七夕伝説
掲載日:2026/06/19
「はぁ……」
もうすぐやってくる七月七日を想い、思わずため息がこぼれる彦星。
決して織姫に会えるのが嫌なわけじゃない。でも……。
そして七月七日の夜。
「ああ、一年ぶりだね」
「ええ、会いたかったわ」
「僕もだよ。ところでその腕に抱いているのは……」
「もちろん、昨年できた子よ」
「やっぱり……」
「これからはもっと頑張ってもらわないとね、パパ?」
年に一度会うごとにどんどん増える、けれど一緒に暮らせるわけでもない子供たちの養育費のために、明日からまた一年間あくせくと働き続ける日々が始まるのだ。
「天の神様、確かに僕が悪かったのは認めますけど、それでもこの仕打ちはあんまりじゃないでしょうか」
天の神は一年間真面目に働けば七夕の日の夜だけ織姫と会うことを許してくれた。
しかしそれすらも自分の娘を奪った彦星への遠回しな嫌がらせだったのだと最近ようやく気づいたのだ。




