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日本国魔界府府庁秘匿部秘匿室秘匿一課  作者: 臆病虚弱
第一章・第一節 【兵器人間は人の夢を見るか? Do cyborgs dream of human ?】
38/54

間話 挿入歌2

     ……………


―――――


 こんな、夢を見た。


 暑い。

 蒸し暑い密林だった。


 俺たちは敵の砲撃を受けた仲間の身体が、バラバラに弾けるところ目の当たりにした後、何人もの男たちが小銃を持ったまま死んでいくところを見た。

 武器も、装備も、もはや意味などないように思えた。


 撤退の伝令の後、俺たちは生き残った者たちと共に歩き始めた。

 一晩、二晩、ただでさえ飯は少なく。後方に戻ってもさらなる撤退。

 行軍の中で負傷者は死に、押し下げられた前線でさらに死に、はぐれた時には飢餓で死ぬ。

 それまでは運が良かっただけ。

 そしてとうとう俺の番が回ってきただけだった。


「少尉殿。歩けますか」


「……。健吾。健吾か」


「俺が背負います」


 血に濡れた視界の中で、健吾は俺の腕と足に包帯として布を巻き、そのまま俺を背負って後方へ離脱を開始した。


「健吾。置いていけ。俺は、もう、使えん」


「少尉殿はまだ生きている。少尉殿を見過ごして行けん」


 息も絶え絶えにそう語る。


「健吾。お前まで死ぬことはない」


「……。『正しい人を陥れるのが世の常だ』あんたはそう言った」


「……。そうだ。だが、おれは正しくも無い。陥れられてもいない」


 この前線にくる以前も、来てからも、俺はその惨状を見てばかりで、気が滅入りながら部下にそう愚痴ったものだ。そんな事を言ってしまう俺は『正しい人』では決してない。


「『だからこそ、その人を守れる人であれ』そう言ったのもあんただ」


「はは……。だからって今。死にかけ背負って共倒れか? お前。それは……」


「俺はその言葉をその時、信じたんだ。今も信じてる。明日も信じる。何十年後も信じる。俺の息子にも言ってやる。俺の孫にも伝え聞かせてやる」


「そうか……。死ぬなよ」


「言われなくても死んでたまるか。俺は帰ったら警官になって、今言った言葉をアンタも知らない奴にまで伝え聞かせてやるんだ」


「はは、いいぞ。そうしてくれ……」


 そのまま健吾は、数十キロ離れた野戦病院に一晩中歩き詰めて俺を運んだ。

 歩けなくなった俺はそのまま本土へ送還され、大病院で看護されることになったが、健吾は負傷も少なかったため、そのまま戦線に復帰していった。

 俺はその後、あいつがどうなったか知らない。


―――――

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