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嘘を一つ一つ崩す

証言その一

「王宮でエレンシアに身分を弁えなさい。と

言われ平手打ちを受けた。」

ユリアスは別の資料を見る。


そこには王宮の外出の記録

その日


エレンシアは王宮にいなかった。

記録には

「ルイナ公爵令嬢

王都商会との商談のため外出」と書かれていた。


「…この日はエレンシアはあの女の前には

いないということだね。」

側近も同意見だと表すかのように頷く。

「その日、エレンシア様は

商人達と会談していたようです。」

「証人も、十数名おります。」

ユリアスは小さく呟く。

「つまり」

「平手打ちなどできず、

あの女の捏造ってことになる。」


ユリアスはもう一枚の報告書を手に取る。


証言その二

「目の前でネックレスを壊された」

ユリアスは側近から、ある書類を受け取り眺める。

ルイナ公爵家の専属医の診断書。

その書類には医療記録が記載されていた。

そこには

エレンシア・ルイナ

重度の金属アレルギーと。


症状の説明も含まれている。


「金属に触れると即座に発疹と、炎症が発生」

「長時間触れると呼吸困難になる危険あり」

ユリアスはゆっくりと目を細める。

「エレンシアは…金属に触れられないんだ。」

「はい。」

側近は頷き、説明した。

「そのため、エレンシア様が普段身につけるアクセサリーの殆どは素材が金属ではないもの。」

「そして誤って金属を触らないように手袋も日常生活で毎日付けていたそうです。」


「…つまり」

ユリアスは書類を閉じてから側近の方に視線を向けた。

「ネックレスどころか」

「金属に触れることができない。」

その一言に、部屋の温度が一気にマイナス温度へと

下がっていく。

側近は、動じずに続けた。

「これで、証言は二つ崩れました。」

ユリアスは椅子から立ち上がり、窓の外を見る。

雲一つなく、輝かしい夜空がはっきりと現れていた。

そんな夜空を眺めながらもユリアスは側近に言う。

「つまり、あの女が言っていた全ての証言は」

「最初からエレンシアを陥れるために作り上げた

ものということだね。」

側近が問う。

「王宮に提出致しますか?」

ユリアスは暫し黙った後首を横に振る。

「証拠を揃えてから出す。」

その瞳が段々と鋭くなっていく。

「エレンシアは、パーティーという公の場で

晒されたんだ。」

「なら、」

「奴らも同じく公の場で晒すよ。」

そう言いながら、何らかの物を握り潰したかのように

拳を握るユリアス。

その言葉と仕草に側近はすぐに理解した。

「社交界ですか。」

ユリアスはゆっくりと頷く。

「王族、貴族、全員の前で」

「この全ての嘘を暴く」

再び、窓の方へと視線を向けた後

ユリアスは小さく呟いた。


「エレンシア」

「見ていて。」

「君が悪女じゃないと、証明するから。」


とうとう、ユリアスが

奴ら確実に逃げ道のない状況(チェックメイト)に

追い詰めようとしていた。


読んでいただきありがとうございます。

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