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死の偽装

数日後、公爵家の一室で。

エレンシアと父である公爵と

母と兄、信頼のある執事や侍女たちと

医師が集まっていた。


ベッドに座っているエレンシアの前に

医師は一つのトランクを片手に持ちながら

近寄り、ベッドの上に置き開く。

中から紫色の液体が入った瓶を慎重に取り出した。

「これが、一時的に心臓を止める薬です。」

「三日ほど、目を覚まさないでしょう。」

エレンシアは、医師から恐る恐ると薬を受け取る。

「これで…エレンシアは死んだことになる。

だが、エレンシア自身は自由の身となる。」

「はい。」

「怖いか?」

「いいえ、寧ろ安心しているんです。」

これを飲めば、

何も縛られるずに自由に生きていくことができる。

それがどれだけ安心するか。

母と兄が、エレンシアの手を握る。

「元気でね。エレンシア。」

「お前の幸せになっていることを願っている。」

二人は泣きそうになりながらも、

リリアーナの背中を押す。

「ありがとうございます…。」

そうエレンシアは言ってから、エレンシアは深く

息を吸って吐いた後、薬を全て飲み干した。

数秒後

「うっ…。」

ドクンと、心臓が収縮するような感覚になり

エレンシアは苦しみ始め、そのままベッドに横たわる。

段々と、体から力が抜けていくやがて視界もぼやけていく中、

「エレンシア、幸せにな。」

父の優しさのある言葉に

エレンシアはそっと微笑んでから

意識を手放した。


その後、

医師がエレンシアを確認する。

「息は…ありません。」

「そうか。」

瞳を一度閉じた後、また目を開いて

「娘は亡くなった。」

そして、公爵は王家に報告した。

エレンシア・ルイナ死亡。

死因、婚約破棄されたことによる憔悴してしまい

睡眠薬を多量摂取したことによる。

王家にも知れ渡り、やがては王国中に瞬く間に

広まっていった。

王宮では

部屋でユミアと共に今後の未来をどうするかを決めていたヴァレンの元にも届いた。


「王太子殿下、陛下がお呼びです。」

「父上が?」

玉座の間へ行けば

玉座に座った王であるヴァレンの父が座っていた。

突然、呼び出してきたのにも驚いたが

いつもよりも険しい顔をして視線を向けてくることに

違和感を抱く。隣の玉座に座る王妃である母も

自分の息子に対して冷めた瞳で見下ろしていた。

「突然、呼び出してどうかされたのですか?」

「お前に伝えたいことがあってな。」

「伝えたいこと?」


「エレンシア・ルイナ嬢が命を絶った。」



今は、誰も知らない。

エレンシア(彼女)が死んだことにより

終焉へのチェックメイトになることを。

ご愛読ありがとうございます

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