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君は悪女なんかじゃない

大きな窓から朝の光が差し込む。

隣国の王太子であるユリアス・フェルゼアは

執務机の上にある沢山の資料を眺めていた。

そこへ側近の騎士が入ってくる。

「殿下、調査の続報が。」

ユリアスは資料を眺めるのを辞めて

騎士の方へ視線を向ける。

「話して。」

騎士は報告書を広げて言う。

「ルイナ公爵が王太子派との同盟を切ったそうです。」

「そうしたことにより、貴族達の離反、商会の撤退…

その他諸々により王太子派の貴族達は

窮地に陥っている模様です。」

王太子はクスリと笑う。

「さすがだね。ルイナ公爵は」

騎士は、報告書を仕舞う。

「殿下は、それ程驚いていませんね。」

「まあね。」

ユリアスはゆっくりと立ち上がり

窓からの景色を眺める。

「とりあえず、今奴らも混乱状態な訳で」

「そんな状態の中、追い討ちをかけるように

エレンシアの無実を証明させる証拠を叩きつければ」

「エレンシアを追い詰めた奴らは終わる。」

握る拳からは力が込み上げられており

真っ赤な瞳は、怒りが込み上げられている。

(絶対に、成功させてみせる。)

(エレンシアを搾取し最終的に捨てた奴と

陥れた奴に彼女と同じ痛みを味あわせてやる。)

そして、ふと頭の中で思い浮かぶ銀色の髪の少女

エレンシア・ルイナ

(エレンシア…俺は断言するよ。)

君は《《悪女》》なんかじゃない。

あの日、エレンシアが自分に向けてきたあの瞳

その瞳はとても優しく眩しかったことを

ユリアスは忘れていない。

(あんな瞳をした君が悪女な訳ないよ。)

そして顔をあげる。

その瞳は先程とは異なり冷めた瞳だった。

「計画を進めて。」

「必ず奴らに罰を与えさせる。」

「かしこまりました。」

騎士が深々と頭を下げる。

エレンシアを追い詰めた奴らを徹底的に潰そうと

奮闘しながらもユリアスの心の奥底には

あの日、見た健気で優しい笑みを浮かべる

エレンシアが残っていた。

ーーーーーーーーーーー

同時刻にて

エレンシアを乗せた馬車が静かに進んでいた。

エレンシアは変わらず

呼吸もなくまるで死んでいるように眠っている状態。

眠るエレンシアにカリナは窓の中を警戒しながらも

エレンシアの手を優しく握っていた。


しばらくして

馬車はゆっくりと止まる。

レオンは馬車から降りて周りを少し警戒して

それから馬車の扉を開く。

「着いたぞ。」

カリナは頷く。

レオンは馬車の中に入り眠るエレンシアを

蝶のように花のように優しく運び

カリナは馬車の中にある荷物を運ぶ。

馬車を降りて二人が向かった場所は

温かみのある色の小さな建物。

孤児院だった。

カリナは、先に足を進めて孤児院の扉の前にいく。

扉を軽くノックすれば数秒後扉が開いた。

中から年配の女性が現れる。

孤児院の院長であった。

「お待ちしておりました。」

全ての事情を公爵から聞いた院長は

優しく出迎えてくれた。

「では、ご案内します。」

「「はい。」」

レオンとカリナは院長に部屋へと案内される。

清潔なベッドの上にレオンは優しく

エレンシアを寝かせる。

カリナは優しくエレンシアに優しく掛け布団をかけた。

レオンは静かに言う。

「これで、エレンシア様を孤児院に送ることはできた。」

「ここからは、カリナ達に任せる。」

「はい。」

「エレンシア様をよろしく頼む。」

カリナと院長は頷いた後深々と頭を下げた。


レオンが去っていった後

カリナは持ってきた荷物を部屋の中へと持ち運び始める

これからのエレンシアの新しい人生の為にと

気を引き締めながらせっせと荷物を運び出していた。


読んでいただきありがとうございます。

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