授かったスキルが『最強』~スキルに『最強』以外の説明がないが、なんかすごい件。知らんけど~
スキル付与の儀。
神官が水晶を頭上にかざしながら言った。
「そなたのスキルは『最強』!」
周囲がざわつく。
ざわっ……ざわっ……。
「最強だと?す、すごい」
「あぁ、最強はすごい」
「すごいな。最強とは」
「そりゃすごい。なんたって最強だ」
ざわっ……ざわっ……。
最強……確かにすごい。
自分の手を見つめ強くにぎりしめる。
でも、確かめたいことがある。
僕は顔を上げ神官に尋ねた。
「神官様。最強とはいったい……」
「すごいな」
「あ、はい。ありがとうございます。それで、最強とは……」
「よかったな」
「え、えぇ。それで……」
「すごい、よかったな」
その日はそのまま帰された。
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父さんとの帰り道。
「いやー鼻が高いよ。まさかお前のスキルが最強だなんて」
「父さんは『最強』ってスキル知ってるの?」
「知らん」
「え?でも今、鼻が高いって」
「いや、『最強』というスキルは知らんが最強という言葉は知っている。なんだ、お前は知らないのか」
「知ってるけど……」
「なんだ。知ってるんじゃないか『最強』」
「……」
いや、だから何なんだよこのスキル!
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次の日、家の外から声が聞こえて来た。
「村人たちよ!王のおなりである!出迎えよ!」
窓から外を見ていると、村の皆が家からぞろぞろと出てくる。
ざわっ……ざわっ……。
「なんだ?」
「なんだなんだ?」
僕も父さんと一緒に外へ出る。
二人で並んで立っていると、王様の側近らしき人と目が合った。
「お前が、『最強』のスキルを手にした者だな」
「え、もう知っているんですか」
「うむ、お告げがあったのだ。『最強』のスキルを授かる者がこの村に現れると」
「でも、なぜそれが僕だと?」
「スキル透視で見たのだ。大きく『最強』とだけ書いてあって分かりやすかったぞ。助かる」
助かるんだ。
「な、なるほど。……あの、厚かましいことは承知の上で、お願いがあるのですが。よろしいでしょうか」
「うむ、申してみよ」
王が答える。
「最強とは一体どういったスキルなのでしょうか」
「知らん」
王が答える。
「お前は知っておるか?」
王が側近に尋ねた。
「いえ、私も存じ上げません」
「だが、最強なのであろう?」
「はい。そう記されております」
「ならばよい」
えっ!?いいの!?
「最強か。すごいではないか!!」
「まったくもって、そのとおりでございます!」
村人たちが歓声を上げる。
わーっ!わーっ!
なにこの何も起こってないのに何かが解決した感じ!
「では『最強』よ」
名前、聞いてくれないんだ……。
「お前を王都へ招待しよう」
「え?王都ですか?」
「うむ。最強だからな」
それは、理由になるのだろうか?
村人たちがお祭り騒ぎだ。
「おい!聞いたか?王都だってよ!」
「なんてこった!さすが最強だな!」
「あぁ!最強と言えば王都だからな!」
「そうなのか?王都だから最強なんじゃないのか?」
「知らん!」
え?僕ってこんな村で生まれ育ってきたの?
なんかヤダ!
ポンと肩に手を置かれる感触。
振り向くと父さんが泣いていた。
「父さん!?」
「ぐっ、うぐっ、立派に、なったな……」
「そうかな!?その反応であってるのかな!?」
「知らん。とにかく、行ってこい息子よ。あ、『最強』の息子、だったな」
父さんが笑顔で親指を立ててくる。
ちょっとイラっとした。
「では『最強』殿、こちらへ」
名前を聞いてくれない兵士に案内され、馬車に乗り込んだ。
「あの、一応ですが僕の名前は――」
バタムッ!
言い終わる前に扉を閉められてしまった。
「どうして、こんなことに……」
……
…………
………………
「こうして、かの『最強』の物語がはじまったわけじゃな」
夜の森。
焚火の前で老人がこどもたちに昔話を語っていた。
「へぇ~、すごいや……おじいちゃん、それでその『最強』って――」
「知らん」
「じゃあ、主人公の名前は――」
「知らん」
「え、何なの、この話――」
「知らん」
おわり




