向かう。いきなりの事でこちらを信じられないだろうが、そのままではいずれその船は沈む。ここは、我々を信じて貰えないだろうか?」

「……選択の余地は……無いっぽいですね……」

「そう言うことだ。重ねて言うが、手荒なまねはしない。それは約束しよう」

「は、はあ……わかり、ました……」


 半信半疑気味にそう返してきた女の声を聞いて、アロワナが渋面を浮かべてマイクが拾わない程度の小声で言った。


「さすがに、頭ごなしに信じてはくれんか……」

「いや、あれが正常な反応やで。これはこっちの誠意を見てもろて、そっから信頼を勝ち取っていくべきやろなあ」

「それしかないか……」


 アカシアの言葉を受けた後もアロワナの顔は爽やかとは言えなかったが、そこには渋い色と同時にある種の安堵と喜びも混じっていた。

 生存者がいた。そしてそれの救助に間に合った。人助けをして純粋に喜ぶことが出来ないほど、アロワナはひねくれてはいなかった。そしてそれは、そこにいた全員も同じであった。


「どうやら、間に合ったみたいね」

「……良かった……」

「やれやれ、これで無視してオーストラリア行ってたらと思うと、ゾッとするぜ」

「ミッションコンプリート! いえーい!」


 会話が一段落した辺りで緊張の糸が切れたのか、マイクがつけっ放しな事も忘れて彼らの周りでそう口々に騒ぎ立てる彼らの嬉しげな姿を見ても、それははっきりとわかる物であった。





 そんな中にあって、ライチだけが一人違う表情を浮かべていた。


「……」


 愕然としていた。

 両目をかっと見開いてモニターを食い入るように見つめながら、その場から全く微動だにしなかった。他の面々のように素直に喜ぶこともなかった。

 信じられなかったのだ。


「……ッ」


 先ほど聞こえてきた女の声。ライチはその声に聞き覚えがあった。

 それはここでは絶対に聞かないと思っていた声。もう二度と聞くことは出来ないんじゃ無いかと、心のどこかで諦めかけていた声。


「……カリン……」


 熱に浮かされたかのように、ライチが呆然と呟く。


「カリン・ウィートフラワー……」


 ライチが呆然と、その聞き覚えのある声の主の名前を呟いた。


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